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中国の不気味な低姿勢  ― 経済不安で方針変更か

 中国の王毅中駐日大使といえば、日本に大使館を構える外国使臣の中で最も横柄で威張りくさった外交官として有名である。小泉首相の靖国参拝について中国政府が難癖をつけた時、その本国政府の方針を受けて日本側に言いたい放題言いまくったのがこの王毅大使であったことは記憶に新しい。筆者なども何という無礼な男かと心中憤然とすることが多かったのである。

 その王大使の講演会が過日開かれたので、参加してみた。これは、筆者も会員になっている日本国防協会の主催したものだが、この国防協会というのはまず日本の中では比較的保守派の多い組織である。靖国問題でも当然、首相の参拝を是とする立場の人が多い。そんな中へ乗り込んでくるとは、王大使もなかなか勇気の要ることだとやや感心もした。敵ながらあっぱれといったところであろうか。もし王大使がこの講演会の席でも居丈高な態度で臨むのなら、こんなふうに質問をしてやろうと想定問答も考えていたのである。

 ところが会場に現れた王大使は、なるほど風ぼうこそはキリリと引き締まった精悍(せいかん)な顔つきだが、しゃべったことの内容はというと、中国がいかに平和を愛し、覇権を求めず、軍事よりも経済の発展に努めてきたかを延々と語り、これは安保政策にもすべて当てはまると説明した。中国が過去何年も毎年国防費を対前年比2けた増で増強してきたことについても、国土の広さや国境線と海岸線の長さからいって、これまであまりにも国防費が少なかったことの是正にすぎないと述べ、中国がいかに平和的であるかについては、いまだに外国に一つも軍事基地を置いていないことを強調した(暗に米国を批判)。国防費の不透明性への西側の批判についても「年々透明性を加速させている」と説明した。

 実は、この説明そのものにも疑問は多々ある。海外に基地を求めないというが、ミャンマーには海軍基地を租借しているというし、チベットや新疆ウイグル地区などはもともと中国領でもないのに、侵略して領土化し、そこに軍隊を駐留させて軍事基地を建設したものだ。だから、王大使の説明そのものが仮説もしくは事実誤認に基づいていることになり、到底まともに聞くに値しないと思われた。

 それはさておき、たとえ手前勝手な説明とはいえ、大使の講演はすべて中国の現状説明であり、日本については終始一貫、一言の言及もなかった。これには、強面の大使の口からいつものような強圧的な対日批判を予想していた参会者は肩透かしを食らったような感じであった。場合によっては大いに論戦を挑もうと満を持していた筆者も開いた口がふさがらない思いであった。これは何かある―と思わない方がどうかしている。靖国を含めて、しばらく日本に対して圧力がましい欲求をやめようとの中国政府の方針変更を意味するのか。つまり、柔軟路線への転換か、新たな分断戦術の採用か。

 今年になって日本側から大勢の政治家や経済人が訪中した。二階俊博・経済産業相を皮切りに、谷垣禎一・財務相、竹中平蔵・総務相ら閣僚はじめ、自民党の中川秀直・政調会長、高村正彦・元外相と続いた。圧巻は橋本竜太郎・元首相であった。橋本氏らは民間の各種団体の代表の形で訪中したものだが、すでにお伝えしたように、鼓錦濤国家主席はこれら日本の7団体の代表と会見し、日本が靖国問題で態度を改めない限り、今後も首脳会談はあり得ないとくぎを刺す始末だ。筆者が情けなかったのは、いやしくも日本の首相まで務めた橋本元首相が一言の反論もせず黙って相手の意見を拝聴して帰ってきたことである。くやしいが、日本は完全に位負けしたのである。 中国の政府や党の高官たちの対日発言は、この胡錦濤国家主席に右へ倣えで統一されてきた。その意味では、今回の王毅大使の発言は日本の聴衆が相手であるのに、日本への注文は一切なく、中国の現状をへりくだった態度で縷々(るる)説明しただけであった。これをどう解釈すればよいのか。明らかに本国政府の対日方針の変更ととらえてよいのではないか。その予調はすでに温家宝首相が去る3月に述べた対日政策に関する発言からうかがい知ることができる。温首相はこう言っているのだ。日本に対しては、①戦略対話の継続②民間交流の促進③経済貿易関係の発展―を積極的に進めるべきだと。これをどう解釈したらよいのか。

 中国と日本の間には靖国問題だけではない。東シナ海でのガス田開発をめぐる対立はじめ、旧日本軍が遺棄したとされる毒ガス砲弾など化学兵器の処理問題、さらには日本固有の領土である尖閣諸島の領有権問題など多くの難問が控えている。実力行使ではなく話し合いで解決するためには、どうしても首脳間の交流が欠かせないが、靖国問題を理由に先方が門戸を閉じてしまっている以上、交流のしようがないのだ。しかし、だからといって相手の要求をのんで靖国参拝をやめたからと万事うまく事が運ぶと考えるのは、よほど単細胞であろう。いまのところ小泉首相は靖国参拝の断念など一切考えていないが、国内ではそれを批判する声がだんだん強くなっている。だが、最近の中国の様子を見ると、中国自身も挙げた手の下ろしように困っているのではないか。その原因となるのは、中国経済の先行き不安である。国内にさまざまな不安定要因を抱える中国では、一たび歯車の回転が狂うとたちまち経済が混乱に陥る。マイナス成長になる危険性が多々あるのだ。そのとき頼りになるのは日本しかない。そのことをようやく中国側も認識してきたのであろう。王毅大使の気味悪いほどの低姿勢の講演の原因をこのように理解するのは筆者の深読みであろうか。

 中国は靖国参拝反対の理由として、日本は過去の侵略への反省と謝罪の念が足りないことを挙げる。それなら、これまで終始一貫、日本の首相の靖国参拝に反対してきたかというと決してそうではない。親中派の大平正芳首相は1979年の春と秋の例大祭と80年春の例大祭に靖国に参拝している。その間、79年12月には夫人を伴って訪中した。中国はどう対応したかというと、何と〝熱烈歓迎〟したのである。これは何を意味するのか。中国にとって靖国問題とは単なる外交カードの一つにすぎないということである。大平首相時代の日中関係は極めて友好的で、靖国参拝は何らこの友好関係の維持の障害にはならなかった。靖国問題が論議のマトになるのは、この問題が外交カードとして有効だと中国側が認識しだしてからである。日中間で何かもめ事が起こったとき、靖国問題を持ち出すことで日本国内で国論が分裂した。これは使えると中国側は考えたのである。

 中国はアジアに二つの覇権国は不要だと考えている。覇権国は中国一つで十分で、日本が中国と肩を並べるなどは許しがたいのである。そこで、日本側にその兆候が少しでも現れると、途端に抑えのカードとして靖国問題を持ち出すのである。そうすると、日本国内は賛否両論が対立し、中国の思うツボの状況になる。案の定、そうなりかかった。だが、中国側にとって思惑外れだったのは、日本国民の反中ムードが予想外に高まったことである。せっかくの外交カードの効果が思わしく作動しないのだ。これはとんだ思い違いであった。さて次なるカードは? これが中国政府の思案のマトなのである。そこで急に対日批判が鳴りを潜めたのであろう。次なる秘策を手中にするまでは、当分この状態が続くはずだ。しかし、安心は禁物である。日本自身もさらに脇を固めて向き合っていかねばならない。

(伊勢新聞社東京支社嘱託・河本 弘)
伊勢新聞

北朝鮮、韓国に経済支援を要求

列車試運転中止への謝罪はなし

 第12回南北経済協力推進委員会は4日、2日目の会合が開かれ、韓国側は全体会議の基調発言で、北朝鮮側が南北連結鉄道の試運転を一方的に中止したことについて強い遺憾の意を表明した。

 韓国側委員長の朴炳元(パク・ビョンウォン)財政経済部次官は「双方が合意した事項は信頼関係を土台として履行しなければならない」として、試運転を早期に実現できるよう、「誠意ある措置」を取ることを北朝鮮側に要求した。

 韓国の統一部関係者によると、北朝鮮側はこれに対し「責任転嫁はしないのが望ましい」と応じたという。試運転中止の責任は北朝鮮側ではなく韓国側にあるという従来からの主張を繰り返したというわけだ。

 その一方で北朝鮮側はこの日の基調発言で、軽工業の原材料や地下資源の支援問題への早急な対応を要望し、韓国側の経済支援を求めた。南北双方が鉄道の試運転実施を前提として、先月の経済協力推進委員会委員の接触を通じて事実上合意していた軽工業の原材料(数百億ウォン規模)の早期の支援を要求したのだ。北朝鮮側はまた、北朝鮮が参画しているロシア極東地域の木材伐採、石炭採掘などの事業に韓国側が資本を投入して、南北共同で参画しようとの提案をし、肥料工場建設への支援を要請した。

済州=キム・ミンチョル記者

朝鮮日報
朝鮮日報 Chosunilbo (Japanese Edition)

「寺越事件」の真相解明を

 救う会石川は4日、白山市内で定期総会を開き、63年に能登半島沖で寺越昭二さん(当時36)ら3人が行方不明となった「寺越事件」について、「政府に対して再度、拉致認定と事件の真相解明を強く求める」とする決議案を採択した。

 奥田建・前衆院議員らを招いた討論会もあり、「拉致認定のハードルを緩やかにするべきだ」などの意見が出された。約40人が参加した。
asahi.com:「寺越事件」の真相解明を - マイタウン石川