今回はスミレの仲間が多く見られました。スミレの花は左右対称の5弁花、上弁と側弁が2個ずつ、下の唇弁が1個でその後方基部は袋状の距という構成です。多くの種類がありますが、同定は簡単とはいきません。判断の元になるのは花の形・大きさ・色よりは、葉の形状・色・斑の状態の方が識別ポイントに感じました( 他に各部の毛の有無もありますが、老眼の私には・・・ )。
【 エイザンスミレ 叡山菫 】
名は比叡山に生育するスミレであることに由来しますが、ここ高尾山でも見ることができます。葉が細く裂け、一目で他のスミレと判別し易いのですが、さらに細い葉のヒゴスミレもあります。ヒゴスミレは葉が五つに分かれ、エイザンスミレは三つに分かれます。地域により絶滅危惧種などに指定されていますが、減少の原因は、園芸目的の採集・シカの食害等が考えられています。
【 アミガサユリ 編笠百合 】
名前の由来は、花の形が編笠に似ていること、さらに花の内側に紫色の網状の斑紋があることからです。別名のバイモ( 貝母 )は生薬名としても用いられるようです。この花を見てすぐに頭に浮かんだのは、北アルプスで見たクロユリです。色違いのそっくりさんに思えました。尚、この編笠百合は山野草ではなく、中国から漢方薬として移入されたもののようです。
【 フイリヒナスミレ 斑入雛菫 】
以下に示す写真のものは葉脈に沿ってクッキリと明確に斑が入っています。普通のヒナスミレにも、葉に薄く斑の入ったように見えるものも多く見られますが、どの程度で「 斑入り 」と分別するかは主観的なものになり微妙なものも多いようです。
【 ノジスミレ 野路菫 スミレ 園芸種 ? 】
なぜか園芸種と決め込んで、いい加減に 1枚だけサッサと写したものです。色が濃くて鮮やか過ぎると思ってしまったのでしょうか ? 後で写真を見るとノジスミレのようにも思えて来ました。
【 ニリンソウ 二輪草 】
十日前に比べてかなり数が増えて咲き揃って来ました。あと少しして花数が多くなったら、ミドリニリンソウを探してみたいと思います。ニリンソウの白い花弁に見えるものは実は萼です。萼は本来は緑色ですので、部分的もしくは全面が元の緑色に戻った状態のものがミドリニリンソウです。先祖返りしたニリンソウと言われています。
【 アメリカスミレサイシン 亜米利加菫細辛 】
見たこともない ヘンテコリン なスミレを見つけました。写真を撮っていると女性が二人来て、「 これアメリカ、アメリカ・・・、なんだっけ ? 」、私が「 アメリカ ~ スミレ って言うんですか ? 」と聞くと、スマホのご自分が撮った写真記録を調べてくれて、アメリカスミレサイシンと判明しました。京都からタカオスミレを見に、夜行バスで来られたそうです。
【 タカオスミレ 高尾菫 】
前述の京都から夜行バスでこの花を見に来たという、女性お二人の目的のタカオスミレです。沢沿いの湿り気のある半日陰の林のふちなどに好んで咲いているようです。焦げ茶色( シソの葉のような色合い )の葉が特徴的です。もう少し花・葉ともに数多い姿を見てみたいと思っています。
【 オキナグサ 翁草 】
6 枚の花弁のように見えるのは萼片で、外側は白毛が密生し白味を帯び、内側は暗赤紫色をしています。萼片だけでなく、葉や花茎など全体的に白くて長い毛に覆われています。花後にできるタネには白く長~い毛があり、その毛が密集して風にそよぐ姿を老人の白髪に見立てて「 オキナグサ( 翁草 )」と呼ばれています。
【 ヒメニラ 姫韮 】
とにかく小さな白い花で、縦・横幅・正面から見た径 どれをとっても 5mmに満たない大きさです。その場で会った方に「 ここ・ここです ! 」と言われても、すぐにわかりません。目を離すと再び見失ってしまうほどです。
・・・高尾山花紀行 21-④ へ続きます・・・