毎日の詩 -38ページ目
君の匂いを
どの消臭剤ならかき消せるだろう
君の味を
どの香辛料が吹き飛ばしてくれるだろう
君の言葉を
どんな映画なら忘れさせてくれるだろう
君のプレゼントを
どこに捨てればリサイクルされず塵にもならず
僕の眼の中に戻ってこないだろう
君の気配がしなさそうな
大通りに出て
君の笑い声が聞こえなさそうな
レストランに入り
君の影が届かないような
裏道をくぐり
ひたすら歩き
君のいないほうへ
遠くへ
君の夢を
どの枕なら見せないでくれる
君の温もりを
どんなプールなら冷ましてくれる
僕はどれくらい
君から離れていけるだろう
川のせせらぎに導かれ
現れた光に
僕は導かれ
ほのかな点滅を
頬に受けた
この夜に足りないものを
全て埋めてくれた
もうろうとした悲しみが
美しく浮かび上がる
かたくなな涙を溶かす
満天の蛍
そこにいれば
受け取れる光
どんな心にも
ほとんどの星は
僕らには光の粒にしか見えない
星からすれば
僕らなど存在すら見えないけど
通り過ぎた雨に
磨かれた星空を
原っぱの上で見上げる
あんなに小さい星だから
見えな くても見つめ合える
街の光では代えられない
あの寂しさは
懐かしさそのもの
羽ばたいていく過去を
引き止めることは
できるだろうか
空の上にいる
あなたを
地上に連れ戻せたら
過去を今のように
抱きしめられる未来が
訪れるだろうか
乗り越えることなどできない
あの日々と
共に過ごしていく
壁のような過去が
今へと続く道に思える
その日まで
名前の知らない人と
隣り合って
何故だか分からず声をかけられる
名前も知らない人と
話が合って
お酒を飲み交わしたりする
名前も知らない人に
おごられて
「ごちそうさま」と手を振って
名前の知らない人と
気分よく別れる
名前を知り合わないままに
そんな一日に
名前がついた
僕は望まない旅をする
望まれない旅人
なけなしのお金で
命をつなぐ
ただ今日を
さまよい歩く日々
住み慣れた場所を
失ってからは
信号待ちで
止まった景色
急に過去が
追いついてくる
懐かしさに
呼び止められても
僕には明日がある
青になった信号
声を振り切る勢いで
駆け渡る横断歩道
激しい日照りの前の
ほんわかとした太陽
夏の小休憩
今のうちにと
いじり始めた庭の片隅に
涼やかな朝顔
朝の清らかさを
受け取って咲かす
日々違う花つきで
のんびりしてると太陽が
半袖の肌に打ちつけてくる
ああいつもの夏だ
役者は演じる
他人になりきるために
自分を解放する
出したことのない大声を出し
普段使わない筋肉を使い
表現しようとしているのは
他人なのか自分なのか
演じることでしか
出せない自分がいる
自分の中の他人を求めて
他人の中の自分に気づく
一日限りのあなたになら
全て話せると思った
一日限りのあなたになら
本当の私になれると思った
早く過ぎてほしいと思った
一日なのに
今はどうなのかよく分からない
もうすぐ
朝焼けの街を
私は一人
歩いていかなければならない
駅の手前
車を降りて
始めて感じられた
孤独
行く人や帰る人
踊る人に見つめる人
激しく人は行き乱れ
それすら神に捧げる
見世物のようで
暑気を振り払う熱気
お囃子が夜を彩る
夏のたび産声を上げ
祭りは呼吸する
ヨーヨーとかき氷で
両手を埋めた子どもが
親の肩の上で見つめる
いつか自分が
担ぐかもしれない神輿を

