オスプレイ初飛来
昨日、日米共同訓練のため米海軍のオスプレイがやってきた。
(写真は2015年富士総火演時に撮影)
仕事の積み荷場が軍用機飛行ルートにあるために見れるかと期待していた。
そんな午後三時ごろ、腹に響くジェット機の爆音が聞こえてきた。
相変わらずF-18はうるさいなと、上空を見ると航空自衛隊のC-1輸送機が2機、低空でフライパスしていく。
いつもは演習場上空で物量投下の訓練をしているのかカーゴベイを開いてゆっくり飛んでいるのだが今回は一直線に新潟方面に飛んでいく。
時間的にも今日は見ることが出来ないかなと思っていた・・・・
すると、パラパラと聞き慣れない軽いプロペラ音が響いてきた。
その方向を見ると!!
オスプレイが低空で通過するところだった。
中央の黒いシミが奴だ・・・・・
くそ。木の野郎が邪魔してこんなのしか撮れなかった。
ちなみに拡大すると
微妙・・・
装輪装甲車(改)たいばく
装輪装甲車(改)第2弾だ!
不細工だと評判の装輪装甲車(改)
どうしてこうなったのだろう?
これだ。
頭が天井に付いている。
IED(即席爆弾)でドン!!とならなくても悪路で首やっちゃいそうだ。
『お前は座高が高いからだ!』
と言われればそれまでだが。
要するに、室内高が低いと耐爆用の座席の設置も難しいわけだ。
とはいえ、姿勢を低くし間接防御力を得る設計思想なのだから仕方ないな。
走行安定性には幅が広い方が良い。
しかし耐爆性能及び平時の日本での運用においては幅が狭い方が有利なのである。
そんなわけで、背高のっぽの車両が出来るわけだ。
96式とは真逆のトレードオフを行ったわけだ。
以下は昨年の防衛技術シンポジウムにおいてIEDなどによる耐爆状況をシミュレートしたものだ。
軽量戦闘車両システムのものだが、車両はNBC偵察車がベースである。
装輪装甲車(改)もNBC偵察車ベースとされるので、これらの耐爆技術はフィードバックされるとみていいだろう。
96式装輪装甲車を模したと思われるシミュレーションだ。
通常座席で、室内高も低いのが見て取れる。
IEDは操縦席下面で破裂した状況である。
床面が変形し乗員室内の隊員及び操縦手が大変なことになっている。
耐爆仕様のシミュレーションだ。
乗員室直下で爆発が起こった状況だ。
乗員室下にはV型装甲を含む緩衝部があるため、乗員室の床面は変形していないのが分かる。
また、衝撃緩和座席の装備および高い室内高により乗員の体勢変化が少ないのが分かる。
でも装輪装甲車(改)は普通の座席
公開された室内だが、座席は通常仕様である。
三菱重工製のベンチャーAPCであるMAV(三菱装甲車両)には
衝撃緩和座席が付いていたが、あくまでオプションという話であった。
平時仕様においては通常型シートの方が利便性も高いし、海外派遣時に必要であればその時によ良い座席を設置すれば良いのだ。
大切なのは、その時に必要な座席を設置し、かつ有効に機能できる空間がある事なのである。
背が高く不格好なのはその為だ。
無駄に高いのではなく必然なのだ。
なお、歴戦の米海兵隊装甲車両の中はさぞかし良いフローティングシートのような衝撃緩衝座席が装備されているのであろう。
なにせ「バトルプループ」されているからな。
そこで最後に昨年滝ケ原駐屯地記念行事で撮影した海兵隊のLAV25A2の兵員室の画像を貼る。
これが、実戦で培われた装備だ!!!
装輪装甲車(改)の座席の方が良く見えるのは老眼か脳がバカ?
装輪装甲車(改)
いっけねー!
如月最終日だあ~~っ!!
遠い目をしすぎてたぜ。
というわけで、装輪装甲車(改)について考察してみたい。
【目的】<参照:平成25年度政策評価書(事前の事業評価)>
「装輪装甲装輪車(改)は96式装輪装甲車の後継として、戦闘部隊、戦闘支援部隊等に装備し、戦略機動に引き続く敵の脅威下における戦場機動、戦闘支援、指揮通信等に使用するとともに、国際平和協力活動における車列警護等に使用する。」
対象脅威は海から着上陸する海兵隊や機械化部隊
空から着上陸する空挺部隊などだ。
戦場機動性を耐弾耐爆能力及び総輪駆動(AWD)で付与する。
戦闘員輸送用を標準型とし、地雷原処理等の戦闘支援機能を付与した施設支援型及び指揮統制機能を有する通信支援型の派生車両を有するファミリー化がされている。
試作車仕様書によると試作車は4両あるようだ。
1号車:標準型
2号車:標準車(拡張型)
3号車:通信支援型
4号車:施設支援型
戦略機動性は
・自走による長距離移動
・輸送艦などによる海上輸送
装輪装甲車(改)は96式装輪装甲車の後継装輪装甲車なのである。
なぜ「(改)」なのか謎なのであるが、英語表記では「Improved Wheeled Armored Peasonnel Carrier」と書く。
「Improved」が「改善」を意味するから直訳すると「改善装輪装甲人員輸送車」となるが、96式装輪装甲車(96WAPC)との絡みから「改善型装輪装甲車」=「装輪装甲車(改)」となったんだろう。
「IWAPC(アイ・ダブル・エー・ピー・シー)」とでも略すのだろうか?
俺が試験担当してたら間違いなく流行らすのだが、現場ではなんて呼んでるんだか気になるな。
ちなみに「74式戦車(改)」も説明や文書では「改善型74式戦車」だった。
制式名称は「74式戦車(G)照準暗視装置付き」だけどな。
話がそれた。
目的を細かく見てみよう。
【96式装輪装甲車の後継】
読んで字のごとく後継車両だ。
何故後継車が必要なのか?
『現有装備品の96式装輪装甲車は、国際平和協力活動、島しょ部侵攻対処等に伴う各種脅威からの安全確保、積載性、拡張性等に限界があり、各種脅威への対応が困難なため、防護力等の向上を図るとともに、多様な任務に適応した機能・性能を有する装輪装甲車(改)を開発する必要がある。』
上記を受け
『必要となる防護力等を満足させるためには、車筐の大型化を始め、機関出力の向上、懸架能力の向上等を実施することが必須』
なお、「車筐(しゃひつ)」とは車体箱(ボディ)のことだ。
寸法は以下の通り ※( )内は96式装輪装甲車の寸法
全長:8.4m(6.84m)
全幅:2.5m(2.48m)
全高:2.9m(1.85m)
重量:20t(14.5t)
うむ。
幅こそ変わらないが長さで1.5m、高さで1mほど違う。
デカいから必然的に重くなる。
10式戦車と90式戦車との逆パターンだ。
よろしくないが取捨選択(トレードオフ)上、仕方がないな。
見た目はかなりデカいものであろう。
イメージ画だが、こんな感じだ。
上が96式装輪装甲車、下がベースとなっていると思われるNBC偵察車だ。
なぜこんな寸法になったのかの考察は別に譲る。
俺的には、APCって「戦場バス」だから問題ないレベルだ。
むしろ96式がスマートすぎるのだ。
■96式装輪装甲車からの改善点
【各脅威からの安全確保】
具体的には「秘」にあたるが、3種類の「衝撃飛翔体」及び1種類の「爆薬ブロック」に抗堪するようになっている。
「衝撃飛翔体」とは「KE(運動エネルギー)弾」の事であろうから、NATO標準規格によるレベル4程度までの耐弾能力及び耐爆能力があると推定できる。
各、衝撃飛翔体は基本装甲に付加装甲を与えることで達成、耐爆能力は車筐構造および付加装甲(V型ベリーアーマー)により達成するようだ。
【積載性】
車筐の大型かしかないよな。
・車体幅を広くする
・車体高を高くする
・車体長を長くする
以上3つあるが、耐爆性能の見地から「車体高(車内高)を大きくした(だけ)」だな。
【拡張性】
ドイツ・オランダ共同開発のAPCであるボクサー装輪装甲車を範とし、共通車体(ベースシャシー)に必要な任務後部室(ミッションモジュール)を乗せる方式を取る。
ミッションモジュールの交換で各種型が構成される。
まあ、トラックの各種シェルターの交換と同様と考えていいだろう。
装輪装甲車(改)の車内幅は恐らく96式よりも狭くなっていると推定する。
理由は、平時にも追加装甲を装備していても道路法による車両制限の2.5m未満の車幅を維持するためだ。
96式はその余裕が1.9999・・・・cmしかなかったので追加装甲装着にかなり苦労している。
装輪装甲車(改)はケージ装甲(スラットアーマー)等の嵩張る装甲を追加装備しても基本幅が狭いために運用上有利となる。
なお、なぜ車両制限にこだわるのかは後ほど詳しく説明する。
以上2017年2月28日23:59




















