水曜に大阪、木曜に東京、金曜が千葉と来て~土曜が岩手で座禅&TRMを消化し、日曜が宮城でのTRMと。水曜に出てからは金曜の晩に一瞬だけ寝に帰宅しただけで土曜早朝には数日空けて溜まった仕事をしに事務所へ向かい、8:30の遠征集合に間に合わせ遠征に向かいました。色々あった1週間だったな・・・と思いつつもあまり振り返る時間もなく、ようやくホテル時間で余裕が出来てこちらに向かった次第です。
FC今治高校里山校に学ぶ教育の在り方
今回は教育について取り上げたいです。なぜ今週の大阪だの東京だのと話をしたかと言うと、大阪の展示会はさておき、東京で足を運んだこちら
EDIX東京(教育総合展) https://www.edix-expo.jp/tokyo/ja-jp/visit.html
で聴講したセミナー「日本の学校教育はどこに向かうのか」のお話。
登壇されたのは今や「教育者」としての肩書の方が強い元日本代表監督、現今治学園・学園長の岡田武史氏と、最近、割とセットで見る機会が多い、元大空小学校初代校長の木村さんなど。
加藤、以前今治には足を運んでいて、今治FCが自前で建設した現asics里山スタジアムを視察した事があります。
里山スタジアム https://satoyamastadium.com/
里山スタジアムについては職員の方に丁寧にご説明頂きながら見学させて頂きました。そのスタジアム視察で愛媛に足を運んだ頃、ちょうどホテルのテレビでニュースに取り上げられていたのがFC今治高等学校 里山校の1期生の入学、開校式のニュースでした。
どんな高校か?簡単にまとめると・・・
元サッカー日本代表監督の 岡田武史 が学園長を務め、「自分で考え、動き、仲間と社会を変えていける人」を育てようとしている高校。主な特徴は
- 午前は基礎学習、午後は地域や社会に出る「探究・実践型」の学び
- 定期テストを基本的になくし、暗記より“考える力”を重視
- 教員を「先生」ではなく「コーチ」と呼び、生徒と一緒に学ぶ姿勢
- 地域企業・自然・街全体を学びの場にする
- 生徒の興味関心を重視し、自由度の高いカリキュラム
- 「サッカー学校」ではなく、リーダーシップや主体性を育てる学校
- 全寮制に近い形で全国から生徒が集まる
- 海外や大学との連携も積極的(スタンフォード大学系プログラムなど)
また、「校則がかなり少ない」ことでも知られていて、
- 命に関わることをしない
- 法律に触れない
- 人の成長を邪魔しない
という考えを重視。一般的な進学校というより、自分のやりたいことを見つけながら、実社会で学ぶ学校。
また、3年生になると寮から出され、最後の1年をどこでどう過ごすかは自力で決めなければならないそうです。地域のどこかと繋がり居候、自力でアパートを借りて暮らす、仲間とシェアハウスを作りそこで寝食を共にする・・・などなど
試験では筆記が無く、学力ではなく面談やワークショップからジャッジされるそうで、社会における真のリーダーを育てる様々な取り組みがなされていると。
FC今治高校里山校 https://fcihs-satoyama.ed.jp/
エラー&ラーンが許される現場とは?

これまで岡田さんの講演を散々聞いてきて、最近ではもう話の流れから次に何を話するのかも事前にわかってしまうレベルの自分としては、娘の進学先に今治を考えなくもないのですが、ただこちらは金銭面や本人の意向も絡む為、まず一旦この件は置いておきますが・・・
このFC今治里山校ですが、細かなルールが無い為、1年目は恐ろしくカオスに陥るそうです。岡田さんが「エラー&ラーン」と言っていた、失敗させ、そこから学び、成長させるというこのエラー&ラーンですが、これ、その導入を皆さんの環境に置き換えて考えてみてもらいたいです。皆さんの職場で新人に、皆さんの学校で生徒に、皆さんのチームで選手に、どのくらいこれを実行できるでしょうか。
公立の学校ではたして「やらせておく」は通じるでしょうか。今の世の中、ちょっとしたトラブルやいざこざで保護者が学校に、あるいは先生に連絡をしてくる時代です。
講演を聞いた時のメモを、戻りの飛行機で解釈を加えながらこう綴りました。
エラーを起こす
トラブルを起こす
これによりさじ加減を覚え、対処を学ぶ
許される年齢までに疑似体験の中でそれらを学ぶ
しかしながら「ミスをさせ、トラブルを起こさせ、見ているだけ」この様を
「管理していない」「何もしてくれない」と、親が出てくる可能性は高い
最初から最後まで何もしないことは放棄だけれど、大人がすぐ出てくる、未然に防ぎにくる、この「介入」は教育ではない。放置しすぎるとカオスになるし収拾もつかなくなるが、
命の危険を脅かすまでに至らないことや他人の権利や自由を奪わない範囲において大人が我慢して見ておくことで子供たちが得るものは大きくなる。それが活きた経験になる。
介入しない、見守ること。
我慢出来ないのはいつだって大人。
この土日、U13の選手達を連れて遠征に来た中で、ドンピシャでこれらが試されるシーンがありました。
ASPとしては非常に珍しいAPAホテルでの宿泊。最近ではどこも高額になってきた宿泊費も、今回、古川駅前のAPAが朝食付きでも非常に安かった為、1人部屋で自力で早朝起床というミッションも魅力に思い、20名分の予約をしました。
チェックインし、選手にルームキーを渡し、説明。ここでの説明はルームキーを持たずに外に出ると閉じ込められるぞという解説になるのですが、ここが凄く悩みました。
全員にそうしたミスをさせない為に、懇切丁寧に、そして強く説明をすればかなり高い確率でそうした閉じ込めのミスを防ぐことが出来る。
ただ、ミスさせない為の「事前の強い提示」は先ほどの今治の話でいくとある意味対局する考え方かと。
結果から言うと、解散5分で2人閉じ込められました。一応は「カードを持たずに外に出ると閉じ込められます」「その場合は加藤は何もしません」「廊下で一晩過ごして下さい」とだけ伝えました。強くは言わず本当にサラッと伝えた程度でした。
1人はすぐに直接フロントに。頭を抱え、自分に(加藤に)それを知られるのが本当にバツが悪そうな表情でした。次は仲間2人を引き連れて、言いづらそうに、絞り出して「コーチ、すいません・・・」と、荷物を出し入れしていたら閉じ込められ・・・と、靴は無く、靴下でフロントまで来ていました。
選手からすれば、大人に強く提示され、ミスが起こらないように様々な対策をしてもらいながら、レールを進むだけならミスなく過ごせるし事なきを得るわけですが、この事例でいけば閉じ込められるというアクシデントにより指導者にそれを知られ、ホテルに迷惑をかけ、ある意味忘れられない学びになった事例だったと思います。
他方、ホテル側の視点もあります。
「あの指導者、ちゃんと説明しなかったのかよ!」と、話しているかもしれません。「まただよ、いい加減にしよろ!」とか。教育や指導において「やらせてみる」「ミスをさせて学ばせる」これは非常に聞こえはいいですが、実際、これをそのまま遂行するとカオスです。
想像してみて下さい。何もしないんです。選手同士が、子供同士が喧嘩していても、様々なルールを課さないでやりたい放題やっていても、事が起きてからそれを拾い上げる。何もしていないように見える、管理が不足しているように見える、そこに対価を払うという「対価を払う側」「対価を受け取る側」双方の難しさたるや。
ルールや管理により正しさを学ぶ教育や育成と、本人達にやりたいようにやらせてみて、ミスやトラブルを発生させた中でそれを取り上げ、見守っていく教育や育成。自分はこれを方位磁石のN極とS極のような正反対のモノであると考えていて、現状、後者に魅力を感じながらも前者に寄った指導をしているのが現実です。なぜならそれは対価を頂いている中で何ら処方をせずに「やらせているだけ」と見えては納得してお支払い頂けないだけでなく、自分自身そこに納得が持てないからです。ほぼ性格によるものと言えます。
ただ、子育てについて言えばウチの娘達に関しては放任もいいところです。姉妹ともほぼやりたい放題。時折ルールを設けたり、指導みたいな局面もありますが、加藤家は基本、自由です。姉は今治の動画を見せた時、興味があるような話をしていましたが、果たして数年後、希望するものかどうか(その前に加藤が払えるか否かの問題の方が心配ですが)普通に自宅近くのいずれかの高校でもいいと思っていたりもしますが、どんな結末になるかは未知数です。
今治モデルの魅力と危うさ
今治では入学説明会などを先生たちではなく生徒が主導して実施しているそうです。2期生、3期生と、次に入って来る子達にどれだけこの学びの素晴らしさを伝えられるか。凄く重要な説明会、開催日が迫っても何も報告が来ない事に岡田さん、相当焦ったそうです。
「準備進んでるのか?」「普通、俺んとこに進捗を伝えに来るだろう?」「俺は何かしなくていいのか?」などなど、岡田さんから生徒たちに話をしたそうです。ところが、生徒たちからは「岡ちゃんは何もしなくてもいい」「まあでも少しなんかしゃべってもらうか」くらいの話をされただけで、当日までどうなるか全然わからないままだったそうです。
ですが、説明会当日は本当に素晴らしい出来だったそうで、生徒たちが来場者を迎え、案内し、学校の魅力を伝え、大人が想定していた以上の空気を作り出し、大人が仕切らなくても生徒たちが学校を作り始めていると感じ、生徒の主体性に大人がついていけないところまで来たと感じたそうです。
生徒を管理する学校ではなく、生徒が学校そのものを作っていく実験的な場という、表現するならばこの魅力と危うさ(苦笑)自分の指導領域に当てはめて考えると非常に悩みが深くなります。
立ち居振る舞いや、生活の中であるべき姿など、正解をしっかりと提示し、それを実践しなぞる中で定着を目指すのが自分の中での現在の正解で、特にこの1年はそれを継続的に進めてきました。今回のルームキーの話もそうですが、ホテルや他者に迷惑をかけまくりながら「これで選手が大きな経験を得て成長する~」と言ったところでこれが社会の中で許されるのか。指導者側としても管理責任を問われながらどう選手達と向き合うのか、非常に難しい判断となります。
今治の事例に関して言えば、自分たちの学校の中というある意味1つの箱の中での様々な実験なのかもしれない。フィールドワークの中で他者に迷惑をかける設計ではないのかもしれないし、あるいは岡田さんも言うように「様々な言われ方をする」という今治の実際の現場には自分のような表面的な部分しか見えていない者にはまだ理解出来ないもう1層、2層深い領域があるのかもしれません。
いずれ、今回の聴講も考えさせられる機会になりました。引き続き悩みながら、都度、最適解を見出しながら選手達と向き合っていきたいと思います。




























