軍曹!時間だ!… -27ページ目

爆発反応装甲《ERA》の効果(陸上装備研究所)

資料館展示物には爆発反応装甲の実物(爆薬無し)とERAを使用した時と使用しなかった時のHEAT弾の侵徹長のカット試材が展示されていた。

当然、撮影は禁止なのでイラスト化してみた。

寸法は目測なので大体の値であることをお断りしておく。

なお、先の記事の成形炸薬弾の侵徹長(陸上装備研究所)も侵徹試験の試材実物をカットした展示物をイラスト化したものである。

 

ERAの大きさは20cm四方ほどであり、上下鋼板(フライングプレート)の厚さは5mm、挟まれた部分は1cmほどに見えたが、上下鋼板が0.3インチ(約8mm)挟まれた部分が0.5インチ(約13mm)かもしれない。

なお、展示されていたのは研究試作の一例であろう。

過去に公開されていた技術研究本部の資料では数種類が研究開発されていた。

図の様にERAは成形炸薬弾(HEAT弾)の浸徹体であるメタルジェットを分断することで拡散させ浸徹威力を落とす(減衰効果)ことが目的である。

よく、無効化させるという話しを聞いたり見かけたりするが誤りである。

 

過去にイスラエルで実装されたERA(ブレイザー)の阻止効果は85%と言われ、M60戦車に装着した場合、砲塔正面はサガーミサイル(直径120mm)、砲塔側面はRPG-7(直径85mm)に抗堪するという話だった(イスラエル軍担当者による説明)。

これはサガーミサイルの侵徹量が450mm、RPG-7の侵徹長が300mmとされており、それぞれERA通過後の侵徹量はサガーミサイルが67.5mm、RPG-7が45mmとなる。

M60は砲塔側面装甲厚が50mm強なのでサガーミサイルは防げないのである。

 

ERAが軽装甲車両に適用されないのは、このように残存浸徹力で貫通されるのと、ERAの爆発に基本装甲が堪えられないという特性によるのである。

 

成形炸薬弾の侵徹長(陸上装備研究所)

さて、『陸上装備研究所一般公開2019』において撮影禁止だったが公開された展示物にどの様なものがあったか触れておこう。

 

成形炸薬弾(HEAT)の各種金属に対する侵徹効果だ。

 

試験用HEAT弾は直径40mmの銅製コーン

コーン角度は40度(多分)

炸薬はPBX(HMX:オクトゲンをプラスティックで固めた高性能爆薬)

試材は5種類

①~③アルミ合金

④チタン合金

⑤軟鋼

※軟鋼はいわゆる普通鋼と言われるものである。

 

説明ではHEAT弾はコーン直径の4~5倍の侵徹長があると云う話だった。

実際に40mmHEATの軟鋼に対する侵徹長は約200mmであるからコーン直径の5倍(40mm×5=200mm)だ。

したがって、「120mmHEAT弾は1mの侵徹力があるんですよ」と説明していた。

・・・・・・?

計算ちげーよ。600mmだな。まあ、あえて訂正しなかったけど。

 

なお、侵徹長に影響するスタンドオフ(コーン底面と目標までの隙間)については聞きそびれた。

 

①は普通のアルミ合金と言っていたが『普通の』ってなんなんだろう?

②③については「例えばジュラルミンのような強い素材」と言っていたので②がおそらくジュラルミン(7000番台の超々ジュラルミン?)で③が防弾アルミ合金と推察だ。

実は、アルミってそんなに効果があるのか疑問だったのだが③の試材を使用すれば成形炸薬弾対処の装甲は大きな軽量化が可能である。チーフテン戦車がアルミ装甲を試験したのも納得だ。

④のチタン合金だが、侵徹長は軟鋼と変わらないが侵徹孔が独特である。

他の試材はテーパーがついた様相なのに、チタン合金は浅い窪みである。

侵徹孔の大部分は直径8mmほどであることから、テーパー部が少ないと溶解金属のスプラッシュ(しぶき破片)が少ないと考えられる。

 

やはり、WEB上の画像だけではなく実物を見ると新たな発見がある。

陸上装備研究所一般公開2019

昨年は行きそびれたので今年は満を持して出動

車で乗り付けられないというので、八王子みなみ野駅まで車で行って、そこからJR横浜線で淵野辺駅まで220円

あとは、てくてくと、お約束の道を間違えつつ前進

お目当ては機動戦闘車の試作3号車だ。

昨年披露されたのだが、今年は多分ダメだろうと思っていたが

案の定ダメだった。

展示されていたのは試作2号車だ。

霞ヶ浦で展示されていたものと同じウインチ付の回収車仕様

どうやら本車の所有はここという話で、霞ヶ浦には貸し出したという話だ。

 

とりあえず初見の装備はAAVの指揮型AAVCだ。

「C」はCommandの意味

AAVPと異なるのは銃塔が無い

アンテナがいっぱいついている。

 

そして10式戦車は試作4号車である

たまと試作4号車

試作4号車は地雷処理ローラ取り付け可能仕様

 

その他は以下の通り

軽量戦闘車両システム研究試作防護構造車両

各車輪にモータが組み込まれたインホイールモータ車両だ。

各車輪を任意で動かすことが可能であり、ハンドルを回さなくても車輪の回転差で戦車のような操向ができ、超信地旋回も可能である。

 

CBRN対応遠隔操縦作業車両システム

手前のパジェロがが中継ユニット奥の装軌車が遠隔操縦装軌車両

CBRN(シーバーン)は特殊武器のこと。

C:Chemical(化学剤)

B:Biological(生物剤)

R:Radiological(放射線)

N:Nuclear(核)

:以前はCBRの3文字だった。

遠隔操縦装軌車両はユンボ(油圧シャベル)仕様である。

別にドーザ仕様もあるが非展示

アンテナが沢山付いているので指揮通信車両のようであるが遠隔操縦走行及び作業のために必要なのだ。

中継ユニット

 

後は資料館入口に軽装甲機動車の試作車が置いてあった。

資料館内は撮影禁止だったのが残念だが10式戦車試作車時に輸入したドイツのディール社製の履帯とかが展示してあった。