一日千秋楽
『"Quando as máscaras caem"
(クアンド・アズ・マスカラス・カエン)
どういう意味❓️』
『ポルトガル語で"仮面が落ちる"みたいな意味よ"剥がれた化けの皮"じゃ
美味しくなさそうでしょ』
『なるほど要らなくなった皮なんて不味そうだもんね……というわけで
"クアンド・アズ・マスカラス・カエン"
お父さんとお母さんのために創りました
先生と蔵人さんもどうぞ召し上がれ』
洋美の声を合図に、ピンクのカクテルが一斉に喉を潤し、誰もが少しだけ、素顔に近づいた。
『久蔵さん老いてみたいと思いますか❓️』
蔵人は率直に訊いてみた。
『全く思いませんね
この歳になると身体が言うことを
聞かない…
物覚えが悪くなる…
小さい字が読めない……
なんて言ってる人みたいになりたいと思わないのは自然なことではないでしょうか
確かに老いることが出来れば特殊メイクなんて面倒なことをしなくてもいいのですが、それでは本末転倒になってしまいます私の夢は歳を取らない秘密を解き明かして、若返る方法を見つけて、老若男女一人残らず若返って幸せになってもらうことなんです
蔵人さんも協力してもらえませんか❓️』
『もちろん協力します❗️
久蔵さん、先生もですよね❓️』
『当たり前よ、老いを知ってから若返ったのは私しかいないんだから。
二度とあんな思いはしたくない❗️
アレは本当に病気よ❗️』
『先生、蔵人さんありがとうございます』
『お父さん、私も加わっていい❓️』
『洋美も協力してくれるか、ありがとう
早速始めたいところですが、そろそろ日付が変わります
お二人には、お部屋をご用意しておりますので一晩ゆっくり休んで明日から始めましょう❗️』
『いやぁ、永い1日でした
あそうだ、沙織さん
お誕生日おめでとうございます
間に合った』
『ありがとうございます
蔵人さんもおめでとうございます
それではお部屋にご案内しますね』
西浦邸の二階に上がると部屋が5つ並んでいた。
ドアの配置から推察するとちょっとしたホテルのスイートくらいの広さはあるようだ。
もちろん全室オーシャンビューだろう。
『こちらが小野先生のお部屋です
蔵人さんは隣のお部屋へどうぞ
ご自分のお部屋だと思ってお寛ぎください
お召変えはクローゼットにご用意しております
お好きなものをお選びください
朝食は10時頃に予定しております
何かございましたら、内線252までお知らせください
それではおやすみなさいませ』
『何から何までありがとうございます
おやすみなさい』
『それじゃ先生、おやすみなさい。』
『起きられるといいわね
おやすみなさい』
小野ユキは悪戯っぽい笑みを浮かべて自分の部屋へ入っていった。
部屋に入ると予想以上のスイートルームだった。
そして何もかもが蔵人好みだった。ウォークイン・クローゼットに用意された衣服のサイズも装いもピッタリだ。
今日知り合ったばかりで、ここまでしてくれる人がいるのか❓️これは夢だ、夢に違いないきっとそうだ、と思っていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
入り口のドアではなく、クローゼットの横にあるドアから聞こえてきた。どうやら隣の部屋と行き来出来るようだ。
『どうぞ』
ドアを開けると小野ユキが入ってきた。
『あら、こっちの部屋はちょっと違うわね
でもどっちも素敵だわ』
『何もかも素敵過ぎて、夢を見ているんじゃないかって思いますよ
起きられるといいってどういうことですか❓️』
『あんたは20日だから大したことないとは思うけど
私の場合は45年だったから
激痛とともに目が醒めたのよ
全身痛くない所がないくらい
雷が落ちたらあんな感じなんだわきっと
その状態が1週間続いて全く動くことが出来なかったの』
『まっすぐな虹を見たというあの時のことですね』
『ちょっと脅かしてやろうと思ってね
20日くらいなら
どこかが筋肉痛になるくらいかな〜
時間に比例するかどうかわからないけどね、ウフフ、おやすみなさい』
と言い残して、小野ユキは自分の部屋へ戻った。

『寝るとするか』
歳を取らない人達の仲間入りをしたつもりになった蔵人の永〜い一日はやっと終わった。
(20日若返るってどのくらい変わるんだろう❓️)
つづく
※31話にしてやっと物語の中の1日が終わりました。
1話から読み返すと若返る🦆![]()








