軍曹!時間だ!… -61ページ目

HEATは熱い?

とある調べ物をしている際にふと目に留まった過去写真

平成25年度防衛シンポジウムで撮影

3000K以上のメタルジェットで

装甲板を射抜く

 

「3000K」?「K」ってケルビンのことか?

色温度の単位であるのは知っているが何度なんだ?

と調べてみたら0ケルビン=絶対零度(約-273度)

3000K以上ということは約3000度ってことだ

 

つまり

約3000度のメタルジェットで

装甲板を射抜く

ってことだよね。

えーと、確かジェット先端の浸徹時温度は通常600~700度であり、時に900度近くまで達するというのは何かの文献で見たことあるけど、3000度?

メタルジェット自体の温度は3000度に達するという事で装甲板が熱せられる温度が700度前後という事なのだろうか?

3000度という事はメタルジェットのもととなる銅は蒸発する温度(鉄もだけど)なんだから「流体金属」ではなくて「気体金属(ガス)」だよな。

とすると「高温のガスで装甲板を溶かす」という表現もあながち間違いではないのか?

奥が深いな。

 

ラインメタル130㎜滑腔砲(考察)

今回ラインメタルから130㎜滑腔砲のリリースがあったことで驚いた方は多いだろう。

130㎜?なぜ?

140㎜の間違いなのでは?

 

実際にラインメタルでは新戦車用として140㎜滑腔砲を開発していた。

と言っても15年以上前の話だ。

「第34回 砲と弾薬 シンポジウム&展示会」(1999年4月26日~29日)

「ドイツの140㎜将来戦車砲に関する研究- 従来型とETC -」より

 

当、シンポジウムでは将来主力戦車の主砲として採用されるであろう従来砲、ETC(電熱化学砲)、EM(電磁砲)の3種類から140㎜の大口径とした従来砲と120㎜電熱化学砲が提示されていた。

電熱化学砲は2017年以降、電磁砲は2030年以降を予定していたが、2017年を来年に迎える本年ですらその動向は不明といえる。

特に、欧州では戦車戦力の大幅削減によって戦車開発はとん挫した状態にあったが、ロシアの新戦車T-14の出現によりやっと活性化したといえる。

といってもラインメタル120mmを装備する各国に対し新たな儲けを考えているのが正直なところではないかと邪推する。

【140㎜砲寸法】

上のラインメタル戦車砲の図で気付かれると思うが、120㎜L55と140㎜はほぼ同じ長さだ。

口径長の記述はないが120㎜L55の砲身長とされる約6600mmと同等とすると140㎜L47となる。

【140㎜砲重量】

120㎜L44が砲身重量1190kg、120㎜L55は砲身が約1.3m伸びて1347㎏と150kgほど増加している。砲身先端部で150㎏強の重量増加という事はバランス取りのために砲尾に4~5倍(600~800kg)のカウンターウエイトが必要という事を示す。

つまり、L44からL55に換装するという事は約1tの重量増加を意味するのだ。

120㎜L44の全備重量は3317㎏であるから120㎜L55は4300kgほどあると言えよう。

それが140㎜となれば更なる重量増加となるわけだ。

画像見るだけで重そうだな。

【新滑腔砲130㎜L51】

そこで今回の新滑腔砲130㎜L51である。

砲身長は6630㎜で120㎜L55と同等だ。

全備重量は3000㎏で120㎜L44よりも軽い。

もっとも、130㎜L51の全備重量は実装する際の部品重量は入っていないので同等と言えよう。

【ねらい】

現、120mL55を搭載している戦車ユーザーの砲換装を一番の目的としながら、その軽量化で120㎜L44ユーザーをも取り込もうという壮大な計画であるに違いない。

【なぜ140㎜砲をやめた?】

当時、各国で140㎜砲の試験を行っていた。

目的は120㎜砲に対し2倍の威力を与えるという触れ込みだ。

これって、砲口パワーなので厳密には貫徹力に影響しないともいえる。

上図はネット上で拾った貫徹威力線図である。

DU(劣化ウラン)弾、WHA(タングステンへヴィーアロイ)弾、Steel(鋼製)弾の貫徹力を表している。

出どこが不明で、信ぴょう性の有無もあるのだが、DU弾がWHA弾に対し15パーセントほど優位というのが的確に示されており興味深い。

また、こんな資料もある

RUAG社の軽量120㎜戦車砲のカタログ内データである。

両方の線図で注目する点は速度が増せば貫徹量が比例的に増えるというものではないという点である。

最初の線図ではDU弾が着速1500~1700m/sで最適な貫徹力を持ち、WHA弾は着速2000m/s付近で最適な貫徹力を持つことになる。

弾芯の形状はどちらも現用弾の寸法を逸脱しない、つまり1m未満の砲弾全長に組み込まれる弾芯である。

砲弾長が1mとした場合薬莢底部圧さ及び火管(発射薬を燃焼させるための装置)を考えると飛翔体の全長は最大でも900㎜である。飛翔体は先端に風防、後部に曳光剤が入った翼部を備えるために「-150mm」となり貫徹体である弾芯全長は750㎜程度が限度となる。

ここで、貫徹線図に戻って最大貫徹量を見てみるとDU弾は一番柔らかい鋼板(BHN250)に対し710mm、WHA弾は同750㎜程度であることが分かる。

よく、「APFSDSの最大貫徹量は弾芯の長さ」というのが証明されていると言えよう。

 

話が横にそれたようだが、140㎜を捨て、130㎜にした理由がここにあると考える。

口径を増し発射薬量をいかに増やしても従来の火薬を使う方式では初速2000m/sが限界と言われている。

140㎜滑腔砲は分離装弾方式を採用していたため弾芯寸法は120mm砲と変わらないというものであった。つまり、120㎜であっても140㎜と同じ初速が得られれば同じ貫徹力が得られるという事である。140㎜の存在意義がなくなるのである。

今回の130mmL51の最大の着目点は1.3mの砲弾長である。

300㎜長さが増えたと言うことは単純に現用120㎜に対し300㎜貫徹量が増えるという計算となる。だったら140㎜砲弾を1体型にすればいいという意見もあろうが、今度は約2mという長すぎる砲弾長は輸送、搭載、取り回しが非常に不便なものとなり、実用的ではないのである。

 

ということで、妄想満載の考察(了)

 

 

 

 

 

ラインメタル130㎜滑腔砲

現在開催中(2016年6月13日~17日)のユーロサトリにおいて、戦車砲メーカーとしては世界トップのラインメタル社が新型滑腔砲を公開した。

この新型滑腔砲はラインメタル社のプレスリリース(6月7日)によると将来主力戦車のためのデモンストレーター(実物展示)という事である。

ラインメタル社の情報では2030年に予定されるレオパルト2の後継車(レオパルト3?)という事だが、フランスとの戦車共同開発が締結されているのでルクレール戦車の後継車用の主砲ともいえる。

また、6月13日のプレスリリースによると、130㎜L51滑腔砲は将来戦車用という事であるため、現用120㎜を今後15~20年使用するであろう各レオパルト2配備国に対し性能向上を図った改良120㎜L55(仮称L55A1)および改良120㎜L44(仮称L44A1)を提供する考えのようだ。

 

ラインメタルによる将来戦車構想

出典

http://ir.rheinmetall.com/download/companies/rheinmetall/Presentations/RHAG_IR_CMD_2015_Presentation_1_CEO_RHM.pdf

中期までは現有装備の近代化、長期的には新型戦車構想

第1段階(短期):現用レオパルト2の改良・近代化

第2段階(中期):レオパルト2の主砲を130㎜滑腔砲に換装

第3段階(長期):新型戦車の装備

 

第1段階:現用装備の改良

■高腔圧120mm新型砲身及び新型砲弾

20パーセントの性能向上

■デジタル化砲塔

■状況認識システム

■アクティブ防御装置(ADS)

 

第2段階:新口径(130mm)

■大口径の新戦車砲

■50パーセントの性能増大(貫徹力、効果)

■MGMS(を前提

■2016年から準備

 

第3段階:新構想(MGCS 2030年以降)

■新型主力戦車のためのMGCS構想の開始

■現在、2017年をめどに産業界と協力して構想段階

■現在はドイツとフランスの一般的な計画だが数か国の参加が予想される

 

130㎜L51滑腔砲

砲口径は130㎜、砲身長は6630㎜あるので口径長は51口径

砲身重量は1400㎏、全備重量は3000㎏である。

長さ、重さともに120㎜L55と同等であり、換装が容易だ

 

砲身後部には「130㎜」「L51」の文字が刻まれる。

赤い線は砲身交換時のクイックチェンジ用ライン

砲身を右に45度回すと外れる仕掛け

 

砲尾はかなりコンパクトにまとめられている。

10式120㎜戦車砲とよく似ている。

閉鎖機は垂直鎖詮式でマルチラグ方式を採用

軽量砲の代名詞にもなりつつある方式だ

駐退複座機は120㎜滑腔砲と同様である。

後部から見て右上と左下に各1基の駐退器

左上部に1基の複座器を持つ

 

130㎜砲弾の長さは約1.3m、重量は約30㎏

写真から判断すると薬莢直径は120㎜と同じようである。

薬莢底部は120㎜と共用であろうか?

現用120㎜の換装用として開発していることが砲弾からも伺える。

砲塔は自動装填装置が必須となるから問題ないとして

車体弾薬架は車内寸法と砲弾全長から搭載要領が問題となる。

 

以上、ちょっとまとめてみた。

まとまっているかどうかは貴方師団←打ち込みミス