本との気持ち32
「Death March デスマーチ」
エドワード・ヨードン/著、松原友夫・山浦恒央/訳
仕事でプロジェクトが予定通りに進まないという経験をした人は多いのではないだろうか。そんな異常が発生して機能不全に陥ったにもかかわらず、プロジェクトが進行し続けてしまうことがままある。この「デスマーチ」と言われる危機的状況の原因と、その解決へのヒントを解き明かしたのがこの本だ。
では、どうしてデスマーチが起きてしまうのか、そしてどう克服したらよいのか。
本書では、デスマーチは正常な状態を50パーセント以上超過することで引き起こされると書かれている。それは仕事量を倍以上に求められたり、スケジュールを短縮されたり、人員や予算が半分以下にされたりといったことが原因で「失敗プロジェクト・デスマーチ」が発生すると解説している。
では、どうすればデスマーチを克服できるのだろうか。いくつかの方策が述べられ、中でも「トリアージ」という手法が特徴的だ。トリアージとは、グループ分けをして優先順位で解決してゆくことをいう。
困ったデスマーチ・プロジェクトでは過酷な要求がなされることが多く、乏しい人材や時間で、最大の効果を引き出さなくてはならない。だから「ものごとの重要度を確かめること」や「時間をうまく管理すること」が必要になる。つまり重要度と緊急性が高いものから優先順位をつけていくことで、「やらねばならない」ことを確実にやることが必要になる。トリアージ戦略は「やらねばならないこと」を判断する際にこそ重要な手法として求められる。仕事で困ったら、ぜひ読んでみては。リスク・マネジメントの必読の書とも言える一冊だ。
デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか/エドワード・ヨードン

¥2,310
Amazon.co.jp
エドワード・ヨードン/著、松原友夫・山浦恒央/訳
仕事でプロジェクトが予定通りに進まないという経験をした人は多いのではないだろうか。そんな異常が発生して機能不全に陥ったにもかかわらず、プロジェクトが進行し続けてしまうことがままある。この「デスマーチ」と言われる危機的状況の原因と、その解決へのヒントを解き明かしたのがこの本だ。
では、どうしてデスマーチが起きてしまうのか、そしてどう克服したらよいのか。
本書では、デスマーチは正常な状態を50パーセント以上超過することで引き起こされると書かれている。それは仕事量を倍以上に求められたり、スケジュールを短縮されたり、人員や予算が半分以下にされたりといったことが原因で「失敗プロジェクト・デスマーチ」が発生すると解説している。
では、どうすればデスマーチを克服できるのだろうか。いくつかの方策が述べられ、中でも「トリアージ」という手法が特徴的だ。トリアージとは、グループ分けをして優先順位で解決してゆくことをいう。
困ったデスマーチ・プロジェクトでは過酷な要求がなされることが多く、乏しい人材や時間で、最大の効果を引き出さなくてはならない。だから「ものごとの重要度を確かめること」や「時間をうまく管理すること」が必要になる。つまり重要度と緊急性が高いものから優先順位をつけていくことで、「やらねばならない」ことを確実にやることが必要になる。トリアージ戦略は「やらねばならないこと」を判断する際にこそ重要な手法として求められる。仕事で困ったら、ぜひ読んでみては。リスク・マネジメントの必読の書とも言える一冊だ。
デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか/エドワード・ヨードン

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人生に迷ったなら
今、僕は柄にもなく、自然科学の本に夢中だ。
「魂の測り方」「ニュートンの海」「科学哲学の冒険」。
世界の摂理と平和の探求という大それた目的があるわけだけれど、
まるで福音書のように、
分からなくても唱えるように黙読していると、
世界のための、地球のための、人類のための
良いヒントがのぞいてきそうなんだ。
きっかけは、何と「ゴッホの手紙」からだった。
それは僕の場合、
人生に迷った時に立ち返って読む一冊になっている。
「魂の測り方」「ニュートンの海」「科学哲学の冒険」。
世界の摂理と平和の探求という大それた目的があるわけだけれど、
まるで福音書のように、
分からなくても唱えるように黙読していると、
世界のための、地球のための、人類のための
良いヒントがのぞいてきそうなんだ。
きっかけは、何と「ゴッホの手紙」からだった。
それは僕の場合、
人生に迷った時に立ち返って読む一冊になっている。
1980年、パリ三景
サンジェルマン・デ・プレのメトロODEONのホームに着くと、車内で音楽の鳴らす音がし始めた。ギターの弾き語りをするアフロヘアーの黒人青年たち。私はそこで降りる予定をやめて、しばらくそのメトロに揺られながら彼らの音楽を耳にして過ごした。
車内は、その音楽家たちも含めて若者ばかりだった。ギターの仲間が毛糸の帽子を持って物乞いに車内をめぐっている。そして乗客たちが一斉にカンパに応えはじめ、ときおり歓声と拍手が車内を湧かしていた。
その青年たちに混じって数人のジプシー少年たちも物乞いをしている。その一人が私に近づいてきて、私もカンパしろと腕を小突いた。もちろん少年は自分にもカンパしろというわけだ。私は1フランの銀貨を彼の小さな手のひらにのせてやった。
私はパリへ来てとてもいい気持ちになれた。メトロ4号は終着駅PORTE D' ORLEANSまで走り、音楽も走り続けた。ギターの黒人青年と少年らはまたメトロを引き返し、ちょっとしたメトロ音楽館の感じで一日中続けているというのだった。
気だるそうでいて、なんとなくご機嫌なリズム。メトロを出て、私は街通りに日本で乗っている私と同じ車を見つけて、孤独でいてもひどく気をよくしている自分がいることに気づいた。
日曜日、天と地を結ぶ塔の鐘が鳴ると礼拝が終わり、人々が教会の正面から出て来る。その一人一人を司祭が迎え、二言三言交わし手のひらをかざして別れ、人々が階段を降りて来る。階段の下では、先に降りた人々が仲間の降りて来るまで司祭様を仰ぎ見るように見上げて待っている。
やがて司祭が通りの方を向いて両手を広げ、ゆるく頭を垂れると振り返り教会の中へと消えていった。信者の人々はささやかな祈りにもかき抱くような小さな十字を切り、静かに散会して行った。
日曜日の昼近い時間、教会の一コマ。そこを振り返るとメトロの入り口EGLISE D'AUTEUILがあり、私はようやく秋風から救われた。
セーヌ川の西の大きな森の茂みのブローニュに近いマルモッタン美術館。あの印象派の名のもとになったモネの「印象・日の出」のあることでも有名。19世紀邸宅は思ったよりもこじんまりとしていた。
煙るような午後の木漏れ日の森に吸い込まれるように気ままな歩みを運んでいると、並木の木立の向こうにジプシーだろうか、地元の商人だろうか、ロバを引き連れた年老いた夫婦の歩みがパラパラと流れるフイルムの古い映画を見るような光景に見えた。また別の方を眺めると、まだ錬れないローラースケートをはいた少女が一生懸命にバランスをとりながら走り抜けて行った。森には世界で一番ゆるやかな時を刻む時計がひそんでいるのかもしれない。
(1980年秋のパリ旅行のメモをみつけて)
車内は、その音楽家たちも含めて若者ばかりだった。ギターの仲間が毛糸の帽子を持って物乞いに車内をめぐっている。そして乗客たちが一斉にカンパに応えはじめ、ときおり歓声と拍手が車内を湧かしていた。
その青年たちに混じって数人のジプシー少年たちも物乞いをしている。その一人が私に近づいてきて、私もカンパしろと腕を小突いた。もちろん少年は自分にもカンパしろというわけだ。私は1フランの銀貨を彼の小さな手のひらにのせてやった。
私はパリへ来てとてもいい気持ちになれた。メトロ4号は終着駅PORTE D' ORLEANSまで走り、音楽も走り続けた。ギターの黒人青年と少年らはまたメトロを引き返し、ちょっとしたメトロ音楽館の感じで一日中続けているというのだった。
気だるそうでいて、なんとなくご機嫌なリズム。メトロを出て、私は街通りに日本で乗っている私と同じ車を見つけて、孤独でいてもひどく気をよくしている自分がいることに気づいた。
日曜日、天と地を結ぶ塔の鐘が鳴ると礼拝が終わり、人々が教会の正面から出て来る。その一人一人を司祭が迎え、二言三言交わし手のひらをかざして別れ、人々が階段を降りて来る。階段の下では、先に降りた人々が仲間の降りて来るまで司祭様を仰ぎ見るように見上げて待っている。
やがて司祭が通りの方を向いて両手を広げ、ゆるく頭を垂れると振り返り教会の中へと消えていった。信者の人々はささやかな祈りにもかき抱くような小さな十字を切り、静かに散会して行った。
日曜日の昼近い時間、教会の一コマ。そこを振り返るとメトロの入り口EGLISE D'AUTEUILがあり、私はようやく秋風から救われた。
セーヌ川の西の大きな森の茂みのブローニュに近いマルモッタン美術館。あの印象派の名のもとになったモネの「印象・日の出」のあることでも有名。19世紀邸宅は思ったよりもこじんまりとしていた。
煙るような午後の木漏れ日の森に吸い込まれるように気ままな歩みを運んでいると、並木の木立の向こうにジプシーだろうか、地元の商人だろうか、ロバを引き連れた年老いた夫婦の歩みがパラパラと流れるフイルムの古い映画を見るような光景に見えた。また別の方を眺めると、まだ錬れないローラースケートをはいた少女が一生懸命にバランスをとりながら走り抜けて行った。森には世界で一番ゆるやかな時を刻む時計がひそんでいるのかもしれない。
(1980年秋のパリ旅行のメモをみつけて)