今週の闇金ウシジマくん/第466話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第466話/ウシジマくん52

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獅子谷甲児の部下である潜舵が、あるキャバクラオーナーの家に脱税で稼いだ金が隠されているという情報をつかみ、ドロボーに入ろうとしているところだ。当初潜舵は顔の割れていないものを用意してくれと甲児にたのみ、そこで甲児は丑嶋のことを思い浮かべていた。甲児はたぶんそのあたりで今夜丑嶋を殺すということを決めていて、それもこみで彼を選んだにちがいない。しかし、現場にはなぜか潜舵も甲児もきている。潜舵はオーナーに顔も声も割れているし、甲児は裏では有名人だから、参加しないほうがいいとおもうのだけど、それもこれも、丑嶋をあとで殺すという計画が投げ込まれたことが狂わせているのかもしれない。

 

 

窓から侵入しようとしている4人の賊を、同居している女が目撃する。ガスバーナーで熱くして水をかけ、急に冷やして割る方法だ。なにが起こっているのかうまく理解できない女の前に目出し帽をつけた男達がぞろぞろやってくる。ガラスを割ったので警報が鳴り出し、居間にいる篠田も異変に気がつく。女は拘束され、ビニール的なものをかぶせられてマサル状態に。

篠田は携帯片手に冷蔵庫の陰に隠れていたが、すぐに見つかる。全員覆面だから、誰が誰かわからないが、手掛かりはある。とりあえず、丑嶋と潜舵はメガネを(覆面の外側から)かけている。で、おそらく甲児とおもわれる男は、口ひげが見えている。それから、前回の侵入時の状況から、リュックを背負っているものは潜舵とその連れの金髪であると推測できた。以上のことから、篠田を最初に見つけて脅しているのは金髪くんだとおもわれる。いちおう、潜舵と甲児は声を出さないようにしているとか、そんなことかもしれない。

まず金髪くんは警報をとめさせる。警備会社に連絡して、誤報だったといわせるのだ。金はどこかといわれて財布をわたそうとする篠田だが、そんなはなしではなく、もっと大金である。篠田がとぼけるので、誰かが殴りかかる。この場面で、殴っているものの顔は見えず、その奥にもうひとり棒立ちしていて、これはメガネをかけていない。そしてどちらもリュックを背負っているので、たぶん最初に金髪が脅し、篠田がとぼけるから、聞いていた潜舵がかっとなって殴った感じだろう。

しかし篠田が白状する前に、おそろしく冷静な丑嶋があっさりソファーのなかから金を見つける。じぶんでもよく金を隠したりしているので、どういうところを探せばいいかかんたんにわかるのだろう。それがわからなければ、隠せないのだ。

このときに「ゴミ野郎」といっているのが誰なのかはわからないが、たぶん興奮している潜舵だろう。ついでに丑嶋は篠田の動きが妙だったことを指摘。隠れているあいだにスマホで通報していたのである。携帯の基地局情報から場所が割り出されるかもしれないということで、たぶん甲児の指示で、スマホが叩き壊される。潜舵はずいぶん興奮しているようだ。それで、篠田はそれが潜舵だと気がついてしまう。黙っていたら案外生きのびれたのかもしれないが、そういうわけで、バレてしまった。甲児は女も含めて殺っちゃうかと、あっさり殺人を決定するのだった。

 

 

 

柄崎と戌亥がいっしょにいる描写だ。場所はジムで、柄崎はウェアを着ているので、トレーニングをしていると聞いた戌亥が柄崎を訪れた感じだろう。ベンチプレスしたあとかな。柄崎もやっぱりそれなりにトレーニングはしてるんだな。ほんの小競り合い程度の喧嘩だと、ある程度格闘技をかじってそれなりの技術が身についていれば、あとは体格と筋肉がものをいうぶぶんはかなりある。柄崎もそれなりに強いはずなんだがなあ、なかなか見せ場がない。トップ路線ではないから難解な役とか奇天烈なキャラとかばっかりやらされている実力派のタカラジェンヌを見ているようだ。

戌亥は、例の誕生日会のつぶれた柄崎の画像を見たようだ。だが、どうも滑皮のツイッターかなんかではなく、柄崎のフェイスブックで見たようだ。滑皮はたぶん鍵なしの、全員公開の状態で画像を投稿して、柄崎はそれを保存したか、あるいは直接滑皮からもらったかして、酔いが醒め、むしゃくしゃして眠れなくてじぶんのアカウントに投稿した、というようなことだろうか。仮に滑皮のアカウントが鍵つきだったとして、丑嶋はそれを見ていたわけである。それを、丑嶋がフォローしていて戌亥がフォローしていないとは考えにくい。毎日のようにつきあいのある上司以上にこわい相手であるから、戌亥も滑皮の言動は必ずチェックしているだろう。そういうふうに考えると、なにかちょっとへんである。意味のない疑問ではあるが、要するに、ここでまだ情報としては出ていない柄崎のフェイスブックを出さなくても、戌亥があの画像を確認することはできるはずなのだ。つまり、メタ的にいえば、このことによって生じている「むしゃくしゃして寝れなかった(から更新した)」という柄崎の発言が重要であることになる。

 

 

柄崎はむしゃくしゃしている。とりあえず、滑皮の、金融なんかやめて仲間になれという誘いをどう考えているかはまだわからないが、もやもや納得がいっていないことはたしかだ。それを、柄崎がごく素朴な問いに置き換えて、戌亥にぶつける。なぜみんな社長にからんでくるのかと。

戌亥は、なにか適当におもいついたというふうに、しかしそれにしては細かな説明で、マグネターという中性子星みたいに厄介な存在だからじゃないかという。なんのことだかわからなかったが、戌亥がくわしく説明してくれる。マグネターは地球の2000兆倍の磁場の星で、質量も比ではなく、スプーン一杯で10億トンになるのだという。戌亥が柄崎に体重を問う。柄崎は85キロだと。このひとそんなにあるのかよ。あんまり背は高くないよな・・・。たぶん175センチくらいだろう。それで85キロとなると、全盛期の黒澤浩樹がほぼ同じ体型である。まあ、体脂肪率とかもあるし、禁欲的な生活をしているというタイプではないので、そこまでの密度ではないはずだけど。戌亥なんて柄崎より背が高そうだけどたぶん65キロくらいしかないよね。

ともかく、10億トンというと、85キロの柄崎が118億人くらいになるという。戌亥はこれ暗算したのかよ。というか、85キロもあって118億人となると、地球に生きている人類すべてをスプーンのうえにのせてもまだぜんぜんたりないということなのね。

とにかくとてつもない質量、そして磁力の星だ。もしそこに生命がいけば原子レベルまで分解されてしまうし、星の振動0.1秒で太陽の10万年分のエネルギーの爆風を放つと。ここまでマグネターの想像を絶するパワーを説明して、戌亥は迷いなく、丑嶋はマグネターみたいだという。近づくものを破滅させる危険な存在なのだ。そして、滑皮も獅子谷も、どこかでその底知れなさに気づいているとまで指摘する。

 

 

戌亥が、おそらくここへきた理由、今日の本題に入る。丑嶋は金をとられたあと必ず滑皮たちに殺される。丑嶋は意地を張っているが、ヤクザに脅されているということで警察に保護してもらってはどうかと。

さらに、戌亥は滑皮からの以来で獅子谷の素行調査も頼まれているという。それでわかったのが強盗の件である。甲児は丑嶋を連れまわしている。今夜、丑嶋は殺されるかもしれないと。

 

 

 

 

 

 

 

つづく。

 

 

 

 

 

 

 

 

戌亥は「滑皮さん達」といっているので、金をとられたら殺される、というとき、戌亥のなかでその「殺す」の主語は、必ずしも滑皮ではないということのようだ。誰がやるのかはわからない。滑皮が計画的に行うかもしれないし、甲児が我慢できなくてやっちゃうかもしれない。それはともかくとしても、金を奪われたら丑嶋は殺される。戌亥はそういっているのである。逆にいえば、金を奪われなければ丑嶋は殺されない。いま丑嶋の命を守っているのは、彼がこれまで蓄えてきた金なのである。こういう見方を採用すると、欲望も、感情も、暴力も、なにもかもが金に換算しうる、という立場をとりつづけた丑嶋が、ヤクザくん以降その全能性を失いつつも、ひょっとするとまだ世界の手綱をつかんだままなのでは、という可能性も出てくる。たしかに滑皮も、甲児に対して、金を奪ってから殺せ、というようにいっていた。誰もがそういうのである。丑嶋を殺そうと考えた誰かが、その場で実行に移さないのは、丑嶋にはまだ金があるという確信があるからであって、それは、実は丑嶋の採用してきた立場がもたらしているものなのである。

 

 

 

なぜみんなが丑嶋にこだわるのか、柄崎はそのように素朴に問う。これに対して、用意していたかのように(表面的にはいま思いついたように)、戌亥はマグネターをたとえに出す。いちおう浅く調べてみたが、そのほかに特徴として、寿命が短いということや、ブラックホールとは異なる質のものであることなどがわかった。ネット上のどの記事を読んでもややこしくて、ちょっとゆっくり読んでもいられないので適当な認識だが、要するに、質量としては太陽の何十倍にもなって、ほんらいであればブラックホールになっているべきものも確認されているらしい。あまりに重い星は、超新星爆発を起こしたあとブラックホールになる。しかし、なんらかの理由で質量を奪われた状態で爆発すると、マグネターになる、というようなことのようだ。

マグネターは大きさとしてはそれほどでもないが、そのぶん非常に高密度であり、重力もすさまじい。だが、物体としてそこに存在している。たほう、もっと重いブラックホールは、一般的には観測ができないとされていた(調べたら観測に成功したというようなニュースが去年あった)。だから、吸収されていくものの軌跡や、そのほか周辺の星が発する光などを通して間接的に調べることで、「そこになければおかしい」という具合に、帰納的に推測するほかないのである。

 

 

マグネターが一般的にトレンドになっていて、周知されているようなものであるならわからないでもないが、しかしここで戌亥がブラックホールでなくマグネターを選んだことには、なにがすけて見えるだろう。マグネターという響きはいかにも磁力を含んでいて、多くのものが丑嶋にひきつけられ、そして破滅していく現状を説明するにはうってつけである。しかし、それはブラックホールもそうではないだろうか。マグネターの磁力が、周辺の惑星にどのような影響を及ぼすかは、調べてみたがよくわからない。が、それとは別に、ブラックホールほどではないが、すさまじい重力の星であることはまちがいない。この文脈において使われる比喩として、両者はなにがちがうだろう。

なにもかも、具体的な情報にかんしてはたったいまググって手に入れたものなので、話半分に読んでもらいたいが、それはやはり「観測できるかどうか」ということではないかとおもわれる。以前までの丑嶋はどちらかといえばブラックホールだった。とりわけ甲児にとってはそうだろう。丑嶋は、兄の死に明らかに関与している。しかし証拠はないし(柄崎が轢いてるけど)、直接の犯人である椚とも表面上つながりはない。しかし、この件のどこをめくっても、丑嶋が顔をのぞかせている。「関与していないはずがない」と、そのようにしかとらえることができないのが、丑嶋という人間なのである。滑皮にとってもそうだろう。彼には戌亥がいるので、熊倉射殺の件については知っているが、鼓舞羅のときはどうだろう。あのときは、柄崎が熊倉に電話をかけたことで、鼓舞羅は暗闇で熊倉を丑嶋だと勘違いして攻撃してしまったのだった。滑皮はたしかその携帯についても言及していたはずである。あの場に丑嶋がいたということもある。丑嶋と鼓舞羅はもめていた。このことも滑皮は戌亥から聴いているだろう。だが、さすがの戌亥も、柄崎が電話をかけたことまでは知らないだろう。この件にかんしても、滑皮は「どう考えても丑嶋が関与している」と考えたかもしれないが、直接観測することはできないのである。

このようにして、これまでの丑嶋は、惑星がひとつの場所に吸い寄せられ、分解されていく様子から、ブラックホールがそこにあると推測するしかないように、ひとびとがひとつの場所に吸い寄せられ、分解していく様子から、その件の中心に丑嶋がいると推測するしかないような存在だったのだ。だがここで戌亥は、ブラックホールではなく、聞きなれないマグネターを比喩として用いる。じっさいにはブラックホールからマグネターに変化するということはないようだ。両者は、爆発のじてんの質量や磁力で分岐しているのである。しかしここで問題なのは戌亥がその語感になにを託しているかである。どちらも、周囲のものを引き寄せて、破壊してしまう。だが、ブラックホールは観測できない。たほうで、マグネターはたしかにそこにあるのである。丑嶋がブラックホールのままなら、危険を感じた甲児などが、先手をうって丑嶋を殺してしまうなんてことはできない。なにしろ、そこにいないのだから。けれども、同様に周囲を破滅させる存在でありながら、物体として存在するマグネターにかんしては、対応ができるかもしれない。戌亥は、ただ丑嶋の危険性と、それをふたりが察知しているということだけをいっているのではない。だからこそ危ないのだ、というはなしを、柄崎に聞かせているのである。

 

 

むしゃくしゃして眠れず、戌亥にそんな問いを投げかけるのは、柄崎にもわからないことばかりだからだ。彼のなかでは、社長も、滑皮の誘いも、戌亥の助言も、すべて保留された状態になっているだろう。判断がつかないのである。

そんな柄崎に、戌亥は警察に行けという。警察に守ってもらう丑嶋はもはや超人丑嶋ではなく、したがって、それをサポートするものとしての「最強の柄崎」も成立不可能となる。ここからさきは、彼がどこにプライドをもつのかという問題になる。もし柄崎が、丑嶋はどうあっても超人であるということをこのさきも信じることができれば、最強の柄崎は成立するのであり、だから警察に走ることもない。同じ程度に親しく、丑嶋のことをおもう柄崎と戌亥の、なにが異なるだろうか。戌亥は、丑嶋との関係性にプライドをおいてはいない。描写がたりないので分析は避けるが、ある種の憧憬のようなものを基調として、芝居で構築されている現状の生活の底部に、ゆるがぬものとして想定できるものとして、丑嶋との関係性をとらえているふしがある。ことあるごとに描かれてきたが、丑嶋との駄菓子を経由した関係もまた、芝居のひとつではあった。しかしそれは、じつはだれでもそうである。ラカンでは、自我さえ鏡を経由したフィクションである。意識的にか無意識的にか、戌亥は駄菓子を経由して語り合うそのイメージ図を、ゆるがぬもの、コアのようなものとして、後天的に仮構したのである。

おもに対滑皮ということになるが、戌亥には仕事を行ううえで装着しなければならない仮面がある。彼は、その仮面をはずして、のんびりできる空間を、丑嶋と駄菓子を囲うことで構築してきた。しかし、現実にはそれも相互に規定しあうものであって、仮面の内側にあるというより、等価なものである。多くの場合、わたしたちは自我のなかに「素のじぶん」と呼ぶことの可能なコアを想定し、公的な局面で複数の仮面を使い分けることで社会生活を営んでいる、というセルフイメージを抱えている。だから、それぞれの局面では芝居をしているのであり、そのたびにコアは損なわれ、ストレスを抱えることになる。作家の平野啓一郎が提唱する分人主義は、そもそも、最初にコアを想定することがまちがいなのではないか、ということだった。仮面を装着して営まれる個別の相すべてが、おのおの「素のじぶん」なのではないかと、このように考えるようとするのである。戌亥はその個人主義(コアの上に仮面をかぶる)と分人主義(仮面とおもわれてきた表情すべてがわたしそのものである)の中間的な立ち位置をとっているようにおもわれる。彼にとっては、対滑皮も対丑嶋も、それなりの芝居で成り立っており、同時に、どちらも「素のじぶん」にほかならない。だから、丑嶋とはなしながら嘘をつくこともできる。しかし同時に、両者の位置関係をじぶんのなかで調整することで、ある種の聖域を作り出してもいる。そうして、すべての相がほんもののわたくしであるとしながら、同時に相対的に仕事を行う自己を芝居によるものだとすることで、良心のためかあるいは「憐れみの情」のためか、嘘をつく生き方を保護しているのである。

たほうで柄崎は、あからさまにエゴで丑嶋を守る。こう書くとひどい人間のようだが、これはこれで生き方のひとつだろう。柄崎は、じぶんのアイデンティティのために、丑嶋には超人であってほしい。丑嶋が唯一無二であれば、それをサポートするじぶんも唯一無二になるからだ。こうみると、ふたりは決定的に異なりながら、同時に似ているところがある。柄崎は、じぶんの存在のために丑嶋に超人でいてほしい。それが戌亥では、みずからの生き方の聖域の住人として丑嶋には無事でいてほしい。どちらも丑嶋との関係性を保とうとしながら、求めるものがまったく異なっているのだ。

 

 

当初強盗を断っていた丑嶋だが、ことがはじまってしまってからは、アウトローっぷりを発揮して、けっこうのりのりで行っているようである(とっとと終わらせて帰りたいだけだろうが)。丑嶋は、どうやれば家に隠した金が見つからないかをくりかえし考えてきたことだろう。だから、考えの浅いものの隠した金ならすぐ見つけられる。みずからが金を隠す際に、その可能性は通過しているからである。

そうしてあっさり大金を発見したところで、甲児の表情が描かれている。これはたぶん、以上のようなことを甲児も考えたのではないかとおもう。彼は、どうやるつもりなのか、このあと丑嶋を殺すつもりだ。だが同時に、丑嶋が隠している金をすべて見つけなければならない。そのうえで、たやすく金を見つけた丑嶋に、その試行錯誤の過程を見たのかもしれない。

そして、話どおりならこれから彼らは篠田を殺すことになる。甲児はなにかこれを丑嶋にやらせそうな気がする。そこまでの状況になっても丑嶋はまだ甲児にしたがうだろうか。

 

 

 

 

 

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