つぶやいて

突っ込まれて

横やりが入って

飛び火して


出所の見えない情報

売り言葉に買い言葉

深まっていくようで

泥沼にはまっていく議論


青光りする画面を消せば

苛立ちの世界に座りこむ自分

言葉が3周している間に

現実は一歩進んでないじゃないか


陽が差し込む街に出れば

ネットスラングも聞こえてこない

何事も起こってなどいないように

誰もが平然とした顔で

震えていた夜を

温めあって過ごした

ただ無我夢中で


落ち着いてきた心は

今度は朝を

怖れ始めて


夜が明ければ

露わになってしまう

二人の間にある境界線


開じられたカーテンを

開ける勇気もなく

夜は引き延ばされている

最初聞かされた時は

「そうかも」と思った

「はい」と返した


3度聞かされた時には

「またかよ」と思った

「そうですね」と返した


5度聞かされた時には

「そうかな?」と思った

「はあ…」と返した


10度聞かされた時には

「ちがうよ!」と思った

返事はしなかった


正しげな言葉を

100度聞かされる頃には

全く逆の理屈を身に着けてる

似せていたつもりが

似せずにはおれなくなる


止めどなく語っている

受け売りの言葉を

借り物だったはずのに

欠かせなくなっている


居心地のいい場所だった

あの人のような振る舞いが


ありのままの行為が

誰かさんの言葉つきにそっくりだ

裏の裏をかいた

表だったのに

相手から見れば

いつもどおりの表だった


心が重ねた歴史を

表現は無視して

また表面をなぞっている


見せてしまったものは

後で裏返せはしない

あなたが裏読みできたとしても

太陽が終わらせる

まぶたの夜

おぼろげに始まる

瞳の朝


やわらいだ体と
すっきりとした頭はあるけれど

眠りの安らぎを

僕は覚えていない


あの長い時間が

すり抜けてしまったような

つかみどころのない寂しさが

心にはある


訳も分からず

寂しさに付き合う暇もなく

僕は僕に追い立てられて

支度を始める

深まる闇が隠してくれた

淡い期待と迷いの表情

距離を詰め

言葉を詰め


君のためらいが色づいて

君の仕草が意味を増して

感情は止められなくなる


君が何か言おうとして

僕が顔を近づけて

それは一瞬


思わず反応したように

全てを悟ったように

目は閉じられ

口は閉じられ

それは一瞬


景色がない

音がない

世界がない

時がない

唇が横たわっている

崖の前まで

後ずさりしてしまえば

残された選択肢は

あまり残っていないから


ぎりぎりまで

追い詰められないよう

人は奮闘する

ぎりぎりまで


悪夢もないのに

はっと目を覚ました

心の裏側に

切り立った崖

心もとない夜道を

靴音が奏でる

何かを叫ぶ代わりに

一歩また一歩


心臓がばくばく鳴り響く分

胸のどきどきは収まっていく

ため息は荒い呼吸の中に

冷や汗もおびただしい汗の中に

紛れて流れて


心を寝かしつけた

靴音の響きを

あとどのくらいまで

続けていようか

暗闇は見えないまま

どこまでも広がっている

ちいさくふくれたつぼみが

ふわっとはなになるまで

ずっとみていたいけど

できないな

あきちゃうんだもの


はなはなんにちもかけて

じれったくさいて

とおりすがりのぼくには

つきあいきれないや


あと60ねんとしをとったら

びーるのおいしさがわかるように

あのはなのおいしさがわかったら

となりのおじいさんみたいに

じっとみつめていられるのかな


じゃあねつぼみ

きょうはばいばいだけど

またみにくるね

それまではかれないで