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北朝鮮から帰国の元神大生 再会へ家族の心境複雑

 【北京5日共同】一九八七年に北朝鮮に入国し、日航機よど号ハイジャック犯とともに暮らしていた元神戸大生(52)=旅券法違反容疑で逮捕状=が五日午前、平壌発の航空機で北京空港に到着した。同日夜、北京発の全日空機で関西空港に帰国予定。警視庁公安部は帰国次第、八七年当時は渡航制限のあった北朝鮮を訪れたとして、旅券法違反容疑で逮捕する。

 元神戸大生は、八六年九月に最後に日本を出国して以来二十一年ぶりの帰国となる。

 北朝鮮から五日、帰国の途に就いた元神戸大生(52)=旅券法違反容疑で逮捕状=の家族は「拉致に近い事情があったのではないか」と複雑な心境を抱きつつも、再会を心待ちにしている。

 熊本県に住む父(84)と母(82)は二〇〇四年十月、弁護士を通じて届いた手紙で、初めて息子が北朝鮮にいることを知った。

 「初めて聞いた時はまさかと思った。帰国したくても許されない拉致に近い事情があったのではないか」と父。母は「北朝鮮のような国で、よく元気でいてくれたと思う。本当にうれしいし早く会いたい。向こうでの生活の様子などを早く本人の口から聞きたい」と話した。

 〇四年以降、何回か手紙をやりとりしたが「差し障りのないことしか書かれていない」との印象を受けたという。

 両親が最後に会ったのは一九八六年一月。友人の結婚式のため元神戸大生がオーストリアのウィーンから帰国した際、兵庫県に住む姉(57)の家で一晩一緒に過ごした。その時には「日本より向こう(ウィーン)の方が暮らしやすい」と話し、北朝鮮の話は一切なかった。

 姉の家には〇四年十一月、平壌の元神戸大生から国際電話が掛かってきた。姉は「詳しい話は聞いていないが、興味本位で行った後、出国できなくなったのではないか」と、北朝鮮への不信感を口にした。

 公安部は、八〇年代に欧州で消息を絶った有本恵子さん=失跡当時(23)=ら三人の拉致被害者の消息についても事情を聴きたいとしている。

 元神戸大生は神戸大中退後、八二年から八七年まで主にオーストリアのウィーンで生活。よど号ハイジャック犯の容疑者(59)=よど号事件で国際手配=の妹(53)と八五年に知り合い、八七年四月に一緒に北朝鮮に入国したとされる。


北朝鮮から帰国の元神大生 再会へ家族の心境複雑

国家の製造裏付けか 青森「脱北者」覚せい剤所持

 北朝鮮から木造船で脱出し、青森県深浦町に着岸した男性の覚せい剤所持が4日判明した。警察当局は過去に摘発した大型密輸事件の捜査から、北朝鮮の国家機関が外貨獲得のため覚せい剤を製造・密輸していると断定している。男性が出港した清津付近に製造工場の一つがあるとみており、末端の市民が国の“商品” を入手した経緯に注目している。

 「北朝鮮が国家的に関与した」「複数の工場でつくられ複数のルートで日本に入っている」。漆間巌警察庁長官は昨年7月、日本の警察トップとして初めて、北朝鮮と密輸される覚せい剤との関係を明言した。

 「北朝鮮ルート」の密輸事件は1997年ごろから急増。警察当局は97年から昨年5月までに摘発した7件について、覚せい剤の成分を分析するとともに、工作船や貨物船の航路、密輸に関与した関係者の供述を詳しく検証した。

 分析の結果、結晶成分の違いから覚せい剤は3種類あり、それぞれ別の場所で製造された可能性が高いことが判明。工作船や貨物船が清津など3カ所から出港していたと確認され、警察庁は「周辺に製造工場がある」との見方を強めていた。

 一方、一キロ当たりの海外からの仕入れ値は昨年10―12月、2002年当時の10倍に相当する2000万―3000万円まで高騰。「北朝鮮ルート」摘発で品薄化が進んだことが背景にあるとみられ、日本“市場”で大きなシェアを占めている実態を逆に裏付けた。

◎深浦港到着前、別の港にも接岸

 青森県深浦町沖の日本海で不審船が見つかり、北朝鮮から脱出した家族4人が保護された事件で、4人を乗せた船が深浦港に接岸する約3時間半前、同港の北約12キロにある深浦町の風合瀬(かそせ)漁港に入り、接岸していたことが4日、分かった。

 目撃した同町の漁業男性(62)らによると、船の接岸は2日午前3時半ごろ。港の入り口の防波堤から約30メートル離れた岸壁に船を寄せ、船をロープでつないだ。

 4人はその後、秋田県から来た釣り人5、6人に、「新潟はどっちだ」と片言の日本語で話し掛け、釣り人が「あっちが青森でこっちが新潟」とジェスチャーを交えて伝えると、港から出て行った。30分から40分間、港の中にいたという。

 目撃者の男性は「4人は疲れ切っていて、服も黒く汚れていた。出港後は深浦港がある南に船を向けていた」と振り返った。男性によると、知人の弘前市の60代男性が「4人が接岸後に約30分間、岸壁に上がっていたところを見た」と話しているという。
2007年06月04日月曜日

河北新報ニュース 国家の製造裏付けか 青森「脱北者」覚せい剤所持

脱北者:一般市民の覚せい剤所持「北朝鮮では珍しくない」

 青森県深浦町で保護された脱北者家族4人の所持品から微量の覚せい剤が検出されたことについて、脱北に成功し日本に戻って来た人たちは「北朝鮮では珍しくない。(一般市民の所持は)あり得る」と口をそろえる。警察当局は、次男を覚せい剤取締法違反容疑で書類送検する方針だが、北朝鮮のこうした事情も考慮してのものと思われる。

 数年前に脱北・帰国した東京都内の40代の元在日朝鮮人男性は「ヤミで覚せい剤を扱う人がいる。彼らにお金さえ払えばいくらでも手に入る。普通の人でも手に入れて使っている」と指摘する。

 男性によると、北朝鮮の製造工場で作られた覚せい剤は品質によって価格は異なるが、00年ごろには1キロ1万円程度で取引されていたこともあった。「社会が不安定で日々の暮らしに希望が持てず、眠気覚ましに使ったり、興奮状態になろうとして覚せい剤を求める人もいる」と話す。

 また、04年に脱北した大阪府の女性は「国を挙げてアヘンの原料となるケシの栽培を奨励しており、覚せい剤にも怖いというイメージはなかった。アヘンは下痢の治療などに利用されている。自分も使ったことがある」と語った。【工藤哲】


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