肺がんぶっ飛ばし日記 -2ページ目

再び入院

10月26日から2月16日まで、N病院に入院し、放射線治療と抗がん剤治療を受けた。前半は点滴の抗がん剤を2ヶ月、後半は内服の抗がん剤TS1での治療であった。TS1での1ヶ月の治療の後、体を休めるため退院し、再び検査を受けたところ、腫瘍マーカーは上昇しているという。元のがんは成長はしていないらしい。医師から再入院を含めて、今後の色々な可能性を示された。決断するのは患者である私である。私は再入院し、点滴による抗がん剤治療を選んだ。始めの入院で一時腫瘍マーカーの値を下げるのに成功した方法である。ただし、今度はどんな点滴薬になるかは医師が決める。もとより私に抗がん剤についての知識は多くない。私は直って再び仕事に復帰したいという気持ちは強い。治りたいと思う。今は、ときおり、首の付け根辺りが痛くて、痛み止めを飲まないと眠れないことが多い。しかし、それ以外自覚症状はない。首の付け根が痛くないときなど、何でこの状態でがんなのかと思う。まあ、そういう体の状態があって、自らのあせりにつながってしまうのだろうけれど。

TS1効果なし

TS1内服療法1コースを行った後、その有効性を確認するためCTと胸水採取による検査を行った。胸水採取による検査は胸水を採取すること自身苦痛があり、期間も2週間かかったため、若干の不安はあった血液検査とあわせた所見は次のようなものだった。標的病変ほぼ不変、腫瘍マーカー値は上昇、胸水は増加ただし、がん細胞は発見されずであった。これを総合して、TS1ではがんの勢いをおさえ切れていない可能性が大である。したがって、これまでの治療ではがんは完全に押さえ込まれていない可能性の方が大きい。この結果は妻と一緒に聞いた。彼女がこの結果をどのように受け止めたのかはわからない。

今後の方針としては薬剤を買えて治療すること、あるいは、今は休み後ほど治療するなどが考えられるという。薬剤を替えて治療することのデメリットとして3ヶ月ぐらい時間がかかること、効果がない場合も想定されること、副作用が強くなって完遂できない可能性がないことがあげられるという。また、この場合、薬剤は点滴によることになるので、できれば入院することが望ましいが、通院で治療する可能性があるという。私はこの結果とこれからの治療について、医師にその場で答えることはできなかった。後で私の決断を電話連絡するということにして、病院から帰った。

家に帰ってからも私は悩んだ。これからどうしたら良いだろうかということである。職場は既に休職になっており1年以上その期間は残されている。問題は治療として何を選択するかということである。迷ったが、結局、これからできるだけ早い時期に入院して別の抗がん剤による点滴治療を行うということである。生をながらえたいと言うことである。これからやりたいことが山ほどもある。今死ぬわけにはいけない。


飴を舐める

酒を呑むのを止めていると口寂しくて飴を舐める。この前はスーパーでニッキとはっかとキシリトール喉飴の3種類をスーパーで買ってきたのだが、3日も持たない。長女からはカロリーオーバーで太ると言われているし、舐めなければ口寂しいし、やはり禁煙の時とよく似ている。禁煙の時にはキシリトールガムをかんでいた。時間が経ると共に、ガムの量は減っていたのだが、今回はまだそういう兆候はない。


時折、薬の副作用か、首の付け根の周りが痛む。これには薬が処方されているので飲めば痛みは治まるのだ。しかし、薬を飲まないでいると痛みがはじまって来る。そんな時は、薬を飲む。飲まないで済ませればいいのだろうが、なかなかうまくいかない。


ようやく、診察の日が明日になった。どんな検査結果だろう。はらはら、どきどきする。こういう気持ちは大学入試の合格者発表以来だ。どうなるのだろう。

待つこと

治療をすることは待つことだ。待つこと意外に主体的にやることはない。特に前回の治療が3月1日で、次回が3月15日となっている今の状況はまさに待つこと以外にないのだ。時間つぶしならいくらでもやることはあるだろうと言われそうだが、そうではない。テレビを見ていても、ネットサーフィンをしていても何も充実感が得られないのだ。やりたいことがぴったりとこないから、それをやりたくないと言うのが、贅沢な発想かも知れない。


そうです。贅沢なことをしているなあと思いながら、こんなことを考えているのです。しかし、本当の所は3月1日に胸水をサンプルとしてとって、その検査結果待ちをしている今の自分(検査結果がわかるのは3月15日)の心が不安定になっているのだと思う。要するに検査結果を早く知りたいのだよ。検査結果がよければそれに越したことはないし、悪い場合だって、新たな治療に向かって行けばよいと思うのだ。


と格好いいことばかりいってもいられないことはわかる。検査結果が悪ければ、がんが見つかった時のように、何で私がと思うだろうし、がっくりも来るだろう。しかし、検査結果がわからない中途半端なことがより不安なのだ。なんだかんだ言いながら、検査結果がわかる日がやってくる。


飴玉

11月のことだった。初めての外泊の際、友達が来て酒を呑みすぎてしまった。それが病院での血液検査でばれてしまって、以来、お酒を呑まないでいる。アルコールが入っているのも全て飲まないのだ。病院にいると酒を呑まないことはさして不都合はないのだが、自分の家ではかなりの努力を要する。何せ、酒飲みのほうだったから、家の中には日本酒もあれば、ビールもある、ウィスキーもあるという環境である。


そういう環境の中で酒を呑まないためにはかなり強い意志が必要であると思う。世の中に断酒会というのが在るそうだが、これは酒を断つことを目的として、みんなで決意を確かめあって、酒を呑むのを止めようということであろう。それほど、酒飲みにとって断酒することは辛いことなのだ。


酒を呑まないでいると、タバコと同じで口寂しくなる。糖分も欲しいということで、飴玉を買って舐めていた。色々な飴を試したが、余り甘い飴でないほうがいいようだ。ただ基本的に甘くない飴は余り多くない。その辺で色々試してみた。茶飴とかブラックコーヒーの飴とかが調子いい。かんきつ類の飴もなかなかだ。そんな訳で、飴玉をしょっちゅう舐めていることになる。


2週間待つこと

胸水を検査のため、採取したのが2月28日のこと、その検査結果がわかるのが3月15日、待つこと2週間である。結果がよいことを祈るばかりである。しかし、待つことがこんなに苦しいとは思わなかった。私は人に比べて、気が短いからかもしれないが。


がん治療では、これまでも書いてきたように検査の連続である。血液検査、レントゲン写真は毎週のこと、それに毎日何回も行われる血圧、体温、酸素の検査がある。入院しているということは、これらの検査を待ち、また、薬を飲み、その副作用に備えることであると思う。


自宅での療養もそんなに楽ではないが、やるべきことは、薬をのむこと、眠りをきちんと取ることである。自宅にいる安心感で、夜はぐっすりと寝ることができる。これは私にとって何よりよかった点である。食欲もあるが、今、ちょっとしたダイエットを行っている。入院してからというもの太って、はけるズボンが少なくなってしまったのだ。


笑う人もいるかも知れないが、はけるズボンがないということはかなり深刻なことなのだ。

胸水

昨日は、一週間ぶりの通院だった。前日にCT検査もやるからといわれ、そのつもりで病院に行った。時間を変更して12時30分が予約の時間だ。しかし、これは目やすで、この時間ぐらいから、諸検査が始まる。まずは血液検査だ。いつものように右上からとろうとしたが上手く行かない。左手に変えて血液採取を行う。次はCT検査だ。これもいつものように造影剤入りのものだ。


二つの検査を行い診察をまつ。診察は、血液検査とCT検査が終わるまで行われない。この間2時間ぐらい、じっとまつ。一緒に言った長女が人が段々へって行くねなどといっている。


診察が始まった。CT写真が並べられている。医師は原発巣も縦隔リンパ節も大きさはほとんど変わっていないことを告げている。問題があるという。胸に水がたまっているのだという。これが悪性か否かが問題であるという。もし悪性ならば、TS1の内服を中止し、別の抗がん剤に替えるか、小休止するのだという。もし両性ならば、どうかという話はなかった。


いずれにしても、胸水が悪性か、良性かの判断をしなければならない。というわけで、次は、胸水を採取することになった。部屋をかえ、胸部をエコーで見ながら、麻酔薬をうつ。その後胸水採取用の太い注射器で胸水を抜く。採取した胸水が悪性か、良性かがわかるまで2週間かかるという。その間、何もしないでじっと待つことになった。


次回診察の予約を3月15日にとるように言われた。この予約をし、会計を行って、病院を出る。次は薬局だがこれはものの10分で終わった。わからないことになっちゃったなあというのが、今日の感想である。今日になっても痛くも痒くもないものが、肺がんなのかと思う。しかし、これまで精密な検査を何回もやっているし、この病院はがんの専門病院でもある。何もないことはないだろう。

週に一度の通院

明日は週に1度の通院日だ。主な仕事は血液を採取してもらうことと、胸部レントゲン写真を撮ることだ。病院ついて始め、血液採取が行われ、次にレントゲン写真を撮る。この間、血液検査が行われるのを待ってから、診察が始まる。レントゲン写真を前に見せられ、診察が行われる。この間2時間弱である。1週間分の手間をこの時間でやってしまうと考えれば短いが、それでも受診する立場から言うと長い。この検査の結果次第でTS1による抗がん剤治療yが始まるか否かが決まる。このTS1による治療を1クール(30日間)行うことで当面の治療が終わるはずだ。これからの治療計画については、医師に確認してもらう必要がある。せっかちな私は、待つことが苦手だから、つい、この治療はいつまで、と聞きたくなる。でも、退院してから、まだ2週間なのだよな、ということも頭の中をめぐる。まだ早いのか、どうなのか。




フィギュアスケートを見ながら

朝4時ごろ、早く目が覚め、所在無いのでテレビをつけた。予想どうり、フィギュアスケートのエクシビションをやっていた。1時間ぐらい見ているうち、再び眠たくなったので、布団に入った。その後、妻に起こされたのは12時過ぎだった。入院していた時の規則正しい生活に比べて、極端に不規則な生活だ。おきてすぐ、昼食をとりにラーメン屋に行った。○○の醤油ラーメンを食べに行こうというのだ。


ラーメンを食べた後、夕食の買い物をし、家に戻る。この頃になって体が快調になのに気づいた。2,3日前に比べてすこぶる体調がよい。それで思ったのだが、それまではやはり薬の副作用があったのではないかと気づく。内臓の調子がよい感じがわかる。食べ物が美味しい。こういう気分は味わったことが無いではないか。


こんな日が毎日続けばいいと思う。体は軽いし、食べ物も上手い。テレビではフィギュアスケートのエクシビションをやっている。荒川静香の滑りが美しい。この人は金メダルを取ったのだ。しなやかさが感じられる。新聞などによれば、荒川は、長野オリンピックの後、決して順風だけではなかったようだ。苦難の時もあったそうだ。お涙頂戴では無いがそういう話には弱いんだよな。



後一週間の休憩

今はTS1の休息期間である。来週の水曜日(3月1日)の診察の後、TS1による治療が再開される。そして4週間その薬を飲み続けるのである。TS1自身飲みにくい薬では無いので、薬を飲むことにそれほどの負担があるわけでは無い。きつい痛みがあるわけでは無いが、単調なつらい治療である。それでも入院していた時に比べると、寝起きする時間が強制的に決められているわけでは無いのが嬉しい。


夜更かしするわけでも酒を呑むわけでも無いのに、気ままにテレビを見て過ごすことができるのが嬉しい。抗がん剤治療では副作用に苦しむ人も多いと聞く、私の場合は、ものすごく辛い副作用はなかった。それだけでも幸せなことといえるかも知れない。


昨日、病院から帰って、昨日分でどれだけの経費がかかったか調べてみた。血液検査とレントゲン撮影、それと1週間分の薬をもらったのだが、入院1日分よりはるかに安いのだ。もちろん差額ベッド代を除いてもだ。やはり、入院中は24時間医師の管理下にあり、看護師が見ていてくれるのだからその分の経費が高いのだと思う。