成形炸薬弾の侵徹長(陸上装備研究所)
さて、『陸上装備研究所一般公開2019』において撮影禁止だったが公開された展示物にどの様なものがあったか触れておこう。
成形炸薬弾(HEAT)の各種金属に対する侵徹効果だ。
試験用HEAT弾は直径40mmの銅製コーン
コーン角度は40度(多分)
炸薬はPBX(HMX:オクトゲンをプラスティックで固めた高性能爆薬)
試材は5種類
①~③アルミ合金
④チタン合金
⑤軟鋼
※軟鋼はいわゆる普通鋼と言われるものである。
説明ではHEAT弾はコーン直径の4~5倍の侵徹長があると云う話だった。
実際に40mmHEATの軟鋼に対する侵徹長は約200mmであるからコーン直径の5倍(40mm×5=200mm)だ。
したがって、「120mmHEAT弾は1mの侵徹力があるんですよ」と説明していた。
・・・・・・?
計算ちげーよ。600mmだな。まあ、あえて訂正しなかったけど。
なお、侵徹長に影響するスタンドオフ(コーン底面と目標までの隙間)については聞きそびれた。
①は普通のアルミ合金と言っていたが『普通の』ってなんなんだろう?
②③については「例えばジュラルミンのような強い素材」と言っていたので②がおそらくジュラルミン(7000番台の超々ジュラルミン?)で③が防弾アルミ合金と推察だ。
実は、アルミってそんなに効果があるのか疑問だったのだが③の試材を使用すれば成形炸薬弾対処の装甲は大きな軽量化が可能である。チーフテン戦車がアルミ装甲を試験したのも納得だ。
④のチタン合金だが、侵徹長は軟鋼と変わらないが侵徹孔が独特である。
他の試材はテーパーがついた様相なのに、チタン合金は浅い窪みである。
侵徹孔の大部分は直径8mmほどであることから、テーパー部が少ないと溶解金属のスプラッシュ(しぶき破片)が少ないと考えられる。
やはり、WEB上の画像だけではなく実物を見ると新たな発見がある。