「マーガレットとご主人の底抜け珍道中 (旅情篇)」/二人で旅せば | 旧・日常&読んだ本log

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2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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坂田 靖子
マーガレットとご主人の底抜け珍道中 (旅情篇)

マーガレット奥さんは旅行好き。気になる場所が出来たなら、「あなた、ちょっと南極へ行って来るわ。冷蔵庫にパイが入っているから、食べてね」なーんて調子で、ほいほいと出掛けて行ってしまう。

そんなマーガレット奥さんのご主人はというと、常識人にして心配性。マーガレット奥さんが心配で心配で、近所の人をして、「二ヶ月に一度は、ああやって奥さんを追い掛けてるんだ」などと言わしめてしまう始末。そう、奥さんが心配なご主人は、いつだってマーガレット奥さんの後を追い掛けてしまう! これは、そんな二人の珍道中。

目次
南極北極大冒険
おみやげ観測隊
大ネッシー探検
ジャパン・ライフ
ドーバー海峡殺人事件
オルメカの手
アンモナイトの記憶
三葉虫
ひだりまき大陸
ミイラの呪い
地上30cmの亡霊
インドの虎がり
ハタリ!
テントウ虫
ポリネシアン・パーティー
旅情
親指姫

奥さんは相当天然な感じなんだけど、彼女が自然と不思議なものを受け入れ、楽しんでしまうのに対し、ご主人はいつだって「うわーー!!!」と驚いてしまっている。でもね、このご主人、マーガレット奥さんとはいつもラブラブだし、実は彼自身が「へんなもの」に好かれるという特異体質の持ち主なのだ。南極ではペンギンの幽霊サムにぴっとりと引っ付かれ、オーストラリアではカンガルーのメイにセーターを奪われ、出張でエジプトに行けば、ミイラが棺おけつきで家までついてきてしまう。

また、怖いものが苦手だというのに、このご主人の夢は独創的で、いつだって豊かなイマジネーションに満ち溢れている。幾つかの章は、ご主人の夢の中のお話。

というわけで、マーガレット奥さんのキャラがいいのは勿論だけど、ご主人だって負けてはいない。ある意味で、割れ鍋に綴じ蓋のようなこの夫婦。そんな二人の旅の話が、面白くならないわけがない。
この旅もまた、現実的なものから、不思議の世界に片足若しくは両足を突っ込んでいるようなものまで、実に様々。

お話の中で特に印象に残ったのは「オルメカの手」「インドの虎がり」「ハタリ!」「テントウ虫」

「オルメカの手」は、ツアーにはぐれたマーガレット奥さんとご主人を、古代遺跡のもとに案内してくれた村の少年とのお話「インドの虎がり」では、なんと、見開き二ページ使った「とら、ぐるぐる」が見られるのだ。その結果は、勿論、ホットケーキだよね? 「ハタリ!」では、二人はバオバブを見にアフリカの地へ「テントウ虫」は、テントウ虫除けのおまじないから、魔女の話へ。

自分の中で、秋冬はなぜか坂田靖子さんの季節なのです。ふふ、次は、「望郷篇」を読むんだ~。

オルメカ (Wikipediaにリンク。おお、表紙とおんなじ絵が!!)

☆関連過去記事
星食い 」/幻想的な
マイルズ卿ものがたり 」/マイルズ卿の日常(かなりのほほん)
闇夜の本1 」/闇はすてきだ