From:ななころ
プライベートオフィスより
◆あらすじ
コロナ関連融資・助成金の活用方法について連載でお伝えしています。
まず第一話と第二話では、コロナ関連の助成金&補助金についてお伝えしました。
私たち不動産投資家が活用できそうなものとして、「持続化給付金」「持続化補助金」「休業協力金」などをご紹介しました。
そして、前回の第三話では、コロナ関連融資についての活用方法についてお伝えしました。
「1.今の状況を耐え忍ぶため」「2.今後の最悪な事態に備えるため」といった目的のケースで活用できる公庫の融資制度をご紹介しました。
一方で、現時点では収支が悪化しておらず、今後にもそこまで不安が無いという不動産投資家はどのように活用したら良いでしょうか?
本日はそれ以外の活用法についてお伝えしていきたいと思います。
・不動産投資家のためのコロナ関連融資、助成金の戦略的な活用方法(1)
・不動産投資家のためのコロナ関連融資、助成金の戦略的な活用方法(2)
・不動産投資家のためのコロナ関連融資、助成金の戦略的な活用方法(3)
◆銀行の不動産融資の基本をおさらい
コロナ関連融資の3つ目の活用法は、「3.今後の銀行開拓のため」です。
これから新規で収益物件を購入する際の融資先を開拓するために、このコロナ関連融資を活用するのです。
(コロナ関連融資を新規物件購入に利用するのではありません。)
この話をする前に、銀行融資について簡単に基本をおさらいをしておきたいと思います。
最初に基本を理解しておかないと、間違った活用をしてしまう可能性もあるからです。
(このブログをお読みの方はご存知の方も多いと思うので、詳しい方は以下はすっ飛ばしてしまってください。)
一般的に不動産への銀行融資というと、大きく分けて2つに分かれます。
1.消費性融資(属性融資)
2.事業性融資(プロパー)
「消費性融資(属性融資)」は、スルガ銀行、オリックス銀行といった銀行が有名ですね。
「サラリーマン年収の◯倍まで」といった制限が言われていたり、収益物件そのものの評価よりも、サラリーマン属性を重視した融資です。
あなたの退職金も含めた生涯給与を担保にして融資をしているのです。
(一般的に、総融資額2億を超えると、途端に融資を受けるのが難しくなるのはこのためです)
なお、不動産業者がよく「融資が厳しくなっていて・・・」というのは、この「消費性融資(属性融資)」を指していることが多いです。
「消費性融資(属性融資)」は、審査も比較的緩く結果も早かったので、不動産業者にとっても使い勝手が良かったのですね。
なにせ物件評価よりも属性評価が重視されるのですから、はめ込みの道具として使われていました。
不正もしやすく、高値掴みさせることができますから・・・。
◆「2.事業性融資(プロパー)」とは?
一方、「2.事業性融資(プロパー)」は、借り手の事業を評価して融資を出します。
これから購入する物件の評価はもちろん、すでに物件持っているならば現在の収支状況、資産状況、決算状況などなど、その事業全体を評価します。
ですから、不動産賃貸事業に成功すればするほど、どんどん融資を受けやすくなっていきます。
融資額も「年収の◯倍」といった制限はなくなります。
年収の低いサラリーマンであっても、たとえサラリーマンをやめたとしても、融資を受け続けることができるようになります。
むしろサラリーマンをやめて、不動産賃貸業を本業として生計を立ててつつ潤っている人ほど融資を受けやすくなると言ってもいいです。
◆「事業性融資(プロパー)」のデメリット
しかし、「事業性融資(プロパー)」には、私たち不動産投資家にとって大きなデメリットがあります。
銀行が信用してくれて、新規物件購入のためにプロパー融資を出してくれるようになるまでは、手順を踏まないといけず、そこそこ時間がかかるということです。
銀行は貸倒れリスクを一番嫌います。
不動産賃貸業をこれまで経験したことの無いサラリーマンに、いきなり多額の融資をすることなどまず無いのです。
ましてや一見さんが「融資してください」といっても、融資してくれるはずがないのです。
あなただって、いきなり知らない人から
「この事業は間違いないから、絶対に儲かるから、お金貸してくれ」
と言われても、まず貸さないのと同じですね。
やっぱり銀行に信用してもらうためには、正しい手順とある程度の時間が必要なのです。
◆なるべく短期間で銀行に信用してもらい、「事業性融資(プロパー)」を引き出すには?
それでは、銀行に信用してもらうにはどうしたらいいでしょうか?
これからあなたが購入する予定の物件に「事業性融資(プロパー)」を引き出すには、どうしたらいいのでしょうか?
銀行から「事業性融資(プロパー)」を引き出すまでの、一般的な手順としては、次のような手順が必要となります。
<事業性融資(プロパー)を引き出すまでの手順>
ステップ1.預金取引
ステップ2.少額の融資取引
ステップ3.設備資金等の融資取引
ステップ4.事業性融資(プロパー)
でも、なるべく早く「ステップ4.事業性融資(プロパー)」までいきたいですよね!?
せめて「ステップ1.預金取引」はすっ飛ばしたい。
そこで、今回の「3.今後の銀行開拓のため」に「コロナ関連融資」を活用していくという方法があります。
それでは、具体的にはどのように活用していったらいいでしょうか?
(次回につづく)
◆編集後記
ななころも今まさに「3.今後の銀行開拓のため」に、コロナ関連融資に取り組んでいるところです。
銀行員さんって本当に難しい仕事だなと思うのが、「お金を貸してこい」と上司から命令されつつ、「怪しいところには貸すな」と禁じられているところです。
アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感じですね。
また、借り手の「過去」や「現在」からしか融資審査できないところです。
不動産投資や不動産事業は「未来」に対して投資を行うにも関わらず。。。
これまでのように日本経済が右肩上がりに上がっていくような時代でしたら銀行も融資しやすいのでしょうが、これからは右肩下がりになりますから一層難しいのでしょう。
大きなジレンマを抱えているのです。
ですから、先日全国76行の地銀の決算が出揃ったようですが、そのうち53の銀行で「減益」、3の銀行は「赤字」という状況も致し方無いのかなと思います。
今後はもっともっと悪化していくことでしょう。
「銀行の融資が出ない」と頭を悩ませている人も多いですが、銀行の事情を理解していくと、銀行開拓への活路が見えてくるのではないかと感じている次第です。