はじめて全少を見に行ったのが2013年、まだ静岡開催の頃でした
秋田と全国との差
これまで何度も何度も、それは何度もジュニアの全国大会やワーチャレなどを観てきて、秋田と全国の競技力の差を2学年と表現してきました。
ただただ地元を卑下しているだけ、大袈裟な表現と思われる方もいるかと思いますが、実際、全国に出場したスクール生の保護者さん達の感想は「コーチの言っていたことがよくわかりました」「ショックでした。」「本当に2学年分は違いました」などなど、我が子を通じた実体験として言葉を残されます。僕が言う言葉より遥かに正確で重みのある感想です。
毎年、秋田で最も良いと評価される選手が1人~2人いるかと思いますが、その子の技量で全国のGK相当、あるいは関東・関西のJクラブでサイド起用されている5年生MFくらいです。これは全国大会がまだ静岡開催だった2013年からウォッチしてきた自分の肌感です。「遠征で県外チームと数試合した」「動画で全国大会の試合を見た」程度ではその体感誤差は大きいと思います。
セレッソスペトレを現地で学ぶ
今回、大阪に飛び、セレッソ大阪にて開催されているスペトレの様子を現地で見学してきました。
スペトレとは?
https://special-training.jp/whats_jst
ここに記されているスペトレの枠組みそのものにASPが加わっているわけではありません。
昨年1月に自分がセレッソのスタジアムで風間さん主催の風間塾に1dayで参加し、3月には秋田に来て頂きクリニックを開催し、その中で技術を再定義した事で自分の中の指導が一気にアップデートされ、以来、ゲームの中で見える景色が完全に変わりました。
試験勉強の際に赤いシートを重ねると赤い字は見えなくなり黒い字だけが浮かび上がる下敷きがありましたよね、あの感覚で今まで見過ごしてきた抽象的に捉えてきた技術的エラーがクッキリ見えるようになりました。1つの学びと通し、このくらい段が変化するくらいの変化、まさに「段違い」の変化を自分の中で感じられる経験はあまり記憶にありません。
こうした流れがあったので技術をどう突き詰めるかという中でこのスペトレへのトライは必然でした。
そもそも、名前は別としてこうした多世代混合の環境はこれまで実体験としても沢山あったし、自身、それにより成長させてもらった経験者でもあったのでその効果も相当に感じてきた経緯があります。
自分が最も成長させてもらった中学時代の3学年でのミニゲーム、高校を卒業して社会人初期に参加させて頂いた中通小でのシニア〜社会人〜学生が混じり独自ルールで開催されていたフットサル。その後は桜小にて毎週日曜夜に同様のフットサルも自主開催していました。
話を戻します。
秋田の2学年差の話を持ち出したのはここが繋がります。今回のスペトレ見学で2周回ってシンプルなとこに落ちました。
「2学年差がある秋田の子達には2学年以上と対峙する機会を作る」
結論、至極シンプルな話でした。
試合でどういった事が起こっているか。例えば・・・
・1stタッチが止まらず、トラップ距離が50cm長いことでキックの為にボールに寄るのにかかるコンマ数秒の時間にフィジカルで上回る相手にブロックされる。
・横や斜め後方からのパスに対しての1stタッチが決まらずボールがパワーを残して数10センチ横移動していることで味方との角度を失い繋がらない、滞留する、潰される。
・最速最短でボールを送れていない=数十センチ味方の前方に送ることで身体が伸び切ってトラップするだけで精一杯になり次の動作に向かえない、あるいは届かずラインアウトする。
こうした事が「パスミス」「トラップミス」「持ち過ぎ」など、抽象的に見られているのですが、解像度を上げていくと風間さんが現在やっている部分に着地してきます。
小学生から大学生まで共にプレーするスペトレ、この日は小4も参加
「技術」これは多世代混合でプレーする中で、年齢が関係ない=唯一誰もが同じ舞台で戦える要素で、習熟度だけの勝負になります。だから大阪でスペトレ終了後に風間さんが「下の子たちいいでしょ?」と話されていた、その下の子たち=4年生たちはポゼッショントレーニングでもどんどん中に入っていきます。外に立てば観るべきものは内側だけ、中に入れば前後左右を観なければならないし、プレッシャーも前後左右から受けます。その中に入っていくのは中学生や高校生より小学生が顕著に見られました。
止める、蹴るの基準が少しでも低いとフィジカルで上回る上級生にパワーと速度で回収されてしまい、プレーが立ち行きません。「小学生と高校生では体格でつぶされる」などという想像で適当に言葉を並べるような抽象的な話ではなく、コントロールの基準の低さを許さないフィジカルの差がこうした年代間での対峙では起こっているんです。なので、年齢が下がれば下がる程、高い技術が求められ、シビアな環境になります。
これが、秋田でトップレベルと言われる小学生にはその高い基準を求められる環境が無いわけです。
全国大会に行けばGKや5年生くらいと相違無いレベル。ただ、それは運良く10月に優勝し、12月に鹿児島に行ってはじめて感じる事で、それをここでつぶやいたところでなんともしようがない。
秋田のトップレベルの選手がそこからもう1つ競争があり、高い技術を求められる状況が秋田では用意出来ていない。環境が秋田の育成の問題点です。なので、現状としては出来るだけ早期に秋田を離れる事だと思っているので、そのチャンスがある選手、選択出来る環境にある選手はどんどん後押しをしていきますが、同時に秋田での環境改善も推進していく必要があります。今回の取り組みがその解決の1つのコンテンツになるかもと期待しているところです。
4月に開催した第1回目ASPスペトレに参加した小4〜中3の選手達
ネガティブではなくむしろ意図した成長環境
もう1つの側面があります。
毎週火曜にジュニアユースのトレーニング担当を拝命している加藤ですが、練習会場はジュニアフルサイズくらいの天然芝ピッチを定期利用させて頂いていて、昨年に引き続き今年も芝養生のお手伝いを少しだけ予定しています。ピッチを少しでも良くしてプレーしやすいように今年も可能な限り芝平出動頑張りたいと思いますが、この火曜のジュニアユーストレーニングもスペトレに準ずる機会になっていて、必ず1時間程8v8〜7v7の時間を確保し、3学年混合としています。
まさに中1にとっては2学年差です。そこにウチのスクール生を加えたのが先日の第1回ASPスペトレになるわけですが、これが前述の「下の年齢の者が上の年齢の者と対峙する厳しい環境の中で磨かれる」という下の学年の子達を引き上げる為だけの機会ではないという事です。
むしろ、この機会は今のASPジュニアユースの3年生の現状に照らすと「中3メンバーの成長の為に必要不可欠で必ず継続実施すべきもの」と考えています。1時間はテクニックとフィジカルに働きかける内容、残り1時間は徹底的にゲームです。8人制で使用するジュニアサイズを更に4分割している中で同等の7〜8人でプレーします。
こうせざるを得ないというネガティブなものではなく、自分の中では状況と設定がある程度マッチした感じになっています。実際、ジュニアのアカデミーでも自分はフルサイズの会場をほとんど予約していません。決して抽選負けして取れていないわけじゃありません(笑)なので、小学生にしても中学生にしても自分の設計はこうなので全く問題ない。広ければ広い程、選手が育ち、サイズに比例して有能な選手が輩出されるというエビデンスは存在しないし、昨年対戦させて頂いたvivaio船橋さんはフットサルコートで活動し、アンダーの代表を何人も輩出している。むしろ狭い方が〜というエビデンスが出てきそうな勢いです。
強度、負荷についてもジュニアユースのあるご父兄からは「火曜トレーニングの翌日、水曜朝だけ起きてこれない」と報告をもらっているのでフィットネスにもしっかり働きかけは出来ているかなと。
3年生、2年生、1年生が混ざる事で最上級生に起こる現象、これが凄く今ASPの3年生が課題としてきた部分を改善してくれる大切な要素になると思っています。あまりに内部のお話になるのでここの詳細は割愛させて頂きますが。
いずれ、ASPが現在解決したい要素、秋田の育成環境の改善「秋田」と言っても自分は秋田県を大きく変える為に大改革〜みたいな事は1mmも思っていなくて、人を巻き込んで事を起こすのが苦手な上に大きなうねりを作り出す力も発信力もない。これ!と思う事を自分の領域でそれこそ最速最短でまずやる。それしか出来ないのと、そうした活動の総数が最終的に「秋田の〜」というフェーズに繋がって行くと思うので、まずは日常のスクール、毎週火曜のジュニアユース、ASPオリジナルの多世代混合トレーニング、これらの中で探っていきます。
今回は完全に指導領域のお話。企業を訪問していると「えっ、加藤さんがサッカー教えるんですか?」と、メガネ加藤がサッカーなど出来るんすか?的な驚きを隠そうともしない方々が散見されますが…加藤、まず基本が指導者です。一応サッカーはやってきました。引き続きよろしくお願いいたします。
最後に2つ!
加藤個人のパーソナルトレーニング、おかげさまで1月から全て満員御礼でASPの選手、そうでない選手、様々にご利用頂いています。その月のスケジュールに照らし月間2をベースに最大でも5名程度なのでそりゃ埋まるでしょ、という話なのですが、先日、ご利用されたご家庭から販売開始日の9時にヨーイドンで取れた、取れなかったみたいな話を聞かされ(苦笑)申し訳ない気持ちと需要がある事に対しての嬉しい気持ちと…
いずれ小学生も中学生も広く対象としているので何かのキッカケ作りに、日常のトレーニング方法獲得に是非飛び込んできて下さい。もちろんその1回だけで大きな改善は出来ないかもしれませんが、日常に働きかけるトレーニングメニューなども処方しますし、LINEグループを形成し、期間に関わらずいろんなご相談にも応じる事が出来ます◎
先日、スポンサー企業の訪問の際に2種年代(高校年代)1種年代(社会人など)について話が及びました。
ジュニアユースを卒業した後、我々としては2種の高校、クラブへとリレーをするわけですが、その選択肢として細く沢山を用意するのではなく、豊富な選択肢の中に何個かだけでも太い選択肢を持てるといいなと。しかもそれが1種にまで続くような3種から1種、ASP的に考えると最大4種から1種まで。秋田の中では凄く画期的で魅力的なアイディアが1つ持ち上がりました。
早速来月から検討に入ります。ほんとコレ、形になるといいな〜と考えています。
あらかじめ断っておきますが、ASPが高校年代のサッカーチームを立ち上げますという話では決してありません(苦笑)頼まれても不可能です。
昨年度の決算は赤字となりました。来年度も赤字となるとキャッシュ上、倒産に向かいます。法人内の新規事業はそのイニシャルだけでキャッシュアウトをもたらすレベルなので、このお話もあくまで連携、共同参画のお話です。でも久しぶりにワクワクするお話でした。夏くらいまでに発信出来るように進めて参ります!