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■まえがき
CDやレコードなど録音された音源よりやっぱりライブでの生演奏の方がいいって言う声はよく聞きます。
それはそれで否定は出来ませんが、CDなどを部屋でゆっくり聴いているのもまた、何にも代えがたい至福の時間だと感じる場合も少なくありません。
ライブ映像をスマホやビデオカメラで録画したものを観せられて、観せてる側は興奮してるのに、観せられている側は、何だか退屈な映像にしか思えないなんて事もよくある話です。
しかし、同じ映像でも、何度も観たくなるMV・PVがあるのも事実だし、プロが撮影したライブ映像なども何度も観たくなるものが多いのも事実です。
今回はその辺りを掘り下げて考えてみたいと思います。
■CDなどの録音物よりライブの生演奏が絶対、上なの?
「まえがき」の冒頭部分で書いた「CDやレコードなど録音された音源よりやっぱりライブでの生演奏の方がいい」と言う意見について。
これが合ってるのか間違ってるのかと言うと一概に答えは出せない。
大好きなミュージシャンのステージを生で観られると言う点や、生演奏の迫力や臨場感、ミュージシャン達の熱や躍動感など、ライブを観なくては伝わらない所は山ほどあって、大筋では「ライブが上」と言う意見は正しいと言えるだろう。
かと言って、CDなどの録音物が全てにおいて劣っているのかと言えばそうではない。
部屋でじっくり音楽鑑賞をするのが好きって人はたくさんいるし、CDやラジオから流れてくる音楽に酔いしれてしまう事も珍しくはない。
そこにはライブにはない、レコーディングされた物特有の良さが確実にある。
かと言って、リハーサルスタジオで演奏している音を、スマホやボイスレコーダーで録音したからと言って、それ程、夢中になれる音源には成り得ない。
この差を単純に音質の差と言ってしまえばそれまでだが、その秘密には、レコーディングエンジニア達が長年に渡って蓄積し、そして発展させてきたレコーディングのノウハウの存在がある。
ただ、高価なマイクを立てて高価な録音機材に音を吹き込めば、人を魅了する音源が出来上がると言う訳ではない。
エンジニア達は、録音された音の世界だけで、リスナーを魅了するレコーディングにおけるコツを知っているのだ。
それは、歌や演奏の魅力の引き出し方や色々な聴かせ方を知っていると言い換えてもいいかも知れない。
細かく言うと、レコーディングだけではなく、ミックスダウンからマスタリングまで全てを含めたものだが、ここはざっくりレコーディングと表現させて貰う事とする。
レコーディングに関して、そんな風に聞くと、音響芸術と言う言葉が存在するのも誰しも納得のいく所だろう。
小難しい理屈は抜きに、簡単にまとめてしまうと、レコーディングの技術には、ライブとはまた違う魅力の引き出し方があって、エンジニア達はその技術を持って音源制作に臨んでいるから、レコーディングされた音源には、レコーディングされた音源特有の良さがあるのである。
■ライブと録画された映像
自分が観に行ったライブイベントなどで録画された映像を手に入れて、その映像を僕に観せた人間は過去に何人かいるが、ライブを観に行った本人はいつも凄く興奮している。
「このライブ凄くテンション上がるだろ!」「このバンド凄くいいだろ!」とか色と興奮しながら言って来るのだが、正直、それを観ていいと思った事は一度もない。
でも、その本人は、何度も繰り返し観せようとしたりする。
この両者のテンションの差は何なのだろうか?
これは、実に簡単な話である。
まず、ライブ会場で実際にその空間でライブの迫力は観客のテンションなど全てを体感で覚えている人間は、その時の映像を観ると、その時の興奮が蘇るのである。
しかし、こう言ったイベントで録画された映像なんて、大抵はハンディーカメラを固定して撮っただけの映像で、音もハンディーカメラ内蔵のマイクが拾った音で、一言で言えば、ただの記念のホームビデオだ。
出演者として出る時は、僕も大抵、同じ様な撮り方で録画する様にはしているが、それは、後で自分自身の参考にする為であって誰かに観せる為に録画している訳ではない。
しかし、アマチュアバンドのイベントなどの場合、曲の権利だのと言う事にも無頓着な出演者が大半だし、演者自体も興奮して、他人にライブ映像を観せたがったり配ったりしてる場合も多い。
僕は度々そう言った映像を観せられてきた訳だが、僕には、そのライブを体験していないので、音も悪いし画質も悪いし、録画テクニックも何もないその思い出のホームビデオの映像を観せられても、ただただ、退屈な映像でしかないのだ。
この両者のテンションの差はそこにある。
■DVDなどで発売されてるライブ映像は何故いいの?
では、DVDやBlu-rayなどで市販されているライブ映像は何故いいのか。
同じく、TVのライブ中継なども何故いいのか。
先ほどのレコーディングエンジニア達の話と同じである。
ライブそのものにライブ映像で無策で真正面から対抗しても、生のライブにはかなわない。
そこで、プロのカメラマンのライブ撮影のノウハウや技術が必要になるのである。
生のライブに勝てないなら、生のライブでは体験できない映像を撮影や編集で観せればいいのである。
ミュージシャンならば、プロがライブを撮影して編集したものがいかに凄いか、大抵は知っている事だろう。
アマチュアのイベントであっても、たまに、そう言う撮影をしてくれるイベントもあったりもする。
プロが撮影してくれるイベントと言うのは、アマチュアバンドにとっては凄くいいチャンスな訳で、出演者を揃えるだけで苦労しているイベントも多い中、プロの撮影付きと言うのは、出演者募集の大きな売りになるし、実際に出演したがるミュージシャンも一気に増える。
いいライブ映像が1本あれば、自分たちの宣材として大いに活用出来るし、格好いい思い出の映像も残せるからである。
通常、個別にプロの撮影を依頼するとけっこういい値がするので、敷居が高く感じるのだが、イベントなどで撮影してくれる場合は、案外リーズナブルな価格で手にいれる事が出来る事が多い。
ライブ映像が必ずしも、生演奏に負けているとは限らない理由はざっとこんな所だ。
■ライブと録音物や映像物はまた別物
そして、その理由は、PVやMVでも同じである。
PVやMVを専門にしているカメラマンや編集の手に掛かれば、ライブとはまた違った良さを持った、一つの映像作品が出来上がる。
CDなどのレコーディングされた音源も、振り付けや構成も一切合切含めたプロ集団が撮影・編集したPV・MVなどの映像も、プロが撮って編集したライブ映像も、ライブとは全く別物の、それぞれの違ったジャンルの作品なのだ。
だから、僕も、シングルやアルバムのレコーディングは、作品作りだと思って打ち込んでいるし、位置付けもライブとはまた違う。
■あとがき
ライブと録音物の位置付けについては、また機会があれば記事にしたいと思います。
しないかも知れませんが、そこは、僕の気分次第で。(笑)
結論としては、それぞれの分野で、それぞれライブにはない魅力を引き出すコツを心得たプロの技術者達がいて、その人達がそのノウハウを駆使してそれぞれの分野の作品を作るから、ライブだけが全てにおいて勝っていると言う訳ではないと言う事ですね。
人を熱狂させるライブが出来るアーティスト達ならば、必ずと言っていい程、観せる為・聴かせる為の工夫はあちこちでしていますし、それと同じ様に、音や映像の技術者も観せる為・聴かせる為の工夫を凝らしているのは当然と言う事でしょう。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
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