新刊『毒親対応 「疲労感」を減らす5つの習慣』
Amazon.co.jp : 毒親対応「疲労感」を減らす5つの習慣』
無料キャンペーンは8月3日15:59までです。
もしよかったら、この機会に
お手に取っていただけたら、うれしいです。


朝日新聞beの「悩みのるつぼ」(2026.8.2)に、
「弟の盗撮がいまも苦しい」という
20代女性からの相談が掲載されていました。

高校生の頃、3歳下の弟に脱衣所で裸を盗撮された相談者さん。
謝罪はありましたが、その後、家庭内では話題にされることはありませんでした。

10年以上たった今、大学生活を楽しむ弟のSNSを見たり、
両親が弟の本代を出していると知ったりすると、
「盗撮したくせに」という怒りが湧いてくるといいます。

性被害、親への信頼、きょうだい間の不公平感。
いくつもの傷が重なっています。

弟に裸を盗撮され、いまも苦しい 上野千鶴子さん「ご家族にこれを」:朝日新聞■悩みのるつぼ 相談者(20代女性) 高校生の頃、3歳下の弟に脱衣所で裸を盗撮されました。「クラスメートに頼まれた」とのこwww.asahi.com

目次

1.「昔のこと」では終わらない
2.「加害した弟の方が大切にされている」という傷
3.いちばん傷ついたのは、家族の態度かもしれない
4.「事件を必要としている自分」を責めなくていい
5.謝罪より先に、家族が何を受け止めるべきか

1.「昔のこと」では終わらない

弟から謝罪があった。再発もしていない。
それでも忘れられない。

性被害は、「謝ったから終わり」と
簡単に区切れるものではありません。

しかも、自宅の脱衣所という、
本来なら安心できる場所で、家族から受けた被害です。

家族や顔見知りによる性被害では、
その後も相手との関係が続きます。

以前、小学生の頃に兄から性的虐待を受けたという40代女性のお話を聞いたことがあります。

その方が許せなかったのは、兄だけではありません。
「母は気づいていたのではないか」
「気づかないふりをしていたのではないか」
その思いが、何十年たっても消えていませんでした。

「未遂で終わってよかった」
「男の子はやんちゃだから」

そんなふうに片づけていい話ではありません。
被害の大きさは、外から簡単には測れません。

2.「加害した弟の方が大切にされている」という傷

相談者さんが怒りを爆発させたきっかけは、
両親が弟の本代を出していると知ったことでした。

「私は自分で買っていたのに」
一見すると、よくあるきょうだい間の不公平感です。

でも、相談者さんにとって弟は、ただの弟ではありません。
自分に性被害を与えた人でもあります。

「家族は忘れている」
「あんなことをしたのに、何のペナルティもなかった」
「今は私より大切にされているように見える」

そう感じれば、本代の話が引き金になっても不思議ではありません。

自分の息子が娘を傷つけたという事実を、
親が直視するのはつらいことです。

ただ、親が蓋をしたからといって、
被害を受けた娘の傷まで消えるわけではありません。

さらに、もし親の中に、
「息子を加害者として扱ってしまったことへの負い目」や、
「これ以上問題を起こさないように、
なるべく不満を持たせないようにしよう」という気持ちがあり、
それが弟への手厚さにつながっているのだとしたら、
どうでしょう。
被害を受けた娘にとっては二重の傷になります。

3.母親の「何のこと?」が残したもの

もしかすると、相談者さんが
今いちばん傷ついているのは、
弟さんの盗撮そのものだけではなく、
その後の家族の態度なのかもしれません。

とくに、同性であるお母様には。

数年前、盗撮のニュースを見て、
相談者さんがお母様に昔の事件を話したところ、
「何のこと?」
という反応が返ってきたそうです。

この一言は、相談者さんにとって、
「私があれほど傷ついた出来事を、
お母さんは覚えていなかった」という、
もう一つの大きな傷になったと思います。

性被害では、加害者の行為だけでなく、
その後、周囲の大人がどう反応したかが
被害者の回復に大きく影響します。

相談者さんが「家族にも覚えていてほしい」と願うのは、
執念深いからではありません。

「私に起きたことを、家族までなかったことにしないで」
という切実な訴えなのだと思います。

4.「事件を必要としている自分」を責めなくていい

相談者さんは、
「弟は人間として私より下だ、と自分を慰めている」
「私はこの事件を必要としているのではないか」
と自分を責めています。

仕事で疲れたとき。
人間関係がうまくいかないとき。
楽しそうな弟の姿を見れば、
「でも、あなたは私にあんなことをしたじゃない」
と思いたくなる。

そこには、傷ついた自分を守ろうとする気持ちと、
「加害した側は何事もなかったように人生を進み、
被害を受けた自分だけが苦しんでいる」
という不条理への怒りがあります。

ただ、その怒りで自分ひとりで
支え続けるのは、とても疲れます。

弟より上か、下か。
弟より幸せか、不幸か。
SNSを見るたびにつらくなるなら、
見ないことも立派な境界線です。

5.謝罪より先に、家族が何を受け止めるべきか

上野千鶴子さんの回答では、
「文書で謝罪してもらう方がよいかも」と
謝罪してもらうことが提案されていました。

それも一つの方法だと思います。

ただ、私は今回の相談では、
弟さんの謝罪だけでなく、
家族全体がこの出来事をどう受け止め直すかが
大切なのではないかと感じます。

相談者さんが求めているのは、
「あのとき私は本当に傷ついていた」
「家族には、そのことを覚えていてほしかった」
「私の側に立ってほしかった」という思いの方が
強いように見えます。

性被害では、加害行為そのものだけでなく、
その後の周囲の反応によって傷が深まることがあります。

家族が事件を話題にしない。
母親が「何のこと?」と反応する。
加害した弟が何事もなかったように扱われ、
むしろ自分より手厚く扱われているように見える。

こうしたことが重なると、
「私の被害は、家族にとって大したことではなかったのだ」
と感じてしまいます。

それは二次被害です。
だから、もし家族とこのことを話す機会があるなら、
「昔のことを蒸し返したいわけではない」
「弟を困らせたいわけでもない」
「私は、あのとき傷ついたことを、
家族にも重大なこととして受け止めてほしい」
と伝えてみてもいいと思います。

相談者さんに必要なのは、
「もう忘れなさい」と言われることではありません。

「忘れられないのは当然だよ」
「私たちは、あなたが傷ついたことを軽く扱ってはいけなかった」
そう、家族から認めてもらうことなのではないでしょうか。

事件そのものは過去の出来事です。
でも、その後の家族の態度によって生まれた傷は、
今も続いているのです。

今回の相談は、そこに目を向ける必要があると思います。

このたびの熊本県を震源とする地震により、
被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

私自身、阪神・淡路大震災と大阪府北部地震を経験しました。
ニュース映像を見ながら、余震への不安や、
上空を飛ぶヘリコプターの音さえ心身に強く響いた日々を
思い出しています。

厳しい暑さのなか、停電や断水が続いている地域もあります。
どうか必要な支援が早く届き、皆さまが少しでも安全に過ごせますように。

 

 

ここからは、以前から準備を進めてきた
「毒親対応シリーズ」2冊目について、ご案内させていただきます。

『毒親対応「疲労感」を減らす5つの習慣:
会う前・会う時・会った後のセルフケア』
2026年7月29日発売。

親との関係で感じる苦しさは、ひとつではありません。

断れない。
距離を置くと罪悪感が湧いてくる。
会う前から憂うつになり、会った後はぐったりする。
自分の判断に自信が持てず、不安に振り回される。

そして、親と離れて暮らしていても、
心の中には親の言葉や価値観が残り続けることがあります。

「毒親対応シリーズ」は、こうした苦しさを、
表面に現れる感情から、その奥にある心の仕組みへと、
少しずつたどっていく全6冊のシリーズの2巻目です。

 

第1巻 罪悪感を減らす

既刊の『毒親対応「罪悪感」を減らす5つの習慣』では、親の期待に応えられないときや、距離を置こうとしたときに生まれる罪悪感を取り上げました。
親を大切にすることと、自分を犠牲にすることは同じではありません。ほどよい距離をつくるための考え方と習慣をまとめています。

Amazon.co.jp: 毒親対応「罪悪感」を減らす5つの習慣 : ほどよい距離でシンプルライフ eBook : 守帰 朋子: Kindleストア



第2巻 疲労感を減らす

 

毒親対応「疲労感」を減らす5つの習慣: 会う前・会う時・会った後のセルフケア | 守帰朋子 | 家庭医学・健康 | Kindleストア | Amazon

 

『毒親対応「疲労感」を減らす5つの習慣:
会う前・会う時・会った後のセルフケア』では、
親と会うことで生まれる心身の疲れを扱います。

 

帰省や家族の集まりが増える時期に、
自分の疲れ方を知り、自分を守るための一冊として
お読みいただければと思います。親に会う前から、気が重い。
会っている間は、相手の機嫌を読み続ける。
家に帰ると、どっと疲れて動けなくなる。

親と会った時間はそれほど長くないのに、
なぜ、こんなに疲れるのでしょうか。

会っている時間だけでなく、会う前から緊張し、
会った後も親の言葉を何度も思い返してしまう。
そのような消耗を、「会う前・会う時・会った後」に分けて整理しました。

 

第3巻 不安に振り回されない

第3巻では、親との関係のなかで育った不安を取り上げます。

自分で決められない。選んだ後も迷い続ける。過去の出来事に引き戻される。そうした不安には、その人なりの理由があります。

不安をなくそうとするのではなく、不安に支配されないための付き合い方を考えます。
 

第4巻から第6巻 心に残る「母の声」をたどる

第4巻から第6巻は、「インナーマザー」をテーマにした三部作です。

親と物理的な距離を置いても、心の中には、

「そんなことをしてはいけない」
「もっと我慢しなさい」
「あなたは間違っている」

という親の声が残ることがあります。

その声がどのようにつくられ、現在の考え方や人間関係にどのような影響を与えているのかをたどります。

そして最後は、親の価値観に従い続けるのではなく、自分自身の感覚を取り戻し、心の内側に安心できる場所を育てていくことを目指します。

 

第1巻から第3巻では、罪悪感、疲労感、不安という、日常に現れやすい苦しさを扱います。

第4巻から第6巻では、その苦しさの根にある「心に住み続ける親」と向き合います。

表面に現れる反応から、少しずつ心の深い部分へ。
必要な巻から手に取っていただけるシリーズにしたいと考えています。

3日間の無料キャンペーンのお知らせ

発売を記念して、次の期間に無料キャンペーンを行います。

無料キャンペーン予定期間

2026年7月31日(金)16:00
〜8月3日(月)15:59

※日本時間

 

自分が何に緊張し、どこで無理をし、会った後にどのようなケアが必要なのかを知ることで、消耗を少しずつ減らしていくための一冊です。
以下、本書の目次をご紹介します。

<目次>
はじめに
第1章 エネルギーを貯めておく(会う前 ①)
1 帰省は「イベント」ではなく「エネルギー消費」と心得る
2 「エネルギー貯金」のつくり方
3 「今年のわたしの体力」をチェックする
4 ひとりで抱えず、誰かに「下ろして」おく
5 「行かない」も選択肢に入れる
第2章 ルールを先に決めておく(会う前 ②)
1 滞在時間を数字で決める
2 話さない話題リストをつくる
3 「NGゾーン」はひとつだけ伝える
4 きょうだい・同行者と役割分担を決めておく
5  「途中で切り上げる合図」を決めておく
第3章 その場を乗り切る(会う時 ③)
1 「内心2でも外見5」で不快感を伝える
2 聞き流し・話題転換のフレーズ集
3 トイレ・散歩で「一時避難」する
4 「録音のつもりで」事実だけ受け取る
5 小さな「NO」をひとつだけ実行してみる
第4章 帰り道でリセットする(会った後 ④)
1 車内・電車での「毒出し」3分間
2 「今日の気持ち」を10段階でスコア化する
3  同行家族との「感想戦」をする/しないを選ぶ
4 SNSに書く前に一晩置く
5 「今日もよくやった」と自分に一言かける
第5章 帰宅後にチャージする(会った後 ⑤)
1 帰宅後24時間は「何も決めない」
2 エネルギー収支チェックシートで振り返る
3 「次回への申し送りメモ」を書く
4 小さなごほうびで「毒出し」を完了させる
5 「次に会うまでの距離」を再設定する
あとがき

朝日新聞be「悩みのるつぼ」(2026.7.26)
50代女性から、こんな相談がありました。

パート先では、同世代の主婦たちが、
ママ友とのランチや飲み会、子どものこと、
美容、ファッション、映画やドラマについて
楽しそうに話しています。

相談者さんには、あまり興味のない話題。
自分から子どものことを詳しく話したくもない。
ドラマの話も苦手。
ただ相槌を打っているだけ。

「ママ友がいない欠陥人間だと思われないだろうか」
「秘密主義だと思われていないだろうか」
「面白みのない人間だと、バカにされているのでは」
と、不安になってしまうそうです。

50歳を過ぎ、これからはもっと心の負担を軽くして、
残りの人生を楽しく生きたい。

それなのに、いつも人の目が気になる。
「こんな性格を変えるにはどうしたらいいでしょうか」
というご相談でした。

目次

  1. 話題が合わないだけで、「欠陥」ではない

  2. 子どもの頃から「よその家」と違っていたなら

  3. 今になって急に苦しくなったのか

  4. 職場では聞き役だけでも十分

  5. 息をしやすい距離を選んでいい

1.話題が合わないだけで、「欠陥」ではない

ママ友とのランチ、美容、ファッション、ドラマ。
そうした話題が好きな人もいれば、興味のない人もいます。

下ネタが苦手な人もいますし、家族や子どものことを
職場で細かく話したくない人もいます。
それは、「人として面白みがない」とは、
また別の話。
単に、興味の方向や価値観の違いです。

職場の人たちも、深い意味があって
そういう話をしているわけではないかもしれません。

「みんなが参加しやすい」
「誰も傷つけにくい」
「とりあえず間がもつ」

そんな無難な話題として選んでいるだけかもしれません。
だから、その全部ついていく必要もありません。

2.子どもの頃から「よその家」と違っていたなら

私の家は商業地区にあり、朝早く仕事を始める家も多かったです。
朝が早い分、就寝も早いわけです。
おまけに、テレビは祖父の部屋にありました。

サラリーマン家庭の友達は、夜10時からのドラマを見て、
翌日その話で盛り上がっていましたが、
私はその話にはついていけませんでした。

いまは夏休み。
「旅行のお土産をもらうばかりで、自分はどこにも行っていない」
そんな思いで肩身が狭いと感じる子どももいるでしょう。

 

親の仕事の都合で旅行に行けない家庭も、
祖父母の介護があって、家族で遠出できない家庭もあります。

家庭の事情は、それぞれです。


もし相談者さんが、子どもの頃から
「うちは、よその家とは少し違う」と
感じながら育ってきたのだとしたら、
「よそはよそ、うちはうち、わたしはわたし」
と思えたかもしれません。
 

周囲と違うことは、必ずしも悪いことではありません。
むしろ、同じでないほうが、多いかもしれません。
同じというのは、ある意味、幻想。

3.今になって急に苦しくなったのか

もう一つ、気になることがあります。

もし以前はそれほど人の目を気にせず過ごせていたのに、
今の職場に入ってから急に息苦しくなったのであれば、
「性格の問題」というより、
「今の環境で、人との距離感が合っていない」
可能性もあります。

適度な距離感を持つ人の多い職場では、
個人的なことに踏み込まない配慮があります。

人は、どこにいても同じように疲れるわけではありません。
ある場所では自然体でいられるのに、
別の場所では、人の目が気になってしまう。

そんなときは、
「自分がおかしい」ではなく、
「この場所の、距離感は違う。
境界線が引きにくい。
私は少し近づきすぎているのかもしれない」
と考えてみてもいいと思います。

中学生にころ、食後のデザートを
交換し合って、盛り上がる女子たちがいました。
だんだんエスカレートし、

先生に注意されて、デザート交換は中止になりました。
そのグループに属していても、ホッとした女子はいたはず。

 

4.職場では聞き役だけでも十分

職場は、まず仕事をする場所です。
雑談に全部参加しなくても構いません。

「そうなんですね」
「へえ、楽しそうですね」
「そのドラマは見ていなくて」
その程度の相槌でも十分です。

私は以前、パートで働いていた頃、
昼休みに一人でTOEICの問題集をしていました。
「どうして、みんなといっしょにドラマを観ないの?」
男性社員に聞かれました。

昼休みは、唯一集中できる貴重な時間だったのですが
かなりの変人と思われていたようです。
 

休憩時間まで周囲に気を遣いたくない人はいます。
一人で昼ごはんを食べたい人もいます。
本を読みたい人もいます。
スマホを見たい人もいます。
何も話したくない人だっています。

あなただけではありません。

5.息をしやすい距離を選んでいい

相談者さんは、
「人からどう見られているか」をとても気にしています。
同時に、周りの人のことも、よく観察しています。
合う人か、合わない人かをわかっています。

「秘密主義だと思われている」
「バカにされている」
「つまらない人と思われている」と、
実際に誰かから言われたのでしょうか。

それとも、
「そう思われているかもしれない」と、
自分の中で想像しているだけでしょうか。

この二つは、分けて考えてみる必要があります。

そして、もう一つ。
職場では、誰とでも同じ距離で付き合う必要はありません。

悪口をよく言う人。
いつも誰かの不満を話している人。
ネガティブな話題ばかり持ち込む人。

そういう人たちは、同じような人同士で
群れることがあります。
その輪に入らないからといって、
あなたに問題があるわけではありません。

むしろ、適度に距離を取った方が、
自分の心を守れることもあります。

 

50歳を過ぎたからこそ、
「みんなに合わせなければ」ではなく、
「私はどのくらいの距離なら息がしやすいだろう」
と考えてみてはいかがでしょうか。

ママ友が少なくてもいい。
家族のことを全部話さなくてもいい。
流行のドラマを見ていなくてもいい。
誰かの輪に入らなくてもいい。

いまから性格を変えようとするのは
かなり難しいし、
無理に変えなくてもいい。

「人からどう見られるか」ではなく、
「私はどう過ごしたいか」を基準にする。

これからの人生は、そのくらいでちょうどいい。
あなたは、おかしくありません。
自分が息をしやすい場所、

付き合い方を選んでいいのです。

仲良く見える人たちでも、職場が変わると
疎遠になる場合も少なくありません。
その程度の付き合いと割り切りましょう。

 

夏風邪をひき、1週間ほどパソコンやスマートフォンから離れていました。

思いがけず、デジタルデトックスのような時間になりました。
久しぶりの投稿です。
 

朝日新聞be「悩みのるつぼ」(2026.7.18.)掲載。
「近所に独居する義母にもやもや」60代女性のご相談。
 

相談者は結婚して39年。90歳の義母
義母が入院したときには、これまで何かと世話をしてきました。

義母は現在も、車で数分の場所に一人で暮らし、
用事があれば相談者の携帯電話に連絡してきます。

ところが、相談者が義母宅を訪ねても、
友人から電話がかかってくると、
義母は目の前の相談者を気にすることなく話し続けます。

一緒にお茶を飲んでいたときには、
相談者に出したはずのお菓子を、
突然訪ねてきた宅配便の人に渡してしまったこともありました。

さらに、髪型や服装を上から下まで確認され、
服の値段を聞かれることもあるそうです。

「一人暮らしなのだから、たまには行ってあげなければ」

そう思う一方で、無理をしてまで行きたくはない。
夫は「無理して行かなくていい」と言ってくれる。

それでも心が揺れる、という相談でした。

目次

1.もしかすると「歓迎していない」という意思表示
2.感謝しないことで、上下関係を保っている可能性
3.自分の親孝行基準を、夫の家族に当てはめない
4.親切から始めたサポートが、やめられなくなることもある
5.家族の美談を疑い、自分たちに合う距離へ戻す

1.もしかすると「歓迎していない」という意思表示

相談者さんは、お義母さんの態度を失礼だと感じながらも、
「一人暮らしなのだから、訪ねてあげなければ」
という義務感を持っています。

けれども、義母の側から見ると、
相談者さんの訪問を、それほど待ち望んでいない可能性もあります。

一人で気楽に過ごしていたところへ、嫁が訪ねてくる。
来れば、お茶やお菓子の一つも出さなければならない。
話し相手をしなければならない。

訪問中に友人との電話を長々と続けることも、
相談者さんに出したお菓子を別の人に渡してしまうことも、
「私はあなたを歓迎しているわけではない」
というアピールのようにも見えます。

もちろん、本人が意識的にそうしているとは限りません。

ただ、義母の態度から考えると、
相談者さんが無理をして頻繁に訪ねることを、
義母自身も望んでいないのではないでしょうか。

相手が歓迎していないところへ、
「高齢だから」「一人暮らしだから」と通い続けることが、
本当に相手のためになるとは限りません。

2.感謝しないことで、上下関係を保っている可能性

もう一つ考えられるのは、
義母が嫁に世話をしてもらうことに、
負い目を感じているということです。

人は、年齢を重ねて助けられる側になると、
自分の力や立場が弱くなったように感じることがあります。

「ありがとう」と言うことは、相手に助けてもらったことを
認めることでもあります。
「借りができた」「借りを返さないと」
そんなふうに思う人もいます。

それがつらい人は、あえて感謝を示さず、
「頼んで来てもらっているわけではない」
「あなたが好きでやっているのでしょう」
「余計なお世話です」
という態度を取ることがあります。
「素直じゃないよね」と実の娘に
思われている人もいます。

相談者の髪型や服装を細かく確認し、
値段まで聞く。
このような行動は、嫁を評価する側に立つことで、
自分のほうが上だと確認したい気持ちが
隠れているのかもしれません。
世話をされる側ではなく、嫁を採点する側でいたいのです。

これは、弱い立場になったと感じないための、
心のバランスの取り方とも考えられます。

ただし、義母に事情があるとしても、
相談者さんが不快な思いを我慢し続ける必要はありません。

理由を理解することと、相手の言動を受け入れることは別です。
これは、境界線の問題。

3.自分の親孝行基準を、夫の家族に当てはめない

おそらく、相談者さんは、
自分の中にある「高齢の親への接し方」を基準にしています。

一人で暮らしている親には、定期的に顔を見せる。
困っていなくても様子を見に行く。
入院すれば、嫁も世話をする。

それを当然のこととしてきたのかもしれません。

けれども、その基準は、
相談者自身の家庭や価値観の中で身につけたものです。

夫の家族には、夫の家族なりの距離感があります。

夫自身が「無理して行かなくていい」と言っているのなら、
まずはその言葉を尊重してよいのではないでしょうか。

義母は、相談者の親ではなく、夫の親です。
夫が長年、母親との間でどの程度の距離を保ってきたのか。
夫は、母親の性格や人間関係をどのように理解しているのか。

そこには、嫁には見えない長い歴史があります。

「私なら親にこうしてあげる」ではなく、
「夫は自分の母親と、どのくらいの距離で付き合ってきたのか」
を基準にしたほうがよい場合があります。

相談者さんは、夫に感謝されたいのですか?
自分のやり方のほうが正しいと思っていますか?

夫が無理をしなくていいと言うのなら、相談者も無理をしない。
夫が必要だと判断したときに、できることだけ協力する。

それで十分です。

4.親切から始めたサポートが、やめられなくなることもある

以前、このような話を聞いたことがあります。

ある家庭では、母親と息子の関係とは、疎遠でした。
それを見た妻は、こう考えました。
「親子なのだから、もう少し仲良くしたほうがいい」
「お義母さんも寂しいのではないか」
「私が間に入れば、関係を修復できるかもしれない」

そして、親切心から勝手に義母のサポートを始めました。
買い物を手伝い、病院に付き添い、電話にも応じるようになりました。
最初は感謝され、妻も「役に立てている」と感じていました。

ところが、次第に義母の要求が増えていきます。
連絡の回数も、頼まれる用事の種類も増え、
断ると不機嫌になる。
息子ではなく、嫁に直接要求することが当たり前になっていきました。

なぜ夫が母親と距離をとっていたのか、
そこまで来て、やっと妻は理解できるようになりました。

夫は冷たい息子だったわけではありません。
自分を守るために、長い時間をかけて、
母親との距離を調整していたのです。
事情を知らない妻は、その距離を一気に縮めてしまったのです。

始めるのは簡単。
でも、いったん日常化したサポートを減らすのは大変です。
義母にとっては、嫁がしてくれることが
新しいスタンダードになっていたからです。

妻はそこから、以前の付き合い方に戻すために、
長い時間と労力を使うことになりました。

家族関係には、外から見ただけではわからない事情があります。

疎遠な親子を見て、すぐに「仲直りさせてあげたい」と考えるのは、
少し注意が必要です。

離れていることには、離れなければならなかった理由があるかもしれません。

5.家族の美談を疑い、自分たちに合う距離へ戻す

高齢の親に頻繁に会いに行く。
嫁が義母の世話をする。
疎遠だった親子が、介護をきっかけに絆を取り戻す。
こうした話は、世間では美談として語られがちです。

もちろん、本当に関係が修復され、
穏やかな時間を過ごせる家族もいます。

けれども、一般的に「良いこと」とされている価値観が、
すべての家族に当てはまるわけではありません。

親孝行の物語や、献身的な介護の話を聞いて、
そんなふうにしなければと思う必要はありません。

むしろ、美談ほど一度疑ってみてもよいと思います。

誰かが我慢していないか。
関係の悪かった理由が置き去りにされていないか。
世話をする人だけが疲れ果てていないか。
本人は本当に、頻繁な訪問や濃密な交流を望んでいるのか。

家族によって、ちょうどよい距離は違うのです。

今回の相談者さんは、お義母さんから連絡があったときに、
できる範囲で対応すればよいのではないでしょうか。
もちろん、断ってもいいのです。

自分から定期的に訪ねる必要もありません。
訪ねるとしても、時間を短く区切る。
長電話が始まったら帰る。
不快な質問には答えない。
夫にできることは夫に任せる。

お義母さんがひとりでくつろぎたいのなら、その時間を尊重する。
相談者さんが会いたくないのなら、その気持ちも尊重する。

放っておくことは、必ずしも冷たいことではありません。
「一人は寂しい」というのは、相談者さんの
思い込みかもしれません。

「行ってあげなければ」という義務感は、
どこから来ていますか?

「本当に今、私が行く必要があるのか」と
自分に問うてみましょう。
相談者さんは、これまで十分にお義母さんを支えてきました。

これからは、
お義母さんの機嫌や世間の親孝行基準ではなく、
自分と夫が無理なく続けられる距離を選んでよいのだと思います。

自分の機嫌は、自分で取りましょう。