日朝作業部会2日目始まる、拉致問題を協議
6者協議の日朝国交正常化作業部会は6日午前、モンゴル政府迎賓館で2日目の協議を始めた。日本側は前日の国交正常化をめぐる協議で、北朝鮮側に「不幸な過去の清算」に前向きに取り組む姿勢を提示。この日の協議では、北朝鮮側から拉致被害者の調査再開など「具体的な行動」を引き出したい考えだ。
美根慶樹・日朝国交正常化交渉担当大使は同日朝、拉致問題について「国交正常化実現のため、この問題の解決が不可欠。早期解決をはかりたい」と記者団に語った。「被害者や、その家族の安全確保、早期帰国の実現、真相究明、容疑者の引き渡しを求める。よど号実行犯も引き渡しを求める」とも述べた。
両代表団は5日夜も、日本大使公邸で約3時間にわたり、夕食を取りながら意見交換した。
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「過去の清算」対応表明 日朝協議
ウランバートルで5日始まった6者協議の日朝国交正常化作業部会で、日本側は北朝鮮が強く求める「過去の清算」について誠実に対応する意思を表明した。米朝関係の改善が影響し、初日の日朝部会は険悪な空気に包まれることなく終わった。日本政府は最終日の6日、北朝鮮から拉致被害者の調査再開など具体的な行動を引き出したい考えだ。
双方は初日に国交正常化、2日目に拉致問題を扱うことで合意し、初日は約3時間半協議した。北朝鮮側の「拉致ばかり取り上げて6者協議の枠組みを壊そうとしている」との主張に日本が配慮し、3月のハノイでの日朝部会とは議題の順番を入れ替えた。
美根慶樹・国交正常化交渉担当大使は協議後、記者団に「明日が拉致に関する話し合いなので、それを待つ必要がある。現在は明確に説明できる段階ではない」と述べるにとどめた。関係筋によれば、北朝鮮側は日本の姿勢を評価。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に対する一連の捜査の問題に言及したが、「これ以上問題を悪化させない姿勢」(北朝鮮筋)を示した。日本側は過去の清算問題で「経済協力による一括解決方式」を提案。北朝鮮側は個別の補償も必要との姿勢を崩さなかったが、「日本の立場に対する認識を深めた」とも語ったという。
日本側は拉致問題での行動を促すため、北朝鮮への水害支援を経済制裁の例外として実施することを検討している。日本の支援や、北朝鮮による拉致被害者の調査再開が表明されるかどうかが6日の協議の焦点になる。
北朝鮮が再調査に応じた場合、日本にとって一定の成果となりうる。だが、核問題での成果を急ぐ米国が再調査を「拉致問題の進展」と見なし、テロ支援国家指定の解除を急ぐ可能性もある。
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拉致と核 ともに解決する知恵を(9月5日)
北朝鮮が、年内にすべての核計画を申告するとともに核施設を無能力化すると、米国に約束した。
約束をほごにしたり、ずるずる引き延ばしたりするのは北朝鮮の常とう手段だけに、先行きは楽観できない。
それでも、北朝鮮の非核化に向けて具体的な日程が確認されたことは一つの前進だろう。近く開催が予定されている六カ国協議の本会合や外相会合へ弾みがついたといえる。
ただ、この合意では、まだはっきりしない点も多い。
申告する核計画のなかに兵器に転用できる高濃縮ウラン計画が含まれるのか。あるいは、申告内容や無能力化をどう検証するのか。
北朝鮮に合意不履行の口実を与えないためにも、詰めるべきことはきちんと詰めておかなければならない。
米国は今年に入ってから、頻繁に北朝鮮と対話を重ねてきている。そこからうかがえるのは、北朝鮮に核を放棄させるためなら、多少の譲歩も仕方がないという姿勢だ。
今回の協議終了後、北朝鮮は、米国がテロ支援国家の指定を解除することになった、と発表した。
米国側は「解除するかどうかは北朝鮮の非核化の進展にかかっている」と否定しているが、これは核施設の無能能力化などが進めば指定解除はあり得るとも読める。
一方で米国は、指定解除に当たっては拉致問題に配慮すると、日本の立場にも理解を示している。拉致問題で日本が頼みとするのも米国だ。
しかし、日本の思惑とは別のところで、米朝が歩み寄りを見せていることは間違いない。
日朝関係が立ち往生している間に、米朝間の対話だけでなく、来月初めには北朝鮮と韓国の首脳会談が開かれるなど周りはどんどん動きだしている。
そんななか、きょうからモンゴルで半年ぶりの日朝協議が始まる。
これまで、すべての拉致被害者の帰国と真相究明、拉致実行犯の引き渡しを求める日本に対し、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」といい張ってきた。不誠実きわまりない態度だ。
日本も拉致問題をいい立てるばかりでは事態打開は難しい。「対話と圧力」を掲げながら圧力に軸足を置いて、結局ほとんど前進がない現実を冷静に受け止める必要がある。
たとえば、エネルギー支援の条件である拉致問題の進展とはどういうことかを具体的に説明することは、対話の糸口になるだろう。政府が検討している北朝鮮の水害への人道支援も、交渉の足がかりになるかもしれない。
現実的でしたたかな米国や北朝鮮の対応を見ていると、このままでは日本だけが取り残されるのではないかという懸念が膨らんでくる。
社説 北海道新聞