北朝鮮独り舞台 『強硬』崩さず主導権
【北京=城内康伸】北朝鮮核問題をめぐる第六回六カ国協議で、北朝鮮の首席代表を務める金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官は強硬一辺倒の姿勢を崩さず、関係国を翻弄(ほんろう)した。休会が決まった二十二日には、首席代表会合の開催を待たずに、さっさと帰国。成果を挙げたい米国や中国の足元を見透かし、協議の主導権を握っているとの自信を印象づけた。
各国が北京市内の釣魚台迎賓館で事態の推移を見守り、議長国の中国が今協議の継続可否を検討していた同日午後、金次官は空路、帰国の途に就いた。北京空港で報道機関の一部に対して、「やることがないから帰国する」とひと言。余裕の表情を見せていたという。
北朝鮮は、米国の制裁で凍結された資金二千五百万ドルの全額返還を確認すれば、寧辺の核施設停止など「初期段階の措置」に応じると表明。米国は六カ国協議が始まった十九日朝、凍結資金を中国銀行に送金する形で返還する決定を発表した。
このため、送金が確認できない現状で、各国は北朝鮮の主張を突き崩す有効な手だてを持たなかった。
念願の全額返還はすでに手続きに入り早晩、実現するのは確実とみられる。半面、北朝鮮が履行義務を負う初期段階措置は、具体化に向けた議論を先送り。四月中旬までの同措置の履行はずれ込む可能性が強まる。今回の協議は「北朝鮮のひとり勝ち」(協議筋)の感が否めない。
米首席代表のヒル国務次官補は二十二日夜、記者団に「初期段階措置の期限内履行は可能だ」と語った。しかし、タス通信によると、ロシア首席代表のロシュコフ外務次官は、協議の休会で六十日という期限内の履行は事実上、困難になるとの見方を示している。
拉致問題の啓発DVD作製 被害者家族の活動紹介
政府の拉致問題対策本部は23日、拉致問題の解決に向けた政府や被害者家族の取り組みなどを紹介するDVDを作製した。拉致問題への理解を国内外で深め、世論喚起に役立てるのが狙い。各省庁のほか地方自治体、海外の日本大使館に配布し、積極的な利用を呼び掛ける。
DVDでは、北朝鮮に詳しい静岡県立大学の伊豆見元教授の解説などを交えながら、拉致問題の歴史的背景を分かりやすく解説したほか、北朝鮮の工作船などの資料映像やCG画像で拉致の手口を再現。横田滋さんら被害者家族の活動も紹介している。
北朝鮮が平成16年11月、横田めぐみさんのものとして提出した「遺骨」が、日本のDNA鑑定で「別人」と判明した経緯などにも触れ、拉致問題が未解決であることを強調する内容。長さは約20分で、日本語のほか英、中、韓、仏など計9カ国語で収録。約8分の要約版は政府のインターネットテレビでも視聴できる。
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ヒル次官補 中国の役割に期待
北朝鮮が凍結された資金の返還にこだわり、北京で開かれていた6か国協議が休会したことについて、アメリカ代表のヒル国務次官補は「資金返還の問題を解決し、本来の協議を再開させることは可能だという感触を得ている」と述べ、中国が事態の打開に果たす役割に期待を示しました。
6か国協議を終えて北京から帰国の途についたヒル次官補は、23日午後、経由地の成田空港で記者団の取材に応じました。この中で、ヒル次官補は、6か国協議が実質的な議論が行われないまま休会したことについて「北朝鮮が凍結されていた資金の返還が実現するまではほかの協議はできないという立場を明確にしたからだ」とあらためて指摘したうえで「北朝鮮への資金返還は当初考えられていたよりも複雑な作業で、北朝鮮の通常の送金手続きを行う能力が限られていることが事態を難しくしている」と分析しました。そのうえで、ヒル次官補は「わたしは、資金返還の問題が解決され、本来の協議を再開させることは可能だという感触を得ている。今後、数日の間に中国がこの問題を解決することを望んでいる」と述べ、資金の返還に中国が果たす役割に期待を示しました。そして「1週間から2週間以内に6か国協議が再開され、本来の目的である核の放棄に向けた合意の実施の議論に戻ることを期待している」と述べるとともに、来月中旬の期限までに核関連施設の稼働停止や封印などの合意を実施することは可能だという認識を示しました。
NHKニュース