仕事でホンダCB750のメインスイッチのお相手をしました。
(昨年末のお仕事です)
CB750と言っても、
旧車のナナハンフォアではなく、
多分このバイク。
お預かりしたのは、
トップブリッジに付いたメインスイッチ。
ご依頼の内容は、「ほかの改造作業でメインスイッチ周辺を
いじったら、メインスイッチコネクターを動かすと、電源が落ちるので
見て欲しい」と言うものです。
その他にもイモビレシーバーに関するご依頼も。
では見て行きましょう。
メインスイッチの接点メンテナンスも依頼されていますので、
まずメインスイッチを外さなければなりません。
ご存知の通り、メインスイッチは盗難防止の観点から、取付ボルトが
取り付けのために既定トルクで締め付けると、ネジ穴が舐めた状態になって、以降簡単に取り外せない状態になります。
このボルトを外すって作業は、私はとても苦手なので、いつもお世話になっているご近所ショップさんにお願いしました。
ボルトが外れてメインスイッチが取れたら、メインスイッチの隣に
付いているイモビレシーバーも外します。
メインスイッチ以外のご依頼内容に「イモビレシーバーの配線を
取り替えて欲しい」と言うものが有りましたので、
レシーバーを見てみましたが、レシーバーは樹脂硬化されていて
配線を元から引き替える事ができません。
配線にも異常は無さそうなので、お客様に連絡して配線引き直し作業は実施しない事になりました。
続いて本題のメインスイッチ。
メインスイッチのメンテナンスなんですが、キーが一緒に送られて
来なかったので、接点部分をメインスイッチから分離します。
こうすれば、接点部分はドライバーで回りますから。
デジタルテスターの値が不安定で読み取り難かったので、
アナログテスターで測定しつつ、値を読み取ります。
抵抗値や電圧値の変化などを見るには、デジタルより針式の
アナログテスターが向いています。
コネクター端子をテスタークリップで咥え、メインスイッチを操作すると、抵抗値は若干変化しますが、断線はしません。
抵抗値は良い値ではありませんが、使用には問題無い値です。
配線が力を受けて、配線途中で断線している訳では無さそう。
発熱して焦げたコネクターを割って、端子を外しました。
端子には過熱痕がありましたが、電線にはしっかり付いていて、
端子付近の電線には熱劣化が見られますが、
端子から離れた電線には変色はありません。
つまり、電線に許容電流以上の電流が流れた訳では無く、
コネクターの端子部分で接触不良が有り、
接触不良の発熱でコネクターケースが変形し、配線に力を加えると
接触が断たれて、電源が落ちたんだと考えられます。
電線は、コネクター端子から少し離れた位置からメインスイッチ側は
問題ありませんので、電線を少し詰めて端子上げをし、
コネクターを作り替えました。
続いて、ご依頼のメインスイッチ接点です。
先の抵抗測定で、メインスイッチの接点抵抗は、電線も含め1Ωほどの値でした。
接点部分を分解します。
この作業、バネ,ボールが飛び出して痛い目に会う事も有りますが、
さすが最近のパーツ、ボールは保持される構造で助かりました。
接点は汚れが有りますが、「酷い」と言うほどではなく、侵食も無かった
ので、
磨いて接点グリスを塗って、組み立てて終わりです。
画像は撮り忘れましたが、作業後の抵抗はほぼ0Ωになりました。
メインスイッチは純正盗難防止ボルトからステンキャップボルトに
換えて、全て元通りにトップブリッジに組み込み、作業は完了。
コネクターが加熱焼損した原因ですが、2極コネクターの片側だけ
焦げた事から、端子の通電容量を超えたのではなく、
端子の接触圧の不足が原因であったと考えられます。
しかも、送られてきたコネクターのオス端子側ではなく、車体側に
残っているメインハーネスのメス端子側に原因があると考えられます。
その事を報告書に書いて、お客様に返送しました。
無事使用できることを祈って。
おしまい