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この夏、盧武鉉は南北首脳会談に打って出る
昨年夏のミサイル実験、そして10月の核実験。年末の6カ国協議も進展はなく、今年も北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の動向に日本、そして国際社会は振り回されそうだ。北朝鮮の行動原理を、周到な核戦略に基づくものとして分析し、核実験に至る流れを予言していた武貞秀士・防衛省防衛研究所主任研究官に、2007年の半島情勢について見通しを聞いた。(聞き手は日経ビジネスオンライン副編集長=山中 浩之)
NBO 昨年末に韓国に行かれて、北朝鮮に「太陽政策」を取ってきた盧武鉉政権への批判の高まりを実感されたそうですが。
武貞 そうです。今まで南北融和を積極的に支持してきた人々の間で、どうも話がおかしいという見方が広がっている。盧武鉉大統領への支持率低下と符合していますね。
NBO 昨年の夏、日本が北朝鮮問題で大揺れだった頃は、韓国の雰囲気は総じて「米国や日本が経済制裁で北を追い込むから、北は核を手放さないし、実験に踏み切ったじゃないか」といったものだったそうですね。それが相当変わったと。
韓国の空気は北と盧武鉉に冷たくなった
武貞 金大中と盧武鉉、この2つの政権は北を見誤っていたという声が大きくなっています。陸軍士官学校、在郷軍人会、ニューライト(全斗煥時代の左翼運動の活動家たちが中心。現在は保守的な勢力に)などが主催したいくつかの会議に出席したんですが、NGO(非政府組織)活動をしている人たちなど、盧武鉉政権の政策を支持した若者たちにも変化が起きている。「同族だから許そうという考え方(太陽政策)自体が間違っている。人権問題を考えても、ひどい国だ。それを我々は制止しなきゃいけない」という声が、増えてきています。人権を無視して体制の維持を図っている体制は許せないと。これは、ずいぶん流れが変わってきたなと思いました。
NBO 北に融和的だった盧武鉉政権がレームダック化し、国民感情が冷ややかになってきた。武貞さんは北のシナリオを「韓国に対して同族意識に訴えて融和ムードを促進し、韓国が北と戦う戦意を喪失させ、北が南侵した時にトラップワイアになる在韓米軍を撤退に持ち込んだうえで、核弾頭付きの大陸間弾道ミサイルで脅かし、米国の心臓部を人質にして朝鮮半島に対する軍事介入を阻止、一挙に統一に持ってゆく」と見ていますが、それからすると韓国社会の最近の状況はかなり厳しいですね。その見方からシミュレーションすると、次の一手はどうなりますか。
武貞 南北首脳会談でしょうね。
北朝鮮は、韓国社会の北に対する融和ムードを回復させ、かつ、米国の韓国における軍事力を低下させる手段を講じたいと考えているでしょう。そのためには、盧武鉉政権が現状を打開する起死回生の一打を打たせねばならない。そこで、現政権が南北首脳会談を開催することに協力するわけです。韓国の識者からも異口同音に「今年の夏までに盧武鉉大統領と金正日総書記の首脳会談が実現する可能性はかなり高い」と聞いています。
首脳会談で起死回生、時期は夏、平壌で
NBO 首脳会談が開催されると?
武貞 そうすると、朝鮮半島は激動の時代に入ります。北は、「南北の間で連邦制宣言をやりましょう」と言ってくるでしょう。「連邦制国家成立」という宣言では、韓国の国民はとてもついていけないので、南北統一の3段階のうち、第1段階の緩やかな連邦制の状態に入ったと、南北首脳会談で韓国に約束させる。まずはその可能性が高いでしょう。これを意識して保守派は、首脳会談阻止に必死になっています。
NBO 融和ムードが始まったのは2000年6月の南北首脳会談の時からですね。共同宣言では、首脳会談の次の場所はソウルで、となっていたのでは。
武貞 いや、平壌でやることになるでしょう。ソウルで行うには問題が多すぎる。例えば、ソウルで韓国国民のデモが起きては、冷たくなった南北関係を世界にアピールすることになりかねず、不測の事態が起きて戦争、という事態になる可能性もある。北も韓国社会の金正日体制への見方が変化していることを知っている。だから、ソウルで開催することは難しい。
問題は韓国が2回連続で平壌での会談に応じるかどうかですが、これは応じるでしょう。首脳会談は「金正日総書記が大統領選挙の年に盧武鉉政権に対してプレゼントをあげますよ」という展開です。
NBO 連邦制への歩みを宣言するだけでは、韓国側にメリットは薄そうです。
武貞 北が、韓国大統領を平壌に呼んであげる。その時に米国、中国が北に対して約束をさせることができなかったあれこれを北が韓国に提案して、盧武鉉政権の業績にする。これが、招待に応じる盧武鉉側のメリットです。
北は(融和的な)盧武鉉さんの後継者と目される人を次の大統領として当選させることが至上命題です。いいものをあげて、彼の後継者に大統領選挙を優位に戦わせることを考える。その代わりに、韓国からも得られるものは得る。
NBO 例えば。
武貞 米韓同盟を空文化させるような約束を韓国との間で締結することです。
南北間で「朝鮮戦争は終結した。休戦協定は平和協定に変える時がきた。国連軍司令部解体に向けて交渉を開始する」とか、在韓米軍の追加削減を約束させる。今、米韓で問題になっている平澤(ピョンテク)への米軍基地移転の遅れは、実は米韓の間の深刻な問題です。これは3年ぐらい遅れそうだと韓国政府は言及しています。
例えばこれを南北間で「平澤への移転をやめて、米本土に戻してしまおう」と話し合う。もちろん、米韓同盟に関することを南北間で結論は出せないけれど、話しあうことは可能です。そこで「民族の命運に関することは、同じ民族同士で議論する」というムードを作ることはできます。
その後、南北連邦制を宣言してしまうと、「1国家2政府」の時代の始まりだということになり、「1国家の中の南連邦政府に駐留する在韓米軍の法的地位の問題は、北連邦政府の問題でもある」という主張を北は始めるでしょう。北は米韓同盟の行方に関与し始めることは間違いない。
NBO 仮に首脳会談が実現した場合、韓国社会の雰囲気は変化するでしょうか。
太陽政策の再評価を、核放棄宣言で勝ち取る
武貞 「盧武鉉政権は、北と実のある対話ができる政権だった」と韓国有権者は思うでしょう。実とは、核兵器開発問題についてぐっと踏み込んだ、「一見譲歩に見えること」を北がすることです。例えば北から、核放棄に向けてのロードマップ案が出てくるかもしれない。
「国際機関や、米国、中国が、あれだけ努力しても解決できなかったことが、盧武鉉政権であればこそできた」と示すことになる。それも首脳会談の席で解決して、「北の核放棄のための入り口に立つことができた」ということになれば、韓国民の盧武鉉政権に対する評価はガラッと変わる。
NBO ひいては、金大中・盧武鉉の「太陽政策」は、やはり正しかったんだと評価される可能性が出てくる。
武貞 そうそう。北による最大級の「譲歩」はプルトニウム型核兵器の放棄宣言。そこまでいかなくても、韓国の盧武鉉政権の関係者にインスペクション(査察)をさせるとか、それはあり得る。
NBO 首脳会談は今年の夏までと言われましたが、そのタイミングにどのような理由があるんですか。
武貞 12月の韓国大統領選挙の前に会談をしないと、南北にとってメリットはない。韓国の現政権にとって最大の「成果」になるからです。しかし、大統領選挙の時期にあまり近いと、首脳会談の「効果」が表れないまま選挙を迎えることになります。他の理由としては、2000年6月に南北首脳会談がありましたから、6月だとその7周年ということもあります。
NBO もっと早い時期だと?
武貞 街頭で10万人、20万人が旗を振って、涙を浮かべながら韓国の大統領を歓迎する平壌市民、この映像は絶対になきゃいけない。でも寒い時には街頭に出て旗を振れないでしょう。いや、そういうと冗談のように聞こえるかもしれませんが、北朝鮮の街頭で、冬、零下20度のところで旗を振っているところが、メディアに出たことはないと思いますよ。それくらい寒い。
NBO それだとアピールが弱いと。
武貞 ええ。厳寒の平壌はいい絵にはなりません。そして9月以降だとやっぱり選挙までの期間が切迫します。水が凍り付いていない時期で、大統領選挙に影響を与える、とすると4~7月ぐらいになるでしょう。
南北首脳会談をやりたいという動機が韓国の政権にあるということになると、北はそういう「弱み」のある盧武鉉政権から、取れるものを取ろうとするでしょう。米韓関係に致命的なくさびを打ちこむ非常にいいチャンスにはなりますよね。
NBO 首脳会談があり得ると仮定して、そうなると6カ国協議は今後どうなるのか。また、首脳会談で核放棄の動きが出たとして、それは実際に半島の安定化につながるのか、疑問は残ります。続けてお聞きしたいと思います。
(後編に続く)
2007年を斬る:北朝鮮に起死回生策アリ(前編) (ニュースを斬る):NBonline(日経ビジネス オンライン) 北朝鮮から帰国した自民党の山崎拓元副総裁が北朝鮮滞在中に、経済制裁のために日本に輸入されていない北朝鮮産マツタケに舌鼓をうっていたことが15日分かった。山崎氏自身が同日夕の民放ニュース番組で、明らかにした。
山崎氏によると、北朝鮮側は「日朝間(の関係)が最悪のときに勇気を持ってよく来た」と山崎氏を歓待。マツタケ料理を振舞ったうえで、「今は経済制裁で日本へのマツタケの輸出はやっていない。貿易業者らが困っているのではないか」と、北朝鮮からの全品目輸入禁止措置を解除するように暗に求めた、という。
北朝鮮側は日本の経済制裁について「効果はない」としつつも、「許しがたい」と批判。山崎氏は番組で「強弁していたが、実際は効果があると思う」と語った。
また、今年3月に再訪朝するよう北朝鮮から要請があったことを認めながらも、「あくまで政府間協議で決着をつけねばならず、私の出番があるのか疑問だ」と慎重な姿勢を示した。
(2007/01/15 19:27)
山崎氏、“禁輸”の北マツタケに舌鼓 再訪朝要請認める|政局|政治|Sankei WEB1980年にヨーロッパで失跡した拉致被害者・石岡 亨さん(当時22)と松木 薫さん(当時26)について、よど号の田宮高麿(たかまろ)元容疑者が1995年、「2人は生きており、必ず帰国させる」と、関係者に話していたことが新たにわかった。
これは14日、神奈川・横浜市で行われた、よど号メンバーらがかかわった疑いのある拉致の被害者家族が行った初めての集会で、ジャーナリストの高沢皓司(こうじ)さんが明らかにしたもの。
高沢さんによると、1995年に北朝鮮で「よど号事件の田宮高麿元容疑者が、死亡する直前に語った」と明らかにしたもの。
高沢さんは、「(1995年に田宮高麿元容疑者は、)『石岡さんと松木さんに関しては、必ず帰すから、そのように家族に伝えてくれ』っていうふうに明言したんです」と話した。
北朝鮮は2002年9月、日本政府に対し、「石岡さんは1988年、松木さんは1996年に死亡」と説明しており、田宮元容疑者の発言が事 実なら、石岡さんの死亡時期についての説明は、うそだった可能性がある。
FNN Headline
