どんな名言も
息苦しく聞こえるときは
雨が跳ねる音も
重みとなって返ってくる
何かの意味を見出さぬよう
テレビも心の声も
BGM代わりにするだけ
どんな愚かさも
許されない窓で
今さらどんな自分を
取り繕えばいい
吐き出した息は
束の間で消えた
戸惑いを濁らせた
自分を隠し切れないまま
どんな名言も
息苦しく聞こえるときは
雨が跳ねる音も
重みとなって返ってくる
何かの意味を見出さぬよう
テレビも心の声も
BGM代わりにするだけ
どんな愚かさも
許されない窓で
今さらどんな自分を
取り繕えばいい
吐き出した息は
束の間で消えた
戸惑いを濁らせた
自分を隠し切れないまま
川に流れ
坂を転がり
足に蹴飛ばされ
転がれる限り転がって
石ころは目指すのか
地球の一番低いところへ
削れながら行くのか
傷むほどに
磨かれた姿で
熱い陽射しの向こう
痛い雨の向こう
役目を終えた石ころたちが
待ち迎える場所へ
たどり着く日はいつ?
いつまでも涙を
流し続けていられない
なぐさめようとする前に
立ち直ってる僕に呆れないでよ
うつむいて空を
見ないふりしていられない
あんなに反省してたのに
前を向く僕の人格を疑わないでよ
心の曇りが完璧に
晴れたわけじゃない
だからまた突然泣き出しても
泣いたふりだなんて思わないでよ
表現しているようで
何かを覆い隠している
見られたくないから
違う自分を見せ付けようとした
解き明かしているつもりが
分かったと思い込んでいる
見通した気になったうぬぼれを
見透かされていた
まぶたで視界は隠せても
目を閉じた自分まで隠せない
抱きしめたいだけのような
慰めてほしいだけのような
相手のいない
愛したいという気持ち
角を曲がるばかりの道で
鉢合わせる誰かを
望みながら日々は過ぎる
孤独で積み上げてきた
それなりの歳月
ふとささやく愛の気配が
心の向きをかき乱す
誰にあげるつもりなのか
時を重ねるごとに
思い出は増え
誰も知らない道を歩く
こぼれ落ちそうな
土産話を背負って
感動で失った言葉を
取り戻した瞬間に
土産話は産まれてくる
冥土の土産なんて
よく言ったものだ
誰にあげるわけでもない土産話を
人は一生かけて集めている
心を動かした人々や風景を
もうこれ以上持ちきれない
誰か早くもらってよ
繋がれたボートは濡れて
溢れんばかりの川面を
頼りなく上下する
揺り戻した寒さに
震えながら野良猫は
落ち着ける屋根を探す
桜散らしの雨の中に
取り返しのつかない時間が
閉ざされてゆく
晴れ間を彩った
花びらたちは甦らない
全ては悔いに変わる
地べたに落ちた
花びらの煤けに
昨日が刻まれている
背が伸びること
仕事に慣れてゆくこと
いつも会っているから
その成長に気づかない
傍にいるほど
見逃しがちな変化
髪を切ったこと
気持ちが冷めていくこと
僕らは気づかず伸びてしまった
互いを向かない方へ
そしてそれももう
絶望ではなくなっていること
荷物をダンボールに収めた部 屋の
カーテンがそっと揺れる
毎年のように訪れる春の
ささいな違いに胸が傷む
朝食を食べ損ねて
天気予報も確認しないで
飛び出した入居したての我が家
着慣れないスーツを
乱さないように早歩き
履きなれない革靴で
転ばないように早歩き
駅に飛び込んで
ホームから押し込められた
呼吸もためらわれる空間
視線を逸らしあう
窮屈な視界の中で
ところどころ目に付く
すぐに仲間と分かる
真新しいリクルートスーツ
たどり着くまでの疲労の跡を
ハンカチで拭い取って
フレッシュさを装いながら
職場の扉を開く