6カ国協議休 会、送金決着つかず次回未定
【北京=大谷次郎、野口東秀】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は22日、核放棄に関する実質協議に入れず、次回日程も決まらないまま休会した。議長国・中国の武大偉外務次官は同日夕の首席代表会合終了後、記者会見し、北朝鮮が要求したマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)にある資金2500万ドルの移管ができなかったことが休会の原因だとし、「できるだけ早く再開したい」と述べた。
今回の休会で、4月中旬までの北朝鮮・寧辺の核施設稼働停止など「初期段階措置」実施は困難な情勢となった。
武次官は「重要なのはBDA問題が協議前進の障害とはならないことだ」などと、懸念を表明した。イタル・タス通信によると、ロシアのロシュコフ外務次官も「合意が白紙に戻り、やり直すことになる恐れもある」との見通しを示した。
これに対し、ヒル米国務次官補は「初期段階措置の60日以内の実施は可能だ」と強調。核施設の無能力化も年内に実施したいと語った。
また、米国務省のマコーマック報道官も22日、「核施設の無能力化を年内に行うことで参加国が一致している」と述べるとともに、「1~2週間後に再開される」との見通しを示した。さらに、資金移管の技術的問題解決のためグレーザー米財務次官補代理が近く訪中することを明らかにした。
(2007/03/23 01:58)
6カ国協議休会、送金決着つかず次回未定|朝鮮半島|国際|Sankei WEB
金融制裁解除 対北投資のシグナル
米国はマカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結していた北朝鮮関連口座の資金約2500万ドル(約29億3000万円)を全額返還することで同意したが、一連の米朝交渉の陰に隠れてBDA口座の存在を「けむにまいていた」英米系資本がある。
「ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)社」のBDA口座260万ドル(約3億470万円)である。BATは「ケント」「ラッキーストライク」など十数種類の有名ブランドを持ち世界第2位のたばこシェアを誇る。北朝鮮製の偽たばこの逆を張って純正ブランドを普及させようと思ったのか、2001年9月に北朝鮮の金正日労働党総書記が支配する商社との合弁会社「大聖BAT」を平壌に設立し、年間20億本のたばこを現地生産してきた。この合弁については、BATはシンガポール法人の管轄だとして、詳細を明らかにしてこなかった。
05年9月に米財務省がバンコ・デルタの北朝鮮関連口座の封鎖を決めた後、BATの名前が浮上。BATはシンガポールではなくわざわざマカオのバンコ・デルタの口座を利用していたことが発覚した。
北朝鮮系の口座は金正日総書記に直結し、偽札、偽たばこ、麻薬の取引で稼いだ資金が大量破壊兵器の製造や取引に使われていると米政府は疑ってきた。調査の結果、米財務省はBAT口座については「シロ」だと判定したが、特別扱いするには背景があまりにも黒々としていた。
合弁先の国家直営の北朝鮮企業は「西京貿易」と呼ばれもともとカーペットの輸出商社だという。日本の経済産業省が米国や欧州からの情報を参考にしている大量破壊兵器関連取引要注意企業の一覧にはこの商社名は出てこない。ところが、合弁会社の名称には「大聖」の名を使っている。「大聖」とは金正日総書記直属の企業集団(首領経済)の元締め機関である労働党「39号室」の中核企業集団名である。大聖銀行、大聖貿易はいずれも北朝鮮最大級の銀行と商社である。西京貿易は名目で、実質的には首領企業の大聖グループとの合弁と解釈しておかしくない。大聖グループは、経産省の要注意北朝鮮企業の一角を占めている。
対北朝鮮の金融制裁を発案したチェイニー副大統領やボルトン前国連大使らブッシュ政権内の強硬派は金正日総書記による首領経済体制が核開発を含む無法の元凶と判断していたからこそ、BAT口座も凍結対象に加えた。
ここへきて米国は一転し、北朝鮮・寧辺の核施設の稼働停止・封印という「初期段階措置」だけで全面的に金融制裁を解除した。
ブッシュ政権の軟化は2月中旬の北京での6カ国協議合意ではっきりしていた。喜んだのは金正日総書記ばかりではない。北朝鮮の支援に躍起となっている韓国の盧武鉉政権である。3月中旬にはソウル駐在の欧州と米国の金融機関や企業に呼びかけ、38度線にほど近く、韓国の主導で開発中の開城工業団地のツアーを組織し、投資を呼びかけた。
18日付のフィナンシャル・タイムズ紙によれば、対北投資にはまだ多くの欧米系外資が慎重なものの、英国系の投資ファンドが北向けの「朝鮮ファンド」の資金募集に踏み切る予定だし、ドイツ系の万博主催会社がシーメンスなど欧州系大手企業を誘って「平壌国際技術インフラ博覧会」を計画しているという。
金融制裁解除は単に核問題での北朝鮮の駆け引きを有利に導いたばかりではない。大聖BATという、首領系と英米資本の合弁を最終的に不問に付したことで、政治的なリスクを緩和し、対北朝鮮投資の規制解除のシグナルになった。日本は欧米にもっと強く北の拉致など人権違反を訴え再考を促すべきだろう。(編集委員 田村秀男)
(2007/03/21 08:10)
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中国外務次官、北朝鮮資金問題で韓国の協力求める
【北京23日聯合】北朝鮮の核問題について話し合う6カ国協議で中国側首席代表を務める武大偉外務次官は22日、バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮資金の送金が遅れている問題と関連し、解決策として北朝鮮に進出している韓国系銀行の協力を受ける案を韓国政府に提案したことを明らかにした。
宿泊先のホテルで会見した武次官は、BDAの資金を中国銀行を通じて第三国に送金する問題について、「外国為替を取り扱う韓国の銀行が北朝鮮に進出している。韓国にこの問題を考慮できないか打診したが、韓国側はとても慎重だった」と述べた。
中国は現在、中国銀行が不法行為に関連した疑惑のある北朝鮮資金の受け入れを拒否していることから、中国銀行を経由して第三国の銀行に再送金し、北朝鮮がこれを受け取れるようにする方向で方法を模索している。ただ、中国の当局者は「そうした提案をしたことはない」と話している。
一方、これと関連して統一部関係者は「北朝鮮に外換銀行はなく、金剛山に農協、開城工業団地にウリィ銀行がそれぞれ営業中だが、どちらにも北朝鮮の口座は開設されていない」と話しており、北朝鮮の口座を開設してBDAの資金を送金するのは現実的ではないとの見方を示している。
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