「マーガレットとご主人の底抜け珍道中 (望郷篇)」/二人で暮らせば | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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坂田 靖子
マーガレットとご主人の底抜け珍道中 (望郷篇)

前作の旅情編 においては、南極へ、オーストラリア大陸へと、ガシガシと動き回っていた、マーガレット奥さんとご主人。こちらは「望郷篇」だからなのか、それ程大きな遠出はない。せいぜいがとこ、ご主人の出張であったり、二人の小旅行であったり。でも、二人で、一人で旅して、帰るは楽しき我が家。

目次
草原の輝き
失われた都
吸血の森
海のセーター
名犬ナポレオン
オリーブ・グリーンの春
庭のたのしみ
訪問者たち
時間の森
プディング
氷河期
雪の日
歩く思い出たち
真夏の夜の夢
アラウンド・ザ・クロック
 シュール で ほわー/皆川博子

草原の輝き
:ご主人が出張先で見た、白い馬に、クロップマーク。白い馬については、こんな本 (「ケルトの白馬」)も以前読んだことがありました。

失われた都
:何百年も昔、ブルターニュの海の上にあった都、イスの話。滅んでしまったイスの伝説。パリとは、「イスに対するもの」という意味の、イスに代わる新しい都なのである。

吸血の森
:吸血鬼伝説が残る街に泊まったマーガレット奥さんとご主人。ご主人の虫刺されの痕を、吸血鬼の痕跡と間違えられて・・・。

海のセーター
:出張で、漁師町に泊まったご主人。パブである男性と仲良くなるが・・・。アラン・セーターは、海の男たちのもの。

名犬ナポレオン
:マーガレット奥さんが友人から預かったのは、キレイ好きで上品なダルメシアン。ご主人とは折り合いが悪かった、ナポレオンであるが・・・。

オリーブ・グリーンの春
:ギリシャの本を読んだマーガレット奥さんのたっての希望で、二人はフローラの季節を迎えたギリシャへ。

庭のたのしみ
:ご主人がこよなく愛するお庭♪

訪問者たち
:庭にやってくる(本来は)招かれざる訪問者達。ま、そこは好奇心旺盛なマーガレット奥さんですからね。

時間の森
:ご主人の旧友が暮らすのは、ほとんど未開と言ってもいい密林。ここでの生活にうんざりした旧友、カミングスさんは早く文明生活に戻りたいとぼやくけれど・・・。

プディング
:プディング狂想曲? 「女王陛下のプティング」から、「踊るプディング」のお話まで。プディングとは、カスタードプリンにあらず。小麦粉で作ったタルトパイのような地に、シチューや煮込みを入れたり、フルーツやジャムを混ぜて煮たり蒸したりしたものなのだ。

氷河期
:隣のティム少年と共に、恐竜のいた時代に思いを馳せるマーガレット奥さん。おりしも、停電とガスの供給ストップが重なり、そう、これはまるで氷河期を体験するかのよう!

雪の日
:雪ダルマを作りながら思い出す、ご主人の少年期のお話。直ぐ溶けちゃうし、邪魔なばっかりだけど、雪ダルマの行列も悪くないもんだよ、うん。

歩く思い出たち
:車が壊れてしまい、とある旧館に泊まることになった二人。マーガレット奥さんは、とうとう時空をも超える!

真夏の夜の夢
:夢の中で、ご主人の頭はなんとロバに!(あれ、でも、それでも考えられるってーことは、ご主人の頭は胃袋の中?笑) マーガレット奥さんにそっくりな、妖精の女王タイターニアに、妖精の王。そう、ここは、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」の世界。

アラウンド・ザ・クロック
:突然飛び込んできたミミズクに部屋を乗っ取られてしまった二人。外で寝ようとしてみたり、一階の床で寝ようとしてみたり。マーガレット奥さんの言うとおり、ベッドじゃないところで寝るのって、わくわくするよね。たとえ屋根があっても、それらを取っ払えば、太古の昔からの繰り返し。空の下、風の中で人は眠るのだ。懐かしいのは、わくわくするのは、古の記憶が蘇るからなのかも。

ラスト、「アラウンド・ザ・クロック」では、何となく二人のお惚気。好きなものも苦手なものも違う、でこぼこコンビの二人だけれど、それでもやっぱりこの夫婦はピッタリなんだ。