※こちらは、2021年1/9に投稿した記事の再投稿です。
今から15年前。当時、父はひとり暮らしをしていた。
母はとっくに他界。兄弟三人も、独立しそれぞれ家庭を持っていた。
夕暮れ時、兄から携帯に連絡が入った。
「お父さんの様子がおかしいんだ。隣の宮崎さんが連絡くれてさ。今、実家」
おかしい?どういう風に?そう聞いても「来れば、わかるから。」兄はそれしか言わなかった。
実家に帰ると、父、兄二人と隣の宮崎さんが座ってる。
到着した私に、なんの前触れもなく。
「どうも記憶喪失らしいんだ」と兄。
記憶喪失ドラマじゃあるまいし。そんな馬鹿な
とにかく、父に真相を確かめるしかない
「お父さん、今日何したか覚えてる?」
「わからない」
「私が誰だかわかる?」
「それはわかる」
「お母さんは死んだよ。わかる?」
「わかってる」
「3年前に、おじいちゃんが死んだのは?」
「え?じいさん死んだか…」
「じゃあ、ばあちゃんが死んだのは?」
「ええ?ばあさんも死んだか…」
色々、質問してわかったこと。
どうやら母親が他界した以降の記憶がないようだ。(我が家は、母⇒祖母⇒祖父の順番に死んだ)。もちろん、そんな冗談を言うタイプの父親ではない。
記憶がないことともう一つ重大な症状があった。
新しいことが記憶できない。
話している途中、数分過ぎると。
「あれ、お前たちなんで、ここにいるんだ?」とびっくりするした表情の父。
「お父さんの様子がおかしいから集まったんだよ」
「おお、そうか」
そして、数分後。
「あれ、お前たちなんでここにいるんだ?」
「だーかーらお父さんの様子が変だから」
「そうか」
そして数分後。
「あれ、お前たち、なんで…」
「お父さんが、変」
頭でも強く打ったのか?しかし、一人暮らしだった父。その日の行動を知る人間はひとりもいなかった。
とりあえず、救急車を呼んだ
車中でも「あれ、なんで救急車にいるんだ?」を連発
救急隊員を苦笑させていた。
病院につき、頭をCTで検査するも、異状なし。強く頭を打ったわけではないらしい。
医師から言われた病名は、「急性健忘症」
いわゆる記憶喪失とのこと。
「原因ははっきりとは言えませんが、疲れとかストレスから来る場合が多いです。あくまでも急性なので、すぐ治りますよ」と
医師から言われて一安心。その日から入院をすることになった。
点滴を打ち、3日目。顔色が良くなった父。すっかり記憶を取り戻したようだ。
しかし、今度は、この3日間の記憶がまったく無い。
「その日はよ。昼過ぎに庭の植木を刈ってたのは覚えてるけどよぉ。その後のことはぜんぜん、覚えてねぇんだわ」
人間の脳とはいかに摩訶不思議な造りになっているのか
こちらも事件です
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