登場人物紹介
2022年1月
母の入院をきっかけに
40代にして認知症の父の
介護をすることになりました
2023年現在
母は今も入院中
くわしく知りたい方はこちらもどうぞ
父がショートステイを
利用していた時のこと
当時は
一ヶ月のうち数日は
わたしが実家で父を見て
残りはショートステイという生活でした
ショートステイ先の施設に
とてもよくしてくれる職員さんが
いました
父は認知症で
新しいことを覚えるのが難しいため
ショートステイから帰ってきても
どこに行っていたのか
何をしたのか
誰と会ったのか
全く思い出せません
認知症になって
記憶の出し入れができなくなっても
好きとか嫌いという感情は
蓄積されていくといいます
ショートステイに行くたびに
よくしてくれる職員さんのことを
気に入ったのでしょう
ショートステイ滞在中に
父は手帳を差し出して言いました
職員さんは
すらすらと鉛筆を走らせます
「はい!どうぞ」
職員さんが返してくれた手帳には
住所が書いてあります
あっ
見てきたように書きましたが
わたしが見たのは
父の手帳だけなので
このやりとりは
わたしの想像です
わたしが見た手帳には
住所が書かれていました
ふむふむ
××市ね…
そして
住所の下には名前が
名前…
ん?
〇〇県××市1-23-4
北川景子です
だったらいいな…
もちろん施設には
北川さんという方はいません
小さく「だったらいいな…」って
書かれてるし
職員さんの名前じゃなくて
願望でした
よくよく見れば
手帳に書かれた住所は
ショートステイ先の施設のもの
そりゃあ
どう扱われるかわからないし
個人的な住所や名前は
書けませんよね
しかし
職員さんは
「ごめんね、教えられないの」
と断るのではなく
支障のないことを書いて
父の気持ちを満たしてくれました
父は
認知症が進んでいるので
聞いたことも
メモしたことも覚えていません
きっと
書いてもらった住所と名前を見て
へえ〜
あんた北川さんっていうの
と言うでしょうが
5秒後には忘れてます
でも
そこでやりとりして
楽しい気持ちになったことは
覚えているはず
手帳に書かれた文字を見た時
父が楽しい時間を過ごしたことが
わかりました
父は「住所を書いてほしい」
と言いましたが
本当に求めていたのは
職員さんの住所ではないんですよね
そこを見抜いて
工夫しながら接してくださる
介護施設の職員さんには
感謝でいっぱいです
わたしも北川さんを見習って
楽しい時間を積み上げていきたい

娘のわたしにも名前を聞きます
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