夜を瞬く星が
人々の瞳の中を流れる
七月七日
先人たちは星に語りかけ
たくさんの物語を聞いた
愛憎の入り混じった
光を心で結びつけた
一つ一つの星座の名に
詩がある
風を受け
笹は揺れ
願いは天の川を泳ぐ
話したい気持ちが
言葉よりずっと先にある
言葉が追いつく前に話すから
次の会話が続かない
焦りが声を転ばせる
声の震えが乱れてる
上手く話すことにこだわって
話したい気持ちを忘れてく
何か言いたげな表情で
長く沈黙を保っている
言葉を練り上げすぎて
浮かんだ時には遅すぎるんだ
写真は思い出させる
美しく切り取った光景が
写真に映らない景色までもを
湧き出させる
並んで写った写真から
申し訳なくて情けない失敗談を
ブレて撮れた写真から
くだらなくて楽しい事件簿を
あの日見とれた時間に
僕は再び焦点を合わせ
眠らせたままの記憶を
起こすフラッシュを当てる
一本の木がある
一本の木がある
それが続くことで
一つの森がある
どこにも中心はなく
どこにも正体はなく
扉もないから
誰でも入れるようになってる
森の深みは
謎の深み
どこへも主張しない
生命力の漂い
「ちょっと一息
吸っていきなよ」と
森の声
歩かず疲れてる後姿に
並んだ二つの木の間が
何かの入り口に見えて
好奇心に吸い寄せられた
一人の僕がいる
一つの森に至る
僕らはよく迷う
山にいても
街にいても
それを旅だと思えたら
それを運命と思えたら
迷いもなくなるだろうに
出口を探し続ける
帰りたい家があって
人は迷う
逢いたい人がいて
人は迷う
そこに望みがある限り
人は迷う
なにかいる
そのけはいがして
ふりむいたとき
なにもいなかったとしても
ゆうれいだとはかぎらない
ひとのめにはみえない
ちいさないきものの
あしおとだったのかも
ひとのなかにすんでる
びせいぶつたちの
わらいごえだったのかも
みえないけはいはぜんぶ
ゆうれいだとはかぎらない
ひとはいきているいのちも
たくさんみおとしているのだから
足を痛がり帰っていた
石ころ蹴飛ばしながら引き連れて
家でのおやつを期待して
描いた想像を放ったらかしに
大股開いて帰っていた
遊びなれた友達と偶然
一緒になって喋った
唄ってはしゃいで疲れを忘れ
遠足の帰り道
遅くまで遊んでいた
愛が付けた傷跡は
塞ぐあてもなく
人と人の隙間をさまよう
憧れられることに憧れ
できもしない理想を演じてる
温かな関係を繕う
逃げ出そうとする足が
全力になりきれない
自らの心に繋がれ
憎しみにすがっている
長年放って置いた
心の濁りは
自分が住めないほどの
純粋な水に憧れて
慣れないことは
するもんじゃないと
思い知らされても
消せない希望
皮肉めいた言葉が
すっかり染み込んだ体を
分かっていながら
許せないでいる