まっすぐな虹
(ヨットとオープンカーと美しい女性夏なら最高に絵になるのに…
雪とこのオッサンのせいで台無しだ)
蔵人は自虐的になっていた。小野ユキの若さの秘密を知りたいと切実に思った。
『そこに停めて』
小野ユキの指図通り蔵人は管理棟に一番近い駐車スペースにシズカちゃんを駐めた。
4階建ての管理棟の最上階がレストランになっていた。
『いらっしゃいませ
ようこそ原田様お待ちしておりました
テラス席へご案内いたします』
(原田様❓️誰❓️それに、雪が降ってるのにテラス席なんて)
訝しげに思いながらも、蔵人は小野ユキに促されるまま、案内の女性について行った。
(なるほどそういうことか)
テラス席は、総ガラス張りで、暖房が効いていて、まるで温室のようだった。
窓の外には、雪化粧をしたマリーナの景色が広がり、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
『おかけください』
『ランチコース二つね』
『かしこまりました少々お待ちください』
『原田様ってどういうことですか❓️』
蔵人は給仕の女性が立ち去るのを待ってひそひそと聞いてみた。
『今はもう誰も憶えてないだろうけど
昔は一応有名人だったでしょう
急にこんな姿になっちゃったもんだから
ついでに名前も変えちゃったのよ』
(近くで見るとホントに綺麗だなぁ)
蔵人は小野ユキの顔をまじまじと見た。
『で、どうやったらその姿になっちゃったんです❓️』
『まっすぐな虹を見たのよ
そのまっすぐな虹を見てしまった時
そうそう見てしまったって感じだったわ
見てはいけないものを見てしまった罪悪感のような違和感
虹はアーチ型でなければいけないのよって言われた気がした
だから聞いてみたのよ声の主に
それじゃいま目の前に見えてる虹は虹じゃないの❓️って
そしたら黙り込んじゃって』
『答えることができなかったってことですかねぇ或いは…』
蔵人はわかったような気がしたがやっぱりわからなかった。
『声の主は私だったから、私に聞いたの
ここ大事なところよ
私が答えられないということは私を納得させる根拠がないまま虹はアーチ型だと信じていたってことにならない❓️』
『なるほど虹といえばアーチ型って常識になってますもんね疑いもしない』
『だけどまっすぐな虹を見ている人っていっぱいいると思うのよ
逆にアーチ型を見たことない人もいるかも知れない…あっ料理がくるわ』
『お待たせしました』
つづく



