豪快に転ぶことで

掴みたいものがあったのに

すぐにバランスとろうとする悪い癖

つまずいた後で

いかに何事もないように見せるか

そこにばかり賭けている

体勢は立て直せても

バランスは少し崩れてる

不安げに見渡した周囲との距離

花よりも早く

賑わいを見せるバーゲンが

この街に春を知らせてる


人ごみに混じっている

新社会人らしきリクルートスーツ

いつからか着なくなっていく


切符を改札機に入れる

未知なる路線へ向かう扉は

あっさりと開かれた

言葉が生まれるまで

心は淀みなく流れていた

血液と同じように

言葉は心の過去にすぎない

去り続ける現在を

がんじがらめにするための

さっさと次に向かおうとした心を

生まれたての言葉が呼び止める

「声にしなくていいのですか」

突然走り出した僕に

理由を聞くな

止まってしまうじゃないか


突然飛び始めた僕に

原理を問うな

落っこちてしまうだろ


何もしないでいる僕に

理由を聞くな

よけい何もしたくなくなる

舞い落ちる花びらの微熱

自転車のカゴが受け止めた

公園は桜で満ちている

季節の始まりにしては

儚な過ぎやしないか

咲いて早々散り始め

ためらいなく咲く淡色

滲むことなく風に消える

空に残ったほのかな香り

どこで身に着けたのか

その場のしのぎ方を

困難をやり過ごす方法を

ありとあらゆるものが

僕を作ってきた

自分で吐いた嘘でさえも

風呂場の鏡に映った

裸の自分を疑る

何か隠し事はないかと

心にふと差した影

ソレが本当の自分だと

信じて疑わなかった

今までの自分が

空々しく思えた

湧き上がる憎しみを

書き尽くした後で

文房具の鋭角さが

不意に目に止まった

暗闇の先にこぼれるものが

ボクには確かに光に見えた

出口だと思ったら

罪だった

どんな真っ直ぐな生き方をしている人も

曲がり道は曲がる

まるで寄り道しているような

ゆるやかなうねり

上るにつれ気持ちは重く

下るにつれ気持ちは軽く

坂道の起伏は

歩く者にも起伏をもたらす

人が道を作り出す

道が人の運命を縁取っている

未知の出会いも衝突も

あの角の向こうに潜んでいる

今日という

サイコロを振っている

明日出る目を楽しみに

今日という

種を植えている

明日咲く花を楽しみに

今日という

落とし穴を掘っている

明日引っかかる自分を楽しみに

今日という

手を伸ばして肩を叩く

明日の自分に見てもらいたいものがあって

君を想うことで

拒まれることの恐怖と孤独を知った

君を想うことで

誰にも寄りかからずに生きていく強さを覚えた

恋を知って

僕は初めて一人になった

だから二人になりたいと思った