T-34-85戦車を操縦しよう
【2024.11.2修正】
別のネタを用意していたんだが何気に開いた動画だ。
SETC2018の動画を探していたら勝手に始まったのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=BszSwB_MQHk
https://www.youtube.com/watch?v=YDydg0pcMu4
Olsztynek Bitwa z Polskiego czołgu T34
和訳(たぶん)オルシュティネクの戦いにおけるポーランドのT-34
オルシュティネク(Olsztynek)で開催されたイベントのことなのか、WWII中にオルシュティネクで実際あった戦闘を再現したものなのかは知らん
① 発進準備
右手は変速レバー、左足はクラッチに乗せている状態だ。
左右の操向レバーハンドル(黒いやつ)は前に倒した状態
ブレーキペダル(中央下のクラッチペダルと同じ形状)は踏んでない
・・・ブレーキかかっていないがいいのか?
「操縦手前進用意」
右手を左右に振りギヤのニュートラルを確かめたらクラッチペダルを踏み込みメインクラッチを切断させる
③ギヤ入れ
クラッチを踏み込んだら変速レバーハンドルを2速(手前、後ろ)に入れる
T-34-85は常時噛合い式のトランスミッションである
シンクロ装置は付いていないのでカリカリギヤを鳴らさないと入らない
大型トラックのドライバーなら分かると思うが、シンクロ付でも大馬力エンジン車のギヤは固い
T-34-85はノンシンクロなのでさらに固いから
③両手でブッ込む!
ガリガり!ゴンッ!!
力の限りのギア入れだ
61式戦車でもお馴染みの光景だが、61式はギア鳴りさせなくても入れられる装置が付いている
片手で「コン」と入る
知らないドライバーがほとんどだったが
④左右の操向レバーを掴んだら
⑤おりゃっ!と全力で引く!
「どうよ!」
⑥操向レバーを引ききったら
(やっとブレーキ掛かったね)
メインクラッチを繋ぐ
61式戦車やM4シャーマン戦車でこれやるとエンストだから注意だ
⑦発進準備完了
「操縦手準備よし!」
「前へ!」
ロシア語だと
「????????」
↑文字化けではない
⑧ 発進
操向レバーハンドルを慎重に前へ倒す
つまり、足で操作するメインクラッチの代わりに操向クラッチで発進制御しているのだ
チハ車(九七式中戦車)の裏ワザと同じだな
「操縦手、前進方向、前方風車」
直進はこんな感じだ
⑨ 旋 回
「操縦手、右へ」
操向レバーハンドルを少し引くと操向クラッチが切れ緩旋回ができる
※下り坂では逆操向になるので要注意
更に曲がりたい場合は一杯に引くと
操向ブレーキがかかり信地旋回状態になる
走行中の信地旋回状態は危険なので素早く戻す
これを「ガク引き操向」というようだ
所望の旋回方向に向くまでこれを数回繰り返す
うーん
最初にブレーキがかかっていないのが気になるところだ
61式戦車操縦手経験者としては操向レバー引い後にクラッチを離す場面は
「エンスト!」と思いドキドキしたぞ
欧州最強戦車競技会(SETC2018)競技内容
さて、SETCではどのような競技を行うのだろう。
具体的に、これだ!!というものは確認できなかった。
画像の出所は不明なのだが、2017年の得点表(生点)を見ると12項目あるようだ。
今年のSETCを報じたウクライナ軍のホームページでも12項目としているし、内容もほぼ同様のようだ。
つまり以下のようになる
① OFFENSIVE OPS:攻撃戦闘行動(500点)
② DEFFENSIVE OPS:防御戦闘行動(500点)
③ CBRN/RECOVERY:特殊武器防護/回収(50点)
④ MEDEVAC/BDRA:医療搬送/応急修理(50点)
⑤ PRECISION DRIVING:精密操縦(時間点)
⑥ CALL FOR FIRE:射撃要求(700点)
⑦ VEHICLE ID:目標識別(50点)
⑧ RANGE DETERMINATION:距離の判定(50点)
⑨ PISTOL:拳銃射撃(命中・時間点)
⑩ REPORTING:敵状報告(50点)
⑪ OBSTACLE COURES:障害路走(時間点)
⑫ TANKER OLYMPICS:戦車乗員オリンピック(時間点)
1500点満点という事だが、点数だけで1950点ある。
生点表だから点数補正がかかるのかもしれないが細部は不明だ。
ちなみにSETC第1回目の時は攻撃行動(350点)と、防御行動(350点)に各50点の得点を持つ6個競技(合計300点)を加えた1000点満点だったようだ。
【OFFENSIVE OPS:攻撃戦闘行動】
本競技会のメインイベントといえる。
戦車小隊が横隊で攻撃を行う。
ウクライナ軍のSETCを報じたホームページでは各車10目標で10発のように書かれていた(自動翻訳)
小隊4両で40目標になるのでちょっと多すぎる。小隊で10目標、40発なのだろうか?
攻撃戦闘において行進間射撃を行うアメリカ戦車(M1A2SEPv.2)
【 DEFFENSIVE OPS:防御戦闘行動】
防御戦闘行動については情報が少なく良く分からない。
防御戦闘において稜線射撃を行うアメリカ戦車(M1A2SEPv.2)
【CBRN/RECOVERY:特殊武器防護/回収】
敵の化学剤(毒ガス)攻撃を受け走行不能になった戦車を回収
化学剤(黄色発煙で現示)のなかで回収作業を行うフランス兵
【MEDEVAC/BDRA:医療搬送/応急修理】
IED(簡易爆弾)により乗員が負傷、履帯が損傷
負傷した乗員をメディバックによる後送を図るとともに損傷履帯を修理する。
履帯を修理するポーランド小隊のレオパルト2A5
後方上空にはメディバックのヘリコプターが飛ぶ
紫の発煙はヘリに対する位置確認用だと思われる。
【PRECISION DRIVING:精密操縦】
指定されたコースを前進及び後退で進むようだ。
乗用車を高速で踏み潰すドイツ小隊のレオパルト2A6
なぜ、潰すパフォーマンスなのか不明
【CALL FOR FIRE:射撃要求】
「CALL FOR FIRE:コール・フォー・ファイア」は軍事用語で「射撃要求」のことだ。
通常は砲兵部隊に対する「射撃支援要求」なのだが、700点という点数もさることながら内容が良く分からない。
動画や写真等も、どれが「CALL FOR FIRE」に当たるものか確認できなかった。
【VEHICLE ID:目標識別】
調べた限りでは25種類の車両及び航空機を判別するようだ。
「VEHICLE」は「車両」と訳されることが多いが、この場合は「乗り物」のことで、陸海空全ての乗り物のことだ。
「ID」は「Identified」のことで「確認」とか「識別」。
【RANGE DETERMINATION:距離の判定】
レーザ測遠機が故障した際の射距離判定だ
目標は20秒間現出し、その間に距離を判定する。
【PISTOL:拳銃射撃】
3つの基本的な射撃姿勢と戦車上からの拳銃(短機関銃)の射撃だ。
各射撃位置には全速力で走って行かなくてはならない。
第1射撃位置に拳銃片手でダッシュするスウェーデン兵
【REPORTING:敵状報告】
いわゆる敵状偵察のことのようだ。
小隊長への各車の偵察結果報告がどれだけ正確か判定される。
【OBSTACLE COURES:障害路走】
戦車の障害走ではなく戦車乗員の障害路走である。
「戦車兵の俺たちが何故!!」という声が聞こえそうなハードなコースである。
障害には一人では越えられないようなものもあり、兵士相互の協力が不可欠だ。
【TANKER OLYMPICS:戦車乗員オリンピック】
戦車の部品をバトン代わりとしたリレーである。
①戦車砲弾+機関銃弾弾薬箱
②履板2枚
③転輪(一枚)
④けん引ロープ
どれも40㎏前後の品物である
スウェーデン小隊の女性乗員もけん引ロープを引きずって激走
この様にSETCは、戦車の性能と乗員の体力知力が伴わないと上位は狙えないのである。
「最強の戦車とは最強の戦車兵が乗る戦車である」
飲酒再挑戦者競技会(SETC2018)
飲酒再挑戦者競技会(いんしゅさいちょうせんしゃきょうぎかい)とは、
「欧州最強戦車競技会」と音声入力した結果だ。
活舌の悪さを物語るが、なんとなく表題にしてみた。
今月(2018年6月)現地時間で3日から8日までの1週間、ドイツにあるグラーフェンヴェーア演習場(Grafenwoehr Training Area)において「SETC2018」が開催され、地元ドイツが優勝した。
SETC(Strong Europe Tank Challenge)は2016年から在欧米国陸軍とドイツ軍が共催するNATO軍の戦車競技会であり、第3回目となる今年は8ヶ国が参加した。
当初「Strong Europe Tank Challenge」を「強い、欧州、戦車、挑戦」という直訳から「欧州最強戦車競技会」と意訳してみたのだが、シンボルマークを見ると「Strong Europe」と「Tank Challenge」に分かれている。
「強き欧州のための戦車による挑戦」という意味のようだ。
実際にも戦車の性能もあるが、優劣を極めるというよりも融和と団結を図る戦車乗員達の年次行事といえる。
参加チームは各国ごと1個戦車小隊、4両であり、戦車小隊の行動と、戦車乗員の団結を見極めるというものだ。
トロフィーは5種類ある。
向かって左より
SETCトロフィー(The SETC trophy)
第1位(1st PLACE)ダーククブラウン
第2位(2nd PLACE)ブラウン
第3位(3rd PLACE)ライトクブラウン
最優秀射撃(MOST LETHAL:最多撃破)
Mk.I戦車が飾られたSETCトロフィーには過去優勝2チームの名盤が取り付けられている。
1位から3位の小隊に贈られるトロフィーはAPFSDS(装弾筒付き翼安定徹甲弾)の弾頭を象ったものでああり、最優秀射撃のトロフィーを含め木製である。
最優秀射撃賞はアメリカ陸軍エイブラムス小隊が勝ち取った。
参加8か国の順位は以下の通り。(1500満点)
第1位 ドイツ小隊:レオパルト2A6(1450点)
第2位 スウェーデン小隊:Strv.122(1411点)
第3位 オーストリア小隊:レオパルト2A4(1321点)
第4位 フランス小隊:ルクレール(1186点)
第5位 ポーランド:レオパルト2A 5(1151点)
第6位 イギリス小隊:チャレンジャーII(1140点)
第7位 アメリカ:M1A2 SEPv2(1100点)
第8位 ウクライナ:T-84U(950点)
上位3チームは全てレオパルト2戦車だ。
しかも55口径砲を搭載したレオパルトのワンツーフィニッシュである。
3位に44口径のA4が食い込んでいるのが興味深い。
さらに、参加レオパルト戦車は全て形式が違うというのも面白いな。
なお、スウェーデンの「Strv.122」はレオパルト2A6の装甲強化版であり、ドイツ本国仕様よりも強力だったりする。
世界最強をうたうアメリカのM1エイブラムス戦車は射撃優秀賞とブービー賞を受賞した。
NATO加盟を目指すウクライナは昨年のT-64BからT-84(旧ソ連のT-80改良)に新規替えして参加したが、自動装填装置の不具合で射撃は惨憺たるものだったようだ。