就活をしていると変な人に出会うことがあります。
今日もこれについて書きます。
「ガクチカ」とは
そもそも前提として、「ガクチカ」とは「学生時代に力を入れたこと」の略です。
就活における定番の質問とされています。
就活生は自己分析を行い、ガクチカを用意して面接に臨むわけです。
で、私の場合はというと...。
「学部時代のゼミ発表」をガクチカとしていました。
私が所属していゼミでは、毎学期(=半年に一度)研究報告をする必要がありました。
自由発表です。
先行研究を調査し、自分でテーマを設定して、史料を集め、筋道立てて報告する必要がありました。
要するに、「ミニ卒論」を毎学期報告するようなものです。
そして、これだけでも大変なのですが、その報告する場がさらに大変なのです。
そのゼミでは、報告者の発表が終わると、報告者以外の出席者全員が質問・意見を言わなくてはならないことになっていました。
指導教員が1人と、自分以外のゼミ生が10人強。
その全員から、厳しい指摘がなされるわけです。
その結果、報告の為の準備が水泡に帰すこともしばしばありました。
で、どうやら「ガクチカ」というのは「学生時代に何に力を入れて、そこから何を学んだのか」までがワンセットのようです。
私は適当に「~を学びました」と、それっぽいことを作文しました。
「ガクチカ」を否定する面接者
さて、それはあるITベンチャー企業での出来事でした。
会社を設立してからまだ間もなく、社員は社長とその仲間だけというような小さい会社でした。
今年から新卒採用を始めたという趣旨の話をしていました。
ただ、事業内容が面白そうだったので、私は採用試験を受けることにしたのです。
筆記試験はなかったように記憶しています。
いきなり役員面接でした。
30代前半くらいの若い男性でした。
面接のなかで役員は、
「学生時代にはどういったことに力を入れていましたか?」
と問うてきました。
私は、前述した「ゼミ報告」をガクチカとして話しました。
しかしその役員はどうも納得していない様子です。
私は詳しく話をしました。
そこでその役員は、軽薄な笑みを浮かべこう言ったのです。
「ゼミが大変で頑張るのって当たり前じゃん。」
「何か他にないの?」
その後に何を話したのか、私の記憶は定かではありません...(笑。
さて、この役員の発言は2つの問題点をはらんでいます。
それは「「ガクチカ」における当たり前とは何か」という点と、「ガクチカととして何を挙げるべきか」という点です。
この2つを掘り下げていきましょう。
「当たり前」って何?
まず1つ目は、「ゼミが大変で頑張るのって当たり前じゃん」という発言です。
これについては、私にも反省すべき点があります。
なぜそのゼミが難しかったのか、なぜこれを「ガクチカ」に選んだのか、もっと上手く説明する必要があったと思います。
要するに、相手に「それって当たり前でしょ」と言われないように、説明をする必要があったと思うのです。
そうだとしても、「ゼミが大変で頑張るのって当たり前じゃん」という発言は許容できません。
例えばウサイン・ボルト。
100メートル走の世界記録を持つ彼が、努力をしてきたであろうことは疑う余地がありません。
仮に彼が日本で就活をして「ガクチカ」を問われた際に、「人類最速になるために血のにじむような努力をしました。ここから私は~を学びました。」と言ったとします。
この時面接者は、「陸上選手なんだから努力するのは当たり前だろ」と言えるのでしょうか?
つまり、「力を入れたこと」というのは極めて主観的な事象なのです。
本人が「力を入れた」と思っていれば、それは「力を入れたこと」なのです。
外野から「そんなの当たり前じゃん」と揶揄されるようなものではないのです。
もし仮に「ガクチカ」に客観性が求められるというのであれば、ほとんどの就活生は何も話せなくなります。
世界一・日本一、そういった「結果」が必要になるからです。
それでは「ガクチカ」を聞く意味がなくなってしまいます。
「ガクチカ」とは、面接者が就活生がどういう人物であるかを知るためのツールの1つなのですから。
「ガクチカ」として不適切??
2つ目は、「何か他にないの?」という発言です。
この発言には、
「ガクチカでは勉強のことじゃなくて、サークルとか留学とかのことを聞きたいんだよね」
という意味合いが言外に含まれているように感じます。
そういえば、新型コロナウィルスの感染拡大以降、就活生は「ガクチカ」を用意するのに困っているそうです。
サークルやインターン等の学外活動が制限されているからとのことです。
面接者の側にも就活生の側にも、「「ガクチカ」」と言えば課外活動という認識が、一定程度根付いているように感じます。
しかし、私は疑問に感じざるを得ません。
なぜ「ガクチカ」で勉学のことを話してはいけないのか。
前述したように「ガクチカ」とは、「学生時代に力を入れたこと、そしてそこから学んだこと」です。
世の学生は勉学に力を入れていないのでしょうか。
あるいは、学生時代の勉学から何も学ばなかったのでしょうか?
もしくは、「学生ならば勉学に力を入れるのは当然だ。ガクチカでは他の話題を話すべきだ。」とでも言うのでしょうか?
しかし、これはおかしな話です。
まず、「当たり前」とされるほどに、学生は勉学に力を入れているのでしょうか。
私はそうは思えません。
仮に「当たり前」であったとしても、「当たり前のことを当たり前にできる」ということは長所と言ってもいいのではないでしょうか?
次に、「勉学以外の話題を話すべき」というのも変です。
「ガクチカ」は「学生時代に力をいれたこと」なのであり、勉学は排除されていません。
もし、勉学以外の話題を聞きたいのであれば、そのように指示すべきです。
以上、「ガクチカ」について話してきました。
「ガクチカ」は就活において定番の質問です。
研究・サークル・ボランティア活動、何でもいいので打ち込んでみてはどうでしょうか?
一所懸命努力した結果が、仮に失敗であってもいいのです。
それも貴重な経験なのですから。
おしまい。