今日、朝日新聞beは休刊。

「悩みのるつぼ」もお休み。

 

「多事奏論」(P11)に

興味深い記事発見。

 

編集委員 岡崎明子さんの

「心をしばりつける言葉

『親孝行』に感じる危うさ」。

一部、ご紹介します。

 

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テレビから、

「お盆なので、帰省して

親孝行します」という

インタビューが流れる。

 

お盆のルーツは仏教の

「盂蘭盆会(うらぼんえ)。

 

餓鬼道に落ちた母を救った

親孝行の話が由来、

という説がある。

 

先日、文芸評論家の

三宅香帆さんと臨床心理士の

信田さよ子さんの対談で、

「教育現場における『親孝行』の

ナチュラルインストール」が

話題にのぼった。

 

例に挙がったのが、

全国の小学校で広まる

「2分の1成人式」。

10歳の節目に親への感謝の

手紙を読み上げると、

親も思わず涙して――

という行事。

 

それぞれの家庭の事情への

配慮に欠けると

これまでも批判されてきた。

 

「家族は仲良く、という

社会規範がもう少しなくなれば

楽になれるのに」と三宅さん。

 

「家族への規範は弱まる

どころか、ここ最近、

強まっているのではないか」と

信田さん。

 

20代の人との会話の中で

「親孝行」という言葉が

自然に出てくることに

驚くという。

 

統計数理研究所が実施する

日本人の国民性調査によると、

1963年以降、

大切な道徳として「親孝行」

「恩返し」を挙げる人は

増える一方で、

「権利尊重」「自由尊重」は

減る傾向にある。

 

これが「教育現場における

『親孝行』のナチュラル

インストール」が原因かどうかは

わからない。

 

これだけ家族の多様性が

言われる時代に、

親孝行すべきだという

同調圧力が強まることに

危うさを感じる。

 

人の心をしばりつける

呪いの言葉の多くは、

立場が強い人から弱い人へと

向かう。

 

一見、相手を思いやるかの

ような体を取りつつ、

背くとよくないことが

起こることをにおわせる、

巧妙な言葉。

 

でも狙いは、自分の考えを

押し付け、相手を支配する

ところにある。

 

「親孝行」という言葉も、

権力を持つ親が、

子どもを支配するのに

便利な道具として

使うこともできる。

 

だから、この言葉を

無自覚に使うことは、

凶器にもなり得る。

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子どもが幸せに生きることが

親孝行だと私は思います。

 

「親不孝者!」とののしられ、

自分を責める子どもの

なんと多いことか。

 

「親孝行の呪い」に気づくと、

少し楽な生き方ができます。

 

本の表紙2020.12