満たされている世の中で

吸収したいことはあまりなくて

歌だとかブログとか

吐き出したいことばかり考えてる


何もないのに喋りたがり

空っぽだけどどん詰まり

混沌とした心をゆすっては

落ちてきた無意識を残さず拾う


そこにあるのは宝石か軽石か

確かめようのないままに繰り返される

創作という単純作業

家の中でぶら下がる

乾かない洗濯物

部屋を動くたびに

のれんのようにくぐり


雨降りになったら

やろうと思っていたことが

ちっともはかどらずに

それも雨の憂鬱のせいにした


洗濯物の下で

寝転んでぼんやり

洗濯物の隙間に光る

電気を太陽に見立てて

あくまで世界は無口なので

僕は語るしかない

この足で


たどり着いた街で

誰かと目を合わせ

手をつなぐこともあるだろう


険しい山脈の上で

奇妙な洞窟の奥底で

冒険者たちは世界を語り

同時に聞くのだ


その疲労の果てに

倒れこんだ背中も

世界を語る最後の一言

使わずに

捨てられていく気持ちの方が

実際は多くて


言えなかった言葉は

涙にも怒りにもなれず

僕の中へ消えていった


今は自分にも取り戻せない

消化していったはずの想いを

風は止まない

常に動いている

いくつもの歌を乗せ

大陸から大陸へと


風は死なない

絶えず産んでいる

名もない草々を揺らし

産み花知らずの種を運ぶ

録画したビデオは

溜まっていくばかり

読もうと想って買った本は

読まずに本棚に溢れる


ものすごく忙しい訳でもないのに

着々と時間は過ぎていく

今年になってから

もう半年になりますか


もうお腹は感動でいっぱいで

これ以上入らないと分かってまた買って

使わない物に囲まれた部屋で

想像は行き詰まりがち

ささいな勝ち負けが

固くなった想いを解きほぐす

久しぶりに取り出したゲームが

こんなに役に立つとは


キッチンとリビング

別々のことをしながら言葉を交わす

言葉のリズムはしだいに緩くなり

ぽつりぽつりがいい感じ


夜の深みでは

虫の鳴る音と安らぎが待っている

心と心が重なりあう時間

二人は無口でいられる

咲き続けている

そして枯れ続けている

全てが止まっているから

続いている


水も土もなく

花として居る

命のようなカタチ


死も生も失くした花は

ただそこに存在し続ける

誰かが時計を動かすまで

過去がにじんだ顔を

現在が織り成す表情を

化粧はじっくり未来に塗り替える


この手で自分を作り出す

なりたい自分へと変わっていく

CDの中の音楽は古びても

ここで口ずさむ歌は古びない

深く寝静まったメロディーを

そっと揺り起こして


懐メロと呼ばれて久しいあの曲が

ヒットチャートを転げ落ちたあの曲が

今 鼻歌となってよみがえる


誰に聞かせるためでもなく

鳴り始めた音楽がある

日常のプレーヤーの上を回転する