韓国 拉致被害者救出へ懸念も

今回のキム・ヨンナムさんの家族との再会をめぐり、韓国の拉致被害者の家族の中には、北朝鮮が韓国人の拉致を認めていないなかで、一家の再会が南北の離散家族として扱われたことで、拉致被害者の救出運動が弱まりかねないという懸念が出ています。NHKニュース
キム・ヨンナムさんの家族が所属する団体とは別に韓国で活動している拉致被害者家族協議会のチェ・ウヨン会長は、30日、NHKとのインタビューで、キム・ヨンナムさんと家族の再会について「母親が拉致された息子と28年ぶりに対面する姿を見て、心が痛かったです」と述べました。そのうえで、ヨンナムさんが29日の記者会見で、北朝鮮に拉致されたことを否定したことについては「あのようなうそをつくまでに北側に訓練されていたのかと思うと、拉致被害者の家族として胸が詰まりました」と述べ、北朝鮮側の体制を批判しました。さらに、チェ会長は、北朝鮮がヨンナムさんら韓国人の拉致を認めていないなかで、ヨンナムさん一家が朝鮮戦争などで南北に離れ離れになった離散家族として扱われたことで、拉致問題としての印象が薄まり、被害者の救出に向けた運動が弱まりかねないという懸念を示しました。
ヘギョンさんの写真を公開

横田めぐみさんの夫だったとみられるキム・ヨンナムさんの韓国の家族は、ヨンナムさんから受け取った横田めぐみさんの娘のキム・ヘギョンさんの幼いころの写真などを公開しました。NHKニュース
ヨンナムさんの姉のキム・ヨンジャさんは、30日、北朝鮮の景勝地クムガン山から韓国に戻る前にヨンナムさんから受け取ったキム・ヘギョンさんの幼いころの写真などを公開しました。この中では、ヨンナムさんが、自宅の前でヘギョンさんを抱きかかえた写真があり、この写真の裏に1993年7月20日と記されていることから、当時のヘギョンさんの年齢は5歳だったとみられます。また、ヨンナムさんが今の妻やヘギョンさんら家族4人で外出したときの記念写真には、撮影日時などは公開されていませんが、4人が笑顔を浮かべている様子が写っています。一方、横田めぐみさんが写った写真に関しては、ヨンナムさんは、横田めぐみさんと結婚したときとヘギョンさんの1歳の誕生日を祝ったときの写真を持っていることを明らかにしましたが、その写真は「持って来なかった」とヨンジャさんに話しています。
“めぐみさん 交通事故に”
横田めぐみさんの夫だったとみられるキム・ヨンナムさんは、29日の記者会見のあと、韓国の家族に対し、めぐみさんが「3歳のときに交通事故にあった」と話していたことがわかりました。NHKニュース
これは、キム・ヨンナムさんとの28年ぶりの再会を終えた姉のキム・ヨンジャさんが、30日、北朝鮮の景勝地クムガン山を出発する前に、韓国の取材団に対して明らかにしたものです。ヨンナムさんは、29日に行った記者会見で、めぐみさんについて「子どものころ事故にあい、頭に大けがをしたことを覚えていると話していた。よく頭が痛いと言っていた」と話しました。姉のヨンジャさんは、めぐみさんの「事故」について、あとでヨンナムさんに具体的に尋ねたところ、ヨンナムさんは、めぐみさんが「3歳のときに交通事故にあったと言っていた。結婚前からかなり頭痛に苦しんでいた」と話したということです。そして、ヨンナムさんは「自分が守ってあげなければならないと思って結婚した。今でも結婚したときと、子どもの1歳の誕生日を祝ったときの写真を持っている」と話したということで、「写真を見せてほしい」と言うと、ヨンナムさんは「持って来なかった」と答えたと言うことです。これについて、めぐみさんの母親の早紀江さんは「めぐみは交通事故にあったことは一度もありません。『車には特に気をつけなさい』と言っていましたし、親として子どもの健康には十分に気を配ってきました。そのような発言があったと聞いて、ほんとうにびっくりしていますし、次々にうそを重ねる北朝鮮に対して腹立たしい気持でいっぱいです」と話しています。ところで、ヨンナムさんは、ことし8月にピョンヤンで行われる予定の大規模なマスゲームの公演にヨンジャさんらを招待したいという考えを、記者会見の前に家族に伝えていたということです。ヨンナムさんの家族は、30日午後、軍事境界線を通って韓国側に戻り、母親のチェ・ゲウォルさんは「息子に会ってきました。皆さんの協力に感謝します」と話していました。