闇に消え行く今日の寂しさと

姿を見せる明日への不安

その隙間に涙がぽとり


小さなリビングで流した涙は

拾ってくれる人もなくこぼれて

カーペットの上で光る


なにか価値あるものに

つなげられなかったとしても

輝かしい涙

雨を越えて

大勢の人が街に繰り出す

傘をたたみぶら下げて


雨を越えて

澄んだ空に虹が湧き出る

深い影を打ち消して


雨を越えるたび

少しずつ夏がやって来る

激しい暑さを見せ隠ししつつ

湯けむりのもくもくの中で

頭のもやもやは消えていく

たっぷり満ちたお風呂に入り

溢れさせる小さな贅沢


ざばっとお湯を頭から浴びて

悩みを理由ごと洗い流す

すっきりとした体に

希望がじんわり染み込んでいる

暗い地面に滲む影

体が疼くのは稀

思い浮かばない術

動きかけて停滞している夢

向こうの歩道からの声

僕じゃない人の名を呼ぶ誰

傘から覗き込んだ上

相変わらず降り続く雨

照りつける日差しに

制服もようやく正直になって

真新しい白が列を作る


自転車で気持ちいい風を浴びながら

道いっぱい並んでおしゃべりしながら

6月1日の朝を行く


朝は涼し過ぎた半袖を

昼はすっかり着こなしている

頭で想うのはもう夏休みのこと

部屋の明かりが消えた後も

小さな光を残している照明

溢れる情報を見えなくして

僕はじっくり本を読む


差し込む光に招かれた

文字が心に浮かび上がる

スタンドはまばゆく照らし出す

僕が探していたはずの言葉を

太陽に照らされながら

すくすくと僕らは大人になって

そして埋めた宝物の在り処を忘れていった


どちらからともなく返事は滞り

徐々に薄れていく青春の色

一粒の涙でつながっていた僕らは

乾いた時が別れ

感情は感染しやすく

完治しにくい病だ

訳も分からない他人の涙に

訳も分からず泣きそうになる


流されそうな憂鬱を

押し分け出逢えたこの街で

独りじゃ抱えきれない

病を分かちあう

右足が

ためらう左足を引っ張って

左足が

ふらつく右足を励まして

遥かな場所へと

景色を飲み込みながら走る

 

僕が僕を超える瞬間

苦しみの後の心地よさ

汗で見えないゴール

車の音で聞こえない靴音

でも伝わる

体は足になる

僕は足になる

黙っているなんてずるい

僕がこんな風になるのを

体はずっと分かっていたんだろう

十分に息を吐き出して

僕の中に含まれている未来

うごめいているを感じた