コンテクストの意味は、注がなくとも分かるようにしておこう。パラドックスの意味もしっかり確認。センター大好き芸術論です。


問2

傍線が引かれているのは『軽やかな聴衆』です。これは対比問題ですね。

何と対比されているかというと『真面目な聞き方をする聴衆』です。

さらに傍線部を拡張してみてみましょう。すると傍線部の上に『表層的な感覚刺激と戯れる』という説明が見いだせます。

では選択肢を見ていきましょう。対比問題ということは『真面目な聴衆』の説明をする選択肢を消さなければなりません。

3と4のような聞き方では、まじめな聴衆になってしまいます。

無関係な、音楽の内容に触れた2と5も違います。


問3

例示問題です。例示問題でしなければならないことは、前提条件を探さなければならないということです。

問題はどのようにして、神話が成立したかということ。本文では、バッハ、モーツァルト、ベートーベンなどの例示をあげています。

その後にきちんと書かれています。『神話は、まさに現代において解体しつつある真面目な聴衆を支えてきた純粋鑑賞の所産』と。

例えば、などの例示があったら、その前後が重要という典型例です。

この前提をきちんと満たした選択肢は5です。


問4

まず、傍線中の指示語を明らかにすることは絶対です。『ここ』とは前文の『そのようなこと』を指します。

『そのようなこと』とはさらに前文の『聞き手は作品を聴きながら作者の人格や個性を感得し、作曲をした時の作者の心情に思いをはせる』を指します。

そして、この指示語の逆説が、傍線部の下に書かれています。

その二つのポイントをきちんと押さえた選択肢。よって3番が正解です。


問5

選択肢を見てください。すべての選択肢が、同じような形をしています。A、一方Bの対比です。

映像メディアの説明を端的にあらわしているのは『コンテクストをも含めたトータルな体験を回復することによって、純粋鑑賞によって生じる神話を除去する方向に働く』です。

その後の『しかしながら』に注意。

ここでのしかしながらは対比として働いています。しかしながら以下が、もう一つのポイントとなります。

この二つのポイントをしっかりと書いているのは2番です。


問6

1と2と3は、最後に注目。『主張している』『歓迎している』『高く評価している』です。

評論文では、筆者の価値判断がなされることはごくまれです。

だから、ここでも疑いましょう。今回読んだ文章の中にも価値判断はありませんでしたので、これらは間違いです。

6は記述なしです。どこにも比較している文章はありませんでしたね。よって4,5が正解。
私が思うに、皆さんはセンター現代文を軽視し過ぎということです。

一度センター現代文の過去問をやってみて、結構正解していたなー、くらいで、見直しは不要と考えているようです。

また、評論に30分もかけたりする人もいる。小説は読書量できまる、などと思い込んでいる人もいる。

センター現代文は、全て特定の作り方をされており、それを知ったうえで演習を積まなければ、いくら過去問を何年分解いても、無意味なのです。

ここで、私がいつもやっている講義の、簡略版を書いていきます。そうすれば、センター現代文が「見えて」くるでしょう。

では、平成17年度をやりましょう。一度自分で解いてから、この解説を読まないと意味ありませんよ。

やりましたね?さて、平成17年度の評論は、センター頻出の芸術論です。

『抽象』など、代表的な評論用語を覚えておけば、楽に読めるレベルですね。

まず、1番重要な一段落から、全体の主題を掴まなければなりません。

「思われがちだが」という逆接から、『人間の目≠カメラのレンズ』が読み取れれば、完璧です。

一段落目から、このことが分かれば、2、3、4段落が『人間の目の説明』、5、6段落が『カメラのレンズの説明』というのが、ハッキリと読み取れます。

そして、8段落から11段落で、『映画のマイナス』を述べました。

それを受けて、12段落から、『映画のマイナスに対抗した小津さん』についての話になります。

このように、自分で軽い見出しをつければ分かりやすくなりますし、次はこうくるだろうな、と先読みも出来ます。

では、解いていきましょう。


①漢字

漢字は、読解問題が終わった後、最後に解きましょう。

読む途中に解くと、論理展開を忘れてしまいます。また、いきなり解くと、文脈で変わる同音異義語に引っ掛かります。


②説明問題

『カメラのレンズ』の説明ですね。ここで大切なことは、『カメラのレンズ』は、前に見たとおり、『人間の目』と対比して書かれていた、ということです。

この対比が読めている人は、『人間の目』の説明である1番を、即消し出来るでしょう。

対比を意識しなかった人は、1番を消去するのに時間がかかります。

センター作問者は、この対比が読み取れているかを見たいわけです。5番では、対比すら成立しないことが分かりますね。対比は重要です。

2番は、即消ししたいところ。「ありのままを正確に」映すなら批判はきません。これも典型的な誤答、『プラス→マイナス』ですね。

3番も典型的な誤答、『言い過ぎ』です。

そもそも、切り取った対象も「現実世界」なのですから、否定すると、単なる虚無主義になってしまいますね。正解は4番。


③説明問題

まず、傍線Bを見てください。傍線の前に「それを見るという行為の側に立つならば」という、仮定条件があることが分かります。

つまり、『条件を満たさない選択肢は×』なのです。2番、5番は、条件「見る側」の話ではないので×。

1番はオカシイ。乱暴な「映画」が、プラスの「写真、絵画」と同質なはずがない。

4番は典型的な誤答、『プラス→マイナス』です。

筆者は、「無用の眼差し」をプラスに捉えている。しかし、「漂うしかない」では、明らかにマイナス。正解は3。


④説明問題

1番は典型的な誤答、『因果不成立』です。因果マーカー「によって」の上と下で、因果関係は成り立っていませんね。

2番も同様に『因果不成立』。「まやかし」が「見ることの死」をもたらしたのではない。

4番は明らかに『記述なし』。これを選んだ人は、きちんと文章を読みましょう。

5番も誤り。映画を見た後でも、絵画を見れば対話は出来ますよね。正解は3


⑤説明問題

選択肢が「ではなく」「よって」で分かれているのが分かると思います。また、傍線部も「よりも」「よって」で分かれていますね。

その「よって」以下で区別しましょう。つまり、「見られる映像」の正しい意味を答える問題なのです。

それが分かれば、消去法を使わずとも、2番が正解であると容易にわかるでしょう。


⑥内容合致

2番と3番と5番は、普通の読み方をしていれば、普通に消せるはずです。内容合致は『読む力』を試しているのです。

1番は「事態に対して」の前後の『因果不成立』。正解は4番。
漢文の読解の説明をしていきます。単語と句形を覚えることが一番大切なので、忘れないようにしましょう。


□基礎

○人名に四角を、地名に丸をつける。

主語の特定が容易になります。また、あとに出てきたときでも、すぐに同じ固有名詞と気づくこともできます。

○前置き、注には要注意。

前置きや注は、問題文の一部です。新情報が入っている場合、横に線を引いておいたほうがいいでしょう。

○逆接に注意。

漢文においても逆接には十分に気をつけましょう。逆接が出たら三角をつけるといいです。


□応用

○漢文の形式は、エピソード+主張が多い。

エピソードで体験談を話し、普遍の真理を伝えるという形の主張に持っていくというのが漢文には多いです。

この形の場合はきちんと、二つの分け目を探しておきましょう。もちろん筆者の言いたいことは主張の部分なので、問題に絡みやすいのもそっちになります。

○反語の処理。

反語ほど問題に絡みやすい部分はありません。ですが、大半の受験生はうまく反語を処理できないようです。

非常にもったいない。ここで裏技的攻略法を伝授します。

反語とは一種の強調です。

「~であろうか、いや~ない」なんてややこしい訳をすると、理解のスピードが遅くなり、理解も浅くなります(訳しなさいという記述問題ならきちんと書かなければなりませんが)。

なんでもいいので、手元にある反語の書かれた文章を出してみてください。

原則は【反語の文章の、最初の動詞、または助詞の上に「不」をつける】です。

すでに「不」がついた動詞の場合は、その「不」をバツで消してください。

後はそれをそのまま訳すだけです。

単純なことに思われますが、この処理は漢文の本質を十分にとらえたものです。

マーク式問題では、この処理でできた訳がそのまま選択肢に載せてあったりします。

○二重否定の処理。

反語同様、こちらも強調の一種ととらえて良いでしょう。「~不~不」などの、否定語が二つあることです。

【否定語二つをバツで消す】です。後はそのまま訳すだけ。

反語と二重否定の処理は最初は戸惑うかもしれませんが、ものにできれば確かな差となります。練習していきましょう。
古文読解の際の武器を説明します。単語、文法でしなかった部分となります。

1、接続助詞「て、」「で、」の前後の文の主語はたいてい同じ。

ほぼ確実、といってよいでしょう。しかし、何らかの挿入が入った場合が例外です。難関大はここを出してきます。

2、接続助詞「を、」「に、」「が、」「ど、」「ば、」の前後の文は同じ確率が高い。

こちらは、あまり信用しすぎると痛い目に合います。注意しましょう。

3、「」のない会話文と心中文を「」でくくる。

終わりは簡単に見つかります。「とて」「と思う」「と言ふ」などです。そこから始まりを探しましょう。

3、挿入句は( )でくくる。

、と、で囲まれた部分です。おわりは「にや」「にか」や、推量の助動詞です。

あまり文章には影響しないので、読解の時は読み飛ばす感じでもいいです。

4、過去の助動詞「き」「けり」の違い。

「き」は作者の直接体験、「けり」は間接体験です。主語を判別するときに役立ちます。

5、尊敬語。

王はハワイへ行き給ふ。

給ふ、は誰に敬意を払っていますか?もちろんです。

つまり地の文で、給ふ、などの尊敬語は偉い人の動詞につきます

「ハワイへ行き給ったのか」

給ふ、は誰に敬意をはらっていますか?わかりませんね。しかし、一つわかることは<会話主ではない>ということです。

つまり会話文で、尊敬語が出てきた場合、その動作をしたのは会話主ということはほとんどない、ということです。まれに自分に尊敬語を使う偉い人がいますが。

6、謙譲語。

先生にお菓子をあげ奉った

奉る、は誰に敬意を払っていますか?先生です。

つまり、謙譲語の動詞の受け手は、偉い人です。ここがわからない人が多い。

謙譲語で、一人の動作で終わることはないのですよ。例えば、わたしはお菓子を食べ奉る、なんてものは成立しません。

なぜなら、食べる、という動作は、食べる本人だけで終わってしまうからです。

あげ奉る、申し上げる、など誰か偉い人に対する動作でなければなりません。

だから、謙譲語が出てきたら、横に「~に・を」と書き込みましょう。

「それでね、先生に申し上げたんだ」

誰に敬意を?同じように、先生です。

地の文との違いは、「」内の謙譲後の主語は、会話主である可能性が高いということです。次に多いのは三人称。

7、丁寧語。

あまり気にする必要はありません。会話で丁寧語があると、相手が偉い人、なんていいますが、すべてに共通することとは言えません。

8、日記・随筆の注意。

作者が登場することがあります。常に作者がいることを意識して読みましょう。

9、和歌

枕詞・序詞・縁語に関しては慣れて覚えるしかありません。

そのほか重要なこととして、<歌を交わしあったら仲はいい>、<倒置が多い>など意識しましょう。


プラス編

前回のベースにここでは実践的な読み方・解き方を教えていきます。

□説明文に注意

本文の前にその場面の説明が書いてあるときは要チェックです。ここが解答に結びつくことも多いです。

重要だと思ったところには、波線をつけておきましょう。特に『その場面に至る経緯』と『登場人物の性質』に重点を置いてください。

□人物を四角で囲む。

これは古文・漢文では当たり前のことです。名前やその人物を表す言葉など、主語になりえる言葉を囲っていきましょう。

こうすることで、主語を見失いやすい古文漢文の動作主をはっきりさせることができます。

□会話文・心中文には「」。

はじめから「」が付いていればいいのですが、ついていないときは自分で「」をつけれるようにしましょう。

下に「と思う」「とて」「といふ」などついているのが目印となります。

□挿入文には()。

文章の間に入り込んだ挿入文をくくります。まずは挿入文を無視して読んでください。すると流れがつかみやすくなるでしょう。

挿入は作者の感想であって、ほとんど情報を持ちませんので。

□指示語はきちんと処理。

入試においては指示語というのは問題に絡みやすいです。

聞かれてから初めて、指示語の指示内容を探すより、読みながらきちんと把握するほうがよいでしょう。

基本的には直前の文や話題になっている話が指示内容になります。

□因果を表す語の横に矢印。

「已然形+ば、」のように因果を表す語の横に矢印を引きます。原因から結果へと矢印を引きましょう。

重要なのは「て、」も因果を表すことがある、ということです。

たとえば傍線部の上が「~て、」のばあいはそこが原因となっており、そこを押さえて、傍線の問題に答えなければなりません。

□尊敬語・丁寧語。

誰から誰の敬意かきちんと把握しましょう。尊敬語の場合は主語の把握、謙譲語の場合は主語と目的語の把握です。

語の横に(~が)(~に)と添えておくとわかりやすいでしょう。

□自然描写は速読。

時々自然描写が本文に入ることがあります。

しかしそれらは問題にからみにくいので、雰囲気だけつかんで、速読してかまいません。情報量も少ないですので。

□全訳禁止。

古文が苦手な人に多いのは、古文を全訳しようとすることです。本番中全訳していては、まず時間が足りなくなってしまいます

重要情報に重点を置いて、どんどん読む訓練をしましょう。

□逆接に三角。

「ども」「とも」「ものから」などの逆接に三角をつけます。その逆接の前後でプラスイメージ、マイナスイメージの逆転が起こります。

すると、読みながら推測ができるようになります。逆接がきたから、今までと対照的な話だな、というような考え方が大切です。
まず初めに言っておきましょう。受験数学は「積み木」です。

学校の定期テストのように、規定範囲内から出題されるわけではありません。

そして試験会場では、いわゆる「基礎問題」、または解いたことのある問題がそのまま出ることはないと考えるべきです。

そのような幻想は無くしておかなければ、入試本番で初見の問題に戸惑って、惨憺たる結果になりかねないのですから。

数学は積み木です。本番の問題を完成形とするならば、受験生に課せられるのは、その形に持っていくよう、積み木を組み立てていくことです。

完成形の積み木はもちろん手元にはありません。だから、それまでに解いてきた基礎問題を積み重ねるのです。

基礎は重要なのは間違いありません。基礎となる部品が曖昧な形ならば、積み木を完成させることが非常に困難でしょう。

もちろん始めのうちは、どう積んでいけばいいのか見当がつかないでしょうが、場数を踏む(応用問題や模試をこなす)ことで自然と身につきます。

その際は思考のプロセスをきちんと意識すること。そうやって整理しておけば、入試問題を解くのに必要な部品はすぐに取り出せるようになります。

ケアレスミスについて。ケアレスミスをなくすためには、自分の間違い傾向を意識することが重要になります。

人間である以上、ミスというのは必ずあります。ですが、そのミスに気づいてすぐに訂正するか、それとも見逃すかで成果は異なります。

一つの方法として、ケアレスミスをしたらその都度、間違いの仕方をメモ帳に書き込む(例:正負の足し算をミス)などして、本番までに意識を高めましょう。

たった一つのケアレスミスは、大問まるまるの不正解にさえつながりかねないのです。失敗はある、それを反省するかしないかでその後が変わります。

記述式について。記述式答案の場合、常に採点者にとって読みやすい答案作りを心掛けましょう。正解に至るまでの式を丁寧に書いておく。

特に重要なプロセスは、配点が高く設定されていることがほとんどです。記述の際は十分に注意しましょう。

最後に。基礎問題を固めておくことは言うまでもない。ですが、それにばかりこだわらず、たとえ本番で見たことのない問題が出ても、身につけた基礎問題を駆使して解答出来るほどに、応用問題、過去問、模試問で演習を積みましょう。