拉致被害者 ヒル次官補に直談判も強い失望感
【ワシントン=有元隆志】北朝鮮による拉致被害者家族会と拉致議連、救う会の合同訪米団は15日、6カ国協議の米首席代表を務めるヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)と国務省で面会し、北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除をしないよう直談判した。ヒル次官補は解除するかはブッシュ大統領の判断としたうえで、「北朝鮮から譲歩を引き出す手段とみている」と述べ、解除に向けた作業は続ける考えを示した。
面会後、家族会の飯塚繁雄副代表らが明らかにしたところによると、ヒル次官補は「拉致問題については認識している。ひどい話で心を痛めている。北朝鮮との交渉ではいつも拉致問題を取り上げている」と述べ、理解を求めた。
ただ、解除に当たっての具体的な要件などに関しては、「話せる立場にない」と言及を避けた。
飯塚副代表は「解除になった場合、相当なショックがある。拉致被害者全員を殺す気かという感じで、(ヒル次官補に)『葬る』という言葉を使った。(次官補には問題解決に向けた)強い意思はうかがわれなかった」と失望を表明した。
一方、ペリーノ大統領報道官は15日の記者会見で、ブッシュ大統領が、30年前に北朝鮮工作員に拉致された横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さんと面会したことに触れ、「拉致問題は大統領がよく考えている問題の一つだ」と述べ、米政府としてこの問題を重視していることを強調した。
また、合同訪米団は15日午前、下院外交委員会のロスレイティネン共和党筆頭理事と面会し、指定解除阻止に向けた協力を要請した。同議員は「指定解除にあたり、拉致問題は非常に重要な要素だ。国務省が北朝鮮問題に取り組む際には、拉致被害者の存在を忘れてはならない」と述べた。 同議員は、北朝鮮が拉致被害者の解放などの条件を満たさない限り、テロ支援国家指定を解除しないよう求める法案を提出している。
拉致被害者 ヒル次官補に直談判も強い失望感(産経新聞) - Yahoo!ニュース
「拉致解決」条件化、上院にも法案=北テロ支援解除をけん制-共和党議員
【ワシントン15日時事】米共和党のブラウンバック上院議員は15日、拉致被害者家族会と拉致議連の訪米団と会談し、拉致問題が解決しない限り、米政府が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除しないよう求める法案を11月中にも提出する考えを表明した。既に下院では同趣旨の法案が提出されており、解除に前向きな国務省に対する議会のけん制が強まりそうだ。
拉致議連の平沼赳夫会長らが会談後、記者会見して明らかにした。
「拉致解決」条件化、上院にも法案=北テロ支援解除をけん制-共和党議員(時事通信) - Yahoo!ニュース
連載【漂 揺の30年(3)】「北はうそばかり」 “象徴死亡”で問題幕引き
「(北朝鮮は)うそばっかり言っている。それが明らかになり、あの国の体質が分かってきた」
横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(71)は今、改めてそう感じている。
《めぐみさんは精神病で自殺した…》
北朝鮮側はこう説明してきたが、それを裏付けるものは、当時の担当医とされる男の「(めぐみさんは)散歩中に目を離した間に、衣類を引き裂いて作った紐(ひも)を使って松の木で首をつった」という“証言”だけだ。
めぐみさんの「死亡台帳」としてきたものは、「入退院台帳」と書かれた上に線がひかれ、書き直されたものだった。しかも、その台帳のめぐみさんのページの通し番号は、別の男性と同じ番号が記されていた。急遽(きゅうきょ)、作ったものだったことは明らかだ。
こうした矛盾を追及した日本政府に対し、北は「事務的なミス」「慌てて作ったもので正確ではなかった」とあっさり認めた。
めぐみさんの「死亡」については、つじつま合わせも目立つ。
韓国人拉致被害者で、めぐみさんの元夫、金英男氏は当初、日本政府調査団に、めぐみさんの両親にあてた手紙を託した。《1993(平成5)年、突然病気でめぐみを失った》。
ところが、帰国した拉致被害者らが「94(同6)年まで平壌でめぐみさんを見たという話を聞いた」と証言すると、北はそれに沿うように「死亡は94年4月」と訂正。金氏もその後、「思い違い」として訂正した。
極めつきは「遺骨」だった。通常の火葬時よりはるかに高温の1200度で焼かれ、形も判別できないほど粉々に砕くなど入念な細工が加えられていた。捜査関係者は「明らかに鑑定不能との結果を狙ったものだった」と話す。鑑定ができなければ、「死亡」というイメージがじわじわと広がっていった可能性もある。
だが、北の狙いに反し、日本側のDNA鑑定の技術は「別人2人の骨を混ぜたもの」との結果を導き出した。それでもなお、北は金氏に「墓を掘り起こして火葬した。遺骨が偽物なら私に返せばいい」と繰り返させる。
「おじいさん、おばあさんが元気でいるか心配。私は学生だから(日本に)行くことはできない。(北に)必ず来てくれると思っている」
めぐみさんの娘、キム・ヘギョン(ウンギョン)さんは、日本の民放テレビなどのインタビューで涙を交えて話したこともあった。めぐみさんの両親の訪朝を促す演出。「罠(わな)」だった。
めぐみさんの父、滋さん(75)は家族会の代表。北は滋さんと早紀江さんが訪朝し、ヘギョンさんと涙の面会をすれば、拉致問題追及のトーンは弱まると踏んだ。滋さんの心は揺れた。だが、ほかの家族らの説得で思いとどまった。
「あの子が言っていることが、めぐみのメッセージなのかと思い揺らいだこともあった」。早紀江さんはそう振り返る。
帰国した被害者5人が当初、めぐみさんに関する情報だけを積極的に話していた。北が「めぐみさんについては、話してもよい」と指示していた様子が浮き彫りになる。
「滋さんと早紀江さんを北へ招き、ヘギョンさんの口から『母は死んだ』と言わせる。拉致問題の『象徴』であるめぐみさんを『死亡』したことにすれば、問題全体の幕が引けると考えた謀略だった」。支援組織「救う会」の西岡力副会長はこう断言する。
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