突然、なぜか「BL読みたい」と思い立ち、いろいろ漁ってみました。
少女漫画、TL、レディースは、結構あらゆるものに手を出していましたが、BLはごく一部の好きな作家さんのみしか知らず(日高ショーコさん、夏目イサクさん、木下けいこさん、よしながふみさん、など)。
昔見たアニメ「ひとりじめマイヒーロー」を改めて見て、「何度見ても面白い!」と原作本を大人買いし、それに飽き足らず「読んだことのない作家さんでいい人いないかな」と、物色してみることに。
いざ探そうとすると探し方もわからず(笑)、ひたすら試し読みなどを重ねて、いくつか購入した作品の一部をご紹介。
多賀タイラ「テイクユアータイム」
ほんっとうに面白かった!そして、終始ニマニマしてしまいました(*≧∀≦*)
これこれ!こういうのが読みたかったの!と思わず声を大にして言いたくなるような。
お話としては、とある会社勤めの主人公(志島)が突然にいつも真顔無表情の部下(滝藤)に告白され…という、BL的にはとてもありがちなお話ですが、ものすごく普通の感覚の主人公の「なんで俺?!」という戸惑いや、常に真顔で口数も少ない滝藤の不意をつかれる表情の変化にこちらも意表をつかれたり。特に大きな事件があるわけでもないのに、会話のひとつひとつや、本当にささやかな気持ちのやりとりにほっこりしたり笑ったり。同僚(女)とのやりとりなども楽しくて、購入後も何度も読み返してしまっています。
1冊完結(同じ世界別主人公で1冊ありますが)。本編ではエロっけ全くなし。それでも、垣間見える滝藤の好意に、「尊いってこういうこと!?」と思わずにいられない萌えがありました(笑)その後を描いたAfterも笑えて萌えるよいお話。完璧!
で、次。
宮田トヲル「彼のいる生活」
母親同士が友人だったことから、大学から一緒に住むことになった幼なじみ同士のお話。
これもよかったー!
主人公(夏川)のことをひそかに思っているカースト上位を感じさせる爽やかスポーツ青年の一仁(かずひと)。憧れの一人暮らしが「二人暮らし」になってしまったことに若干の不満を抱えている夏川に対し、一仁のウキウキとした様子の可愛さたるは!
夏川の気持ちを大事に、自分の気持ちを気づかせないよう振る舞いながらも、その好意は読者にはダダ漏れで、そこに気づいた夏川の葛藤もまた優しくて愛おしい。嫌な奴も出てこず、優しく幸せな時間でした。番外編登場の二人を見かけた腐女子「モブ子」が面白い。彼女の気持ち、本当によくわかります(笑)
鈴木みんた「ゴールデンスパークル」
家族以外の女性に対しトラウマを持った主人公(日葵:ひまり)と、高校で出会った同級生イケメン(麻田)。女性を避け続けた結果、常識的な性知識すら持たなかったがために、自身の身体の変化に密かに悩んでいた主人公。浅田がその対処を教えたことをきっかけに、微妙な関係になっていく、というお話。
どちらも本当にいい子でしたね。このお話で思うに、BLでエロに走りがちなのは、やはり男同士、行為や話題にすることの敷居が低いことが原因なのだろうな、と。エロいけれど、身体的な反応に現実的な対処も必要で、その行為がまた、好意へと繋がってしまうのも自然に感じてしまう。そんなことを感じさせてくれた作品。高校生らしい爽やかさもGood!「真面目な勤勉さ」が斜め上に発揮されるシーンがまた微笑ましかったです。
同じ作家の「恋をするつもりはなかった」も購入。
こちらは一転、30の大人が主人公。
常識的で、見た目も美しく、仕事も出来る主人公(桐谷)。自分が「女性よりも男性に目がいく」「しかも“そっち”か」と自分の性癖に気づくも、日常の中でそれを満たす術がないことに密かに悩み続けている。
「抱かれてみたい なんて 誰に頼めばいいんだろう」
この一言は「普通の日常」を送っている人にとっては、激しく、重く、せつない。
この一言のその先が読みたい、それだけでつい買ってしまったほど、印象的でせつない一言。
こういう気持ちって、女性もあると思います。パートナーに恵まれない、セックスレス、などなど。
女性主人公で「処女が重い」という理由から「一度経験したい」と悩む主人公の漫画「瓜を破る」でも、相手探しに悩むシーンがありましたが、性が忌避される「日常」にそれを滑りこませることが如何に難しいことか、と考えさせられます。
ましてや、この主人公の求める「男×男」ではなおさら。
主人公は30の誕生日に勇気をだして一歩を踏み出し、世界を切り開きます。
物語としては非常にシンプルな恋愛のはじまりの物語。踏み出した先で出会ったロウの「かけひき」は微妙ですが、主人公よしのの魅力と不器用なやりとりに、一息に読みきりました。
京山あつき「ヘブンリーホームシック」
海外赴任先のロンドンで孤独感に苛まれていた主人公(太田)が、やはり同じように人恋しさを拗らせていた元同級生(行貞:ゆきさだ)と再会。人恋しさからのスキンシップをきっかけに…というお話。
一息に読み切った読後に残ったものは「寂しい」という気持ち。
物語はハッピーエンドですし、二人は幸せの形を見いだしていきます。でも、前半の太田の孤独、行貞の抱えていた寂しさの塊が印象的すぎて、最後まで「寂しさ」がぬぐいされなかった。
「寂しい」は猛毒だ。人の価値観を変容させ、蝕んでいく。太田のロンドンでの知り合いが結婚することで自国を出ることになるシーンもまた印象的で、「寂しい」を畳み掛ける。二人は、この「海外勤務がなかったら」恋に落ちることはなかったのではないかと思う。「恋」というよりも「生存本能」とも言えるふたりの結びつきが、重い。そんなことを感じた作品。
田中森よこた「愛というなまえ」
父親が死に祖母の家で暮らすことになった主人公郁朗(いくろう)。そこには、葬儀の時父を「ゴミみたいな人間」といい、郁朗につらくあたる従兄弟の恋文(こいぶみ)がいた。ある日、父に対し含みのある物言いでつらくあたる恋文に、郁朗はきく。「俺の父さんのこときらいなの?」と。そこで明かされる衝撃の事実。恋文の抱える傷と弱さを知ることになる。
こちらも「寂しさ」を抱える恋文とそれを知り「守りたい」と思う郁朗の交流に目が離せないお話。従兄弟同士、淡々とした日常の中、自身の「脆さ」で郁朗の未来を潰さないよう健気に振る舞う恋文と、「守りたい」の気持ちの先を自覚した郁朗の男らしい優しさをずっと見守っていたい気持ちになりました。Hシーンはむしろ余計かな?なくても二人のお互いを思う気持ち、一緒にいることが自然、と思わせられるラストシーンには「愛というなまえ」のタイトルが胸に落ちる気がします。本編、方言がいい味を出しています。Hシーンを省いて実写化してもいけそう、などと思ってしまった。
私は気がつきました。
私が「面白い!(*≧∀≦*)」と思うBL漫画のその多くは「女性(日常)を排除していない」こと。そこは「なんで男が好きなんだろう」という葛藤が生まれやすい世界で、その戸惑いだったり、結局「性差関係なく人として好き」に至るような物語が好きなんだな、と。ひとつの発見です!これからも探していきたいと思います。おすすめあれば、ぜひ教えてください!
(ちなみに、「ひとりじめマイヒーロー」よりも実は「ひとりじめボーイフレンド」の方がツボ。この支倉のように、腹黒王子でぐいぐい系のくせに相手に振り回されてしまうようなお話ももっと読みたいので、知っている方、ぜひ!)