拉致と核 ともに解決する知恵を(9月5日) | trycomp2のブログ

拉致と核 ともに解決する知恵を(9月5日)

 北朝鮮が、年内にすべての核計画を申告するとともに核施設を無能力化すると、米国に約束した。

 約束をほごにしたり、ずるずる引き延ばしたりするのは北朝鮮の常とう手段だけに、先行きは楽観できない。

 それでも、北朝鮮の非核化に向けて具体的な日程が確認されたことは一つの前進だろう。近く開催が予定されている六カ国協議の本会合や外相会合へ弾みがついたといえる。

 ただ、この合意では、まだはっきりしない点も多い。

 申告する核計画のなかに兵器に転用できる高濃縮ウラン計画が含まれるのか。あるいは、申告内容や無能力化をどう検証するのか。

 北朝鮮に合意不履行の口実を与えないためにも、詰めるべきことはきちんと詰めておかなければならない。

 米国は今年に入ってから、頻繁に北朝鮮と対話を重ねてきている。そこからうかがえるのは、北朝鮮に核を放棄させるためなら、多少の譲歩も仕方がないという姿勢だ。

 今回の協議終了後、北朝鮮は、米国がテロ支援国家の指定を解除することになった、と発表した。

 米国側は「解除するかどうかは北朝鮮の非核化の進展にかかっている」と否定しているが、これは核施設の無能能力化などが進めば指定解除はあり得るとも読める。

 一方で米国は、指定解除に当たっては拉致問題に配慮すると、日本の立場にも理解を示している。拉致問題で日本が頼みとするのも米国だ。

 しかし、日本の思惑とは別のところで、米朝が歩み寄りを見せていることは間違いない。

 日朝関係が立ち往生している間に、米朝間の対話だけでなく、来月初めには北朝鮮と韓国の首脳会談が開かれるなど周りはどんどん動きだしている。

 そんななか、きょうからモンゴルで半年ぶりの日朝協議が始まる。

 これまで、すべての拉致被害者の帰国と真相究明、拉致実行犯の引き渡しを求める日本に対し、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」といい張ってきた。不誠実きわまりない態度だ。

 日本も拉致問題をいい立てるばかりでは事態打開は難しい。「対話と圧力」を掲げながら圧力に軸足を置いて、結局ほとんど前進がない現実を冷静に受け止める必要がある。

 たとえば、エネルギー支援の条件である拉致問題の進展とはどういうことかを具体的に説明することは、対話の糸口になるだろう。政府が検討している北朝鮮の水害への人道支援も、交渉の足がかりになるかもしれない。

 現実的でしたたかな米国や北朝鮮の対応を見ていると、このままでは日本だけが取り残されるのではないかという懸念が膨らんでくる。

社説 北海道新聞