論理を突き詰めれば

最後には極論になる

逆らう相手の

極刑を望むようになる


社会問題を

強く論じている間は

忘れていられる

己の無力さを


今にも剥き出しそうな感情を

拙い詭弁で覆う

自分の好き嫌いを

正義にするために

夜のうちに

ひそかに

積もっておいて


まるで人の方が

来訪者のように

雪が迎えてる


新聞を取ろうとする

かがんだ背中に

冷たさが


眠気も覚めて

引き寄せられた

白の世界

これだけ長い時間考えてるんだから

来い


心を無にして待ってみるから

来てよ


来てください

どうか

悪いことになんて使いませんから


おいでくださいませ

どうか

狭い部屋の中で

歩数を稼ぐばかりの

僕をひらめかせに

たどり着いた

山の頂上で

上ってくる

朝陽と待ち合わせ


夜を溶かし

雲を開き

姿を見せる

おぼろげに


自らの

輝きをまとい

太陽は

形を無くした


そこにあるのは

ただ溢れんばかりの


差し込んだ

瞳が

更新する

一月一日

寒気が包んで

雲が険しさを増した

北風が研いで

星が光を増した


誰もいない窓を

雪が斜めに通り過ぎていく

張りつめた景色を

中和している


地べたに溶けたはずの雪が

僕に深く積もってくる

いつもと変わらないはずの

時が胸に迫ってくる


除夜の鐘がもたらす

静けさに埋もれながら

刹那の詰まった一年を

まばたきは越えていく

踊らされているのは

書いてる方だろう

過激なタイトルと

辟易する言い回しで


時代まかせの声に

押し流されないために

本は文字を

留めているんじゃないのか


全てが等しい

正確な印刷の世界で

ノミで刻み付けられたような

一行を


毎週のように

山積みにされる新刊に

押しのけられても

際立っていてほしい

本の言葉には

寝静まる子どもたち

そこに忍び寄る影

靴下に収まりきれるはずもない

プレゼントが枕元に置かれる


欲しいものを書いた手紙

真っ直ぐ思いを込めた願い

それを守ろうとする

ささやかな祈りがくるまれた包装紙


はしゃぎ疲れた寝息に

安らぎをもらえる日もある

子どもが目覚めて喜ぶ朝を

大人が夢見て眠りにつく

矛盾させておくれよ

辻褄確かめないでよ

今日話した言葉の一字一句と

心中するつもりはないんだ


破綻させておくれよ

窮屈すぎる論理を

誰にも守れない正義に

逃げ道を確保しておくれよ


できないこと言うよ

無茶苦茶なことも言うよ

言葉で割り切れない

心を溶かし出せるまで


矛盾させておくれよ

綻び突かないでよ

今日話した言葉の終わりに

実印なんて押さないから

いつからか

愛は概念でしかなくなっていた


誰かの意見を参考にしなければ

愛も持てなくなっていた


傍にいる人の存在よりも

「愛してる」という台詞を欲しがっていた


言葉でまさぐろうとしていた

二人の間にあるものを


読み取れなくなっていた

君の吐息の余韻の意味を

糸くず一つないくらい

綺麗に磨かれた窓の前の座席に

ぎこちなく腰を下ろして

僕ら展示物みたいだ


どれくらいの人が

窓の向こうを横切っただろうか

適切な言葉を

探り当てようとして見つからない

アイスコーヒーをほんの少しずつ減らして

かき混ぜるストローで余白を埋めて

君の不機嫌の

引き際を見計らってる


コップの氷がだいぶ解けてきた

麦茶みたいに薄い味

歩く人の勢いが落ち着いてきた

そろそろお昼の時間だろうか


何故こんなことになったのか

説明しなきゃいけないのに

窓に反射する君にばかり

眼が行っている