国家の製造裏付けか 青森「脱北者」覚せい剤所持
北朝鮮から木造船で脱出し、青森県深浦町に着岸した男性の覚せい剤所持が4日判明した。警察当局は過去に摘発した大型密輸事件の捜査から、北朝鮮の国家機関が外貨獲得のため覚せい剤を製造・密輸していると断定している。男性が出港した清津付近に製造工場の一つがあるとみており、末端の市民が国の“商品” を入手した経緯に注目している。
「北朝鮮が国家的に関与した」「複数の工場でつくられ複数のルートで日本に入っている」。漆間巌警察庁長官は昨年7月、日本の警察トップとして初めて、北朝鮮と密輸される覚せい剤との関係を明言した。
「北朝鮮ルート」の密輸事件は1997年ごろから急増。警察当局は97年から昨年5月までに摘発した7件について、覚せい剤の成分を分析するとともに、工作船や貨物船の航路、密輸に関与した関係者の供述を詳しく検証した。
分析の結果、結晶成分の違いから覚せい剤は3種類あり、それぞれ別の場所で製造された可能性が高いことが判明。工作船や貨物船が清津など3カ所から出港していたと確認され、警察庁は「周辺に製造工場がある」との見方を強めていた。
一方、一キロ当たりの海外からの仕入れ値は昨年10―12月、2002年当時の10倍に相当する2000万―3000万円まで高騰。「北朝鮮ルート」摘発で品薄化が進んだことが背景にあるとみられ、日本“市場”で大きなシェアを占めている実態を逆に裏付けた。
◎深浦港到着前、別の港にも接岸
青森県深浦町沖の日本海で不審船が見つかり、北朝鮮から脱出した家族4人が保護された事件で、4人を乗せた船が深浦港に接岸する約3時間半前、同港の北約12キロにある深浦町の風合瀬(かそせ)漁港に入り、接岸していたことが4日、分かった。
目撃した同町の漁業男性(62)らによると、船の接岸は2日午前3時半ごろ。港の入り口の防波堤から約30メートル離れた岸壁に船を寄せ、船をロープでつないだ。
4人はその後、秋田県から来た釣り人5、6人に、「新潟はどっちだ」と片言の日本語で話し掛け、釣り人が「あっちが青森でこっちが新潟」とジェスチャーを交えて伝えると、港から出て行った。30分から40分間、港の中にいたという。
目撃者の男性は「4人は疲れ切っていて、服も黒く汚れていた。出港後は深浦港がある南に船を向けていた」と振り返った。男性によると、知人の弘前市の60代男性が「4人が接岸後に約30分間、岸壁に上がっていたところを見た」と話しているという。
2007年06月04日月曜日
河北新報ニュース 国家の製造裏付けか 青森「脱北者」覚せい剤所持