クラシックピアニストの歴史をみるように、そのつど活躍する数多のピアニストたちを中心に紹介するシリーズ、今回で一応最終回です。
今回は現代日本のクラシックピアニスト(現役で活動)を紹介していきます。
これまでのシリーズ記事は
以下取りあげますピアニスト(敬称略)に基準は特にありませんが、「一般に名が知れ渡ってる」、という点と、個人的に印象に残ってる方に絞りました。
また順序は、年齢順ではなく、おおむね頭角を現した時期となります。
内田光子
クラシックファンなら誰しもがその素晴らしさ認める、長く世界の一線で活躍し続ける日本人ピアニストでしょう。
12歳で渡欧。若い頃から、多くの世界的名ピアニストと親交を深める。
1970年、ショパンコンクール第2位(日本人最高位)。
ロンドンに拠点を移し演奏活動を行うも、不遇の時代で、日本では知られてなかったが、1884年小澤征爾・ベルリンフィルとの共演をきっかけに世界的に精力的に演奏活動を行ってゆく。
ベートーヴェンとシューベルトを得意とするが、近年はモーツアルトの演奏に特に力を入れ、モーツアルトを演奏すれば、内田の右に出る日本人ピアニストはいないだろう、とも言われています。
2005年文化功労者に選ばれる。 またグラミー賞に2度輝いている。
清水和音
1981年、ロン=ティボー国際コンクールピアノ部門優勝。
以後精力的に演奏活動を展開。
レパートリーは大変広く、バロックから近代まで深く網羅しています。
ダイナミックでロマンティックな演奏と共に、若い頃はイケメンピアニストとしても人気がありました(写真下)が、現在ではかなりイメージが変わったでしょうか(笑)。
男性ピアニストならではの、演奏持久力も高く、現在でも1日に何曲もコンチェルトを弾くなど、横山幸雄さんばりの活躍です。
ベートーヴェン「月光・第1楽章」、ラヴェル「水の戯れ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」、ショパン「バラード第4番」、「英雄ポロネーズ」より
小山実稚恵
留学経験が全く無いながら、ショパンコンクールとチャイコフスキーコンクールの両方で入賞を果たしている、日本人唯一の経歴の持ち主。
レパートリーは幅広く、ラフマニノフなどを得意といていますが、
特筆すべきは、コンチェルトのレパートリーが60作品ある!(*_*)といわれている点でしょう。
男性的なダイナミックな演奏スタイルも持ちあわせ、長年のファンも多いようです。
2017年 紫綬褒章受章。
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 第1楽章
横山幸雄
パリ国立高等音楽院に学び、ショパンコンクールに3位入賞。
そのテクニックの正確さを含めた演奏力の高さは現在日本有数でしょう。
しかし何より、演奏持久力の高さは驚嘆に値し、2010年、ショパンの全166曲を16時間かけて弾き通し、ギネス・ワールド・レコードに認定されます。
以後もコンチェルトを4曲立て続けに弾く・・・などの企画を次々成功させ、ピアノファンを驚かせる。
指導者としても幅広く活動しています。
牛田智大さんの小学生時の演奏を高く評価し、
連弾で初共演も果たしました。
次の共演コンサートも予定されてましたが、延期に伴い出演者変更・・・😞
ショパン バラード第1番、 エチュード「別れの曲」、「革命」
解説 ”ショパン・エチュードOp10 の調性と和音”
仲道郁代
ジュネーヴ国際コンクール第3位ほか、国際コンクールに幾度か入賞。
カーネギーホールでデビューを果たす。
独特のトーク力とメディア映えする容姿で人気を博し、数多くのテレビ出演や、クラシックを身近なものにするコンサートも多く手掛けている。
演奏スタイルは、やや没個性的と言われることもありますが、
上記のおかげで幅広い人気があります。
ピアノ作品解説 リスト
フジコ・ヘミング
プロとしての演奏活動開始は、異例の遅咲きではありますが、高いテクニックと表現力をかつては更に備えていたと想像できます。
ご存知、1998年NHKのドキュメンタリー番組で紹介されたことがきっかけで、大きな反響を呼び、クラシックピアニストとしては異例のアルバム売り上げとなり、以後、世界の舞台でも活躍を続けています。
かつて辿られた数々の数奇な運命などと併せて聴かれることも多く、その独特の個性が極め根強い人気を保つ存在となっています。
上原彩子
音楽大学には通わなかったという経歴を持つ。
2002年、チャイコフスキーコンクールピアノ部門で日本人初の優勝を果たし、大きな注目を浴びる。
特にロシアものを得意とし、その演奏には定評があるが、
これまで世界の名だたるマエストロとの共演は数知れず、コンチェルトの華麗な表現力が映えるピアニストといえるでしょう。
ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
小菅優
サルツブルグ音楽祭で、日本人2人目となるリサイタルデビューを果たす。
国際コンクールの経験自体無く、演奏活動のみで国際的に高い評価を受け、世界の檜舞台に上り詰めるという、日本人ピアニストとしては異例の存在。
現在はベルリンに拠点を置き、ヨーロッパを中心に演奏活動を行っている。
ベートヴェンをはじめドイツの作曲家の作品を特に得意としているようです。
メンデルスゾーン ピアノ協奏曲 第1番
辻井伸行
眼球に障害を負いながらも、幼少期からピアノに天才的な才能を発揮。
少年時代、学生時代からいくつものコンクールに入賞し、頭角を現す。
2009年、ヴァン・クライバーンコンクールで日本人初の優勝を遂げ、以来、コンサートはもちろん、テレビ出演も多く、映画などのテーマ曲の作曲の仕事も次々こなすなど、人気も抜群。
近年は海外でも精力的にコンサートを行い、高い評価を受けている。
レパートリーは大変広く、ベートーヴェン、ショパンはもとより、後期ロマン派から近代の作品も盛んに演奏しています。
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ショパン エチュード「革命」
本格的デビュー間もない頃のたけしとの共演番組から
牛田智大
はい、お待たせ牛田さんです! この人はある意味特別です(苦笑)。
クラシックピアニスト日本人最年少プロデビュー!!これ自体凄いことですね。
ご本人はまだまだ未熟、と言うに違いありませんが、一昨年の浜松国際コンクール第2位から、いっそう幅広いレパートリー習得と磨きのかかった技巧、デビュー当時から一貫した歌心に満ち、また美しい音色で、実力に人気もいよいよ確固たるものに。
その後成長注目されてきた、反田恭平さん、藤田真央さんと共に、3「田」ボーイズピアニストとも呼ばれ、中国でも注目されてるようです☆
反田恭平
一般的なサラリーマン家庭に生まれ、早期の音楽教育を受けてはいませんが、大変に耳がよかったそうです
。2015年、本格デビュー。ダイナミックで時として繊細な演奏はたちまち高い評価を受け、コンサートでも人気が高まってゆきます。
2018年、同世代のソリストを集めた室内オーケストラ MLMダブル・カルテットを創設
その旺盛なプロデュース力で、メディアでも注目を浴びていきます。
今、日本で最もチケットが取れないピアニストの一人。
当初は超絶技巧色の濃いリストやラフマニノフ作品を特に好んで披露していましたが、ショパンコンクールに挑戦を決められ、ショパンにも傾倒されつつあるそうです。
藤田真央
2016年、クララハスキルコンクール第1位、そして昨年 チャイコフスキーコンクール第2位に輝いて
話題となりました。
大変しなやかで表現力に幅のある演奏が定評のようですが、牛田さんとは1歳違いの若手だけに、今後ますます磨きを掛けられてゆくことでしょう。
既に幅広いレパートリーの中、モーツアルトの演奏には既に高い評価を受けているようです。
ショパン エチュード「木枯らし」
5回にわたり、クラシックピアノの世界の巨匠から若手実力派まで、様々なピアニストを、歴史背景も少し挟んで紹介してきました。
いろいろ調べながらも、まだまだ勉強になる分野でした♪
もちろんここに挙げられなかった方でも素晴らしいピアニストはまだまだいます☆彡
現在、コロナ渦がまだまだ収束はしていない不安定な世の中、大きな打撃を受けてるピアニスト、演奏家の皆さん、世の中が本当に心から安心して音楽を楽しめるよう、安心してコンサートが1日でも早く開催できるようになることを願っています。