爆発反応装甲《ERA》の効果(陸上装備研究所) | 軍曹!時間だ!…

爆発反応装甲《ERA》の効果(陸上装備研究所)

資料館展示物には爆発反応装甲の実物(爆薬無し)とERAを使用した時と使用しなかった時のHEAT弾の侵徹長のカット試材が展示されていた。

当然、撮影は禁止なのでイラスト化してみた。

寸法は目測なので大体の値であることをお断りしておく。

なお、先の記事の成形炸薬弾の侵徹長(陸上装備研究所)も侵徹試験の試材実物をカットした展示物をイラスト化したものである。

 

ERAの大きさは20cm四方ほどであり、上下鋼板(フライングプレート)の厚さは5mm、挟まれた部分は1cmほどに見えたが、上下鋼板が0.3インチ(約8mm)挟まれた部分が0.5インチ(約13mm)かもしれない。

なお、展示されていたのは研究試作の一例であろう。

過去に公開されていた技術研究本部の資料では数種類が研究開発されていた。

図の様にERAは成形炸薬弾(HEAT弾)の浸徹体であるメタルジェットを分断することで拡散させ浸徹威力を落とす(減衰効果)ことが目的である。

よく、無効化させるという話しを聞いたり見かけたりするが誤りである。

 

過去にイスラエルで実装されたERA(ブレイザー)の阻止効果は85%と言われ、M60戦車に装着した場合、砲塔正面はサガーミサイル(直径120mm)、砲塔側面はRPG-7(直径85mm)に抗堪するという話だった(イスラエル軍担当者による説明)。

これはサガーミサイルの侵徹量が450mm、RPG-7の侵徹長が300mmとされており、それぞれERA通過後の侵徹量はサガーミサイルが67.5mm、RPG-7が45mmとなる。

M60は砲塔側面装甲厚が50mm強なのでサガーミサイルは防げないのである。

 

ERAが軽装甲車両に適用されないのは、このように残存浸徹力で貫通されるのと、ERAの爆発に基本装甲が堪えられないという特性によるのである。