【JATMA】空気圧足りてますか?【ETRTO】 | 「うえしまクリニック」〜縁の下の整体師〜

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20年弱、サスペンションとセッティングに明け暮れて、いつの間にやら職人と呼ばれるように。

コンプリートセットアップしてこそクルマは変わります。

2022年9月。フリーランスとして起業しました。
足回り調整屋さんです。

テーマ:
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ここんとこ空気圧ネタがうえしまの周りには多いんだ。

どんな話かと言うと、大体がJATMAからETRTOにした際の空気圧設定の話。

なんのこっちゃ?と思う人多いよナ。

「JATMA」
「ETRTO STD」
「ETRTO XL」

これ、何かというと、タイヤ本体の強度の規格の話。

乗用車用タイヤは、あまり知られてないみたいだけど、【タイヤの規格がおおまかに3種類存在する】んだ。

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そもそものハナシをすると、【タイヤ本体の強度+空気圧(空気バネ)】で、タイヤはクルマを支えているんだ。

考えてみりゃ当たり前。支えないなら空気など要らない。

でも、タイヤペチャンコで走るのは無理。すぐバーストするよな。

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で、自動車メーカーは、そのクルマを走らせるにあたって、適したサイズのタイヤや空気圧を指定している。

「指定空気圧」と言うんだけどコレ、そのクルマを運用するのに最低限の空気圧を指定しているんだ。


最低限。ここ大事なトコな。



つまり、「指定空気圧より高圧にすれば、タイヤ本体の負荷能力は高まる」んだ。

性能が上がる訳じゃ無いけどね。大荷重が掛かっても潰れにくくなる。

で、「最低限を下回る」と、

・異常な摩耗
・バースト

などを引き起こし易くなるワケ。

タイヤは要するに「風船」だ。

風船だから、時間が経てばしぼむ。

しぼむ。つまり空気圧が下がる。

「純正指定圧」つまりそのクルマを支える最低限の空気圧から低下すれば、タイヤの負荷能力つまりキャパシティが下がるので、
3ヶ月に1度程度は空気圧をチェックして、低下していたら空気圧補正をしなくてはならない。となる。

また、欧州の車輌などはその「指定圧」が、【乗車人数】【荷物の重量】で細かく設定されているものもある。

乗車などで車輌重量が増えれば、タイヤ空気圧を高めて空気バネを強くし支えようという、合理的な指示があるのだ。


「指定空気圧は最低限」「空気圧低下は危険」

これが解ったら次の段階だ。


タイヤの強度規格には、大きく2種類。

そこからおおまかに【計3種類】のタイヤ規格が存在する。


まずは日本製タイヤのみの規格【JATMA】(ジャトマ)。


それ以外の世界共通規格【ETRTO】(エトルト)。


まずはこれを知っておかなければならない。

世界共通の基準ETRTOに対し、日本国内のみのガラパコス進化を遂げたタイヤ規格がJATMA。

何が具体的に違うかと言うと、タイヤのサイズなどの記号が同じでも、JATMA規格のタイヤの方が【頑丈】なんだ。


頑丈だから、ETRTO規格のタイヤより、「同じ負荷能力を与えるなら空気圧を低く設定出来る」となるワケ。

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我らがNAロードスターの日本国内向け空気圧ステッカー。(NA6)

純正指定タイヤサイズは185/60R14

そのタイヤの荷重指数は82

そのタイヤの速度記号はH(210km/h)


そこに対するメーカーでの指定空気圧は180kpa


勿論、これは純正指定タイヤがJATMA規格を採用しているので、【JATMA規格タイヤでの指定空気圧】だ。


JATMA規格での荷重指数82のタイヤを、180kpaの空気圧で運用するなら、


負荷能力は400kgとなる。

(タイヤ1本分で400kg 4本分で1,600kgの負荷能力となり、車重1,000kg程度のロードスター に対し、
色々の荷重集中に対しメーカーはマージンを残して設定している事が判る)


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例えば、このように185/60R14から195/50R15にインチアップしたとしても、

日本製タイヤ(JATMA規格)でタイヤの荷重指数82が同一ならば空気圧は同じだ。


国産タイヤから国産タイヤへの交換ならば、空気圧は変更無しで基本OK。


さて、こちらが問題。

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みんな大好きミシュランタイヤ。

その他アジアンなどの世界のタイヤはETRTO規格だ。

例に挙げたこのサイズは、表記数値は同じだ。

195/50R15 82V (ETRTOスタンダード)

ついつい「これなら別に空気圧同じで良いんちゃうの?」と思うが大間違い。

ETRTO STDでの荷重指数82 空気圧180kpaだと、

負荷能力は365kgに低下してしまうのだ。

これをマツダ指定の最低限の負荷能力400kgまでに高めるには、空気圧を高圧に変更する必要がある。

ETRTO STD 荷重指数82で、負荷能力400kgを超える空気圧は210kpaから。


JATMAで180kpaだったのが、ETRTOスタンダードでは210kpaまで上げてようやく同等の負荷能力となる。

だから、JATMA規格タイヤからETRTO規格に替えたら空気圧を変えよう。

みすみす新しいタイヤの性能を低下させてしまわないようにだ。


さて、次はまた別の話。

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XL(エクストラロード)規格。

XL規格タイヤは、日本製タイヤと言えどもETRTO XL規格となっている。
海外製は勿論ETRTO  XL

これもまた、空気圧を悩ませる。

上に挙げたのはJATMAスタンダードと ETRTO XLの同サイズタイヤ。


よく表記を見比べると判るが、

JATMA だと荷重指数が84
ETRTO XLだと荷重指数が88


当然これはタイヤ強度が異なる訳で、

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例として、このサイズを純正タイヤとして使用するNCロードスター の指定空気圧は、200kpa(JATMA STD)

つまり、指定負荷能力は450kg

これをETRTO XL規格に換算すると、

空気圧は230kpaからとなる。


というわけで、空気圧は規格と荷重指数を調べて、ちゃんと換算して設定しよう。


という、大変めんどくさい話しとなるワケ。

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「ほんやくコンニャク」が欲しいよね。



それを丁寧に説明してあるサイトがこちら。

うえしまも大変重宝して使っているので、是非参考にしてほしい。

このルールされ判れば、インチアップしようがタイヤサイズ変えようが、とりあえず最低限の空気圧は導き出せる。

そして、そこからそれぞれのタイヤの持つ空気圧上限までは「セッティング範囲」となるんだ。

せっかく買ったタイヤ。正しく使って性能を引き出そうぜ。


長くなったがおしまい。