コラムなタイム -41ページ目

本との気持ち38

「ビジョナリービジネス」マーク・アレン 著/和仁達也 訳
(総合法令出版、1680円)  

 この本には夢を実現してゆく仕掛けがたくさん仕組まれている。会社を起こして成功したい人に贈る一冊といえる。

 テーマは「成功するには法則がある」ということで、その最大の成功法則は「明確なビジョンを描くこと」。「夢の扉を開く12のカギ」が12章にわたって成功への実際の体験を物語仕立てに語られている。そのあらすじは、会社を始めたばかりの3人の若者達。その彼らのオフィスにバーニーという老人の投資家が現れ、若者達の会社を成功へと導くというストーリーだ。

 若者の会社経営に対し、バーニーさんは「プランを作りなさい」「共同経営はうまくいかない」「責任者は一人にしなさい」とアドバイスする。彼らのビジネスプランに、さらに「明快な具体性のあるプランができれば、成功したいという願望は意志に変わる。その成功への意志を持つと、どんな障害も90%は解決でき残りの10%の障害は同時に克服する方法を手にする力になる。“すべての逆境はそれと同等かそれ以上のチャンスを秘めている”」と諭す。

 やがて若者のプランが煮詰まってくると、バーニーさんは「ビジネスとはお金を稼ぐ以上の高い目的を持つことが必要。高い目的の背後にはあらゆる力が働き、ゴールに到達するのをサポートしてくれる」と、若者達が固い意志を持つことを要求して来た。
 このように、バーニーさんの経営指南では、会社はどうすれば素早く利益を生み出すようになるのか、また利益を増やしながら着実に成長していけるのかをいつも意識して明快にイメージできなくてはいけない。
 また、「会社の成長は人生と同じ。だから人生において会社が一番。常に自分の利益よりも会社の利益を最優先に考えることが大事だ」と、付け加える。

 最後に、「明瞭なゴールをフォーカスし続けなさい」と情熱を現実化することを語る。それは、まさにビジョナリービジネスを創り出す源と言えた。

 この本には「成功法則の12のカギ」のほか、復習できるようにクィックレッスンとして章ごとにまとめが箇条書きされている。会社を起こそうとしている人、または会社を起こしたが悩みを抱えている人、そんな会社のことを考えるすべての人に読んでほしい。

ビジョナリービジネス 明確なビジョンを描けばビジネスは必ず成功する/マーク・アレン

¥1,680
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本との気持ち37

「税理士さんがやさしく書いた小さな会社の経理の仕事」
冨永英里 著(かんき出版・1470円)

 会社とは働いて利益を得るところ。そこで初めて経理の仕事をする人に「経理とは何をするのか、とりあえずこれだけは知っておこう」というポイントを分かりやすく教えてくれるのが、この本である。

 さて、経理の仕事には、毎日行うこと、毎月行うこと、それに年に一度行うことの3つがあると書かれている。それぞれ重要な点をつかんでおこう。

 まず毎日行う現金の出し入れで間違えないためには、お金を出す際に領収書や精算書の数字と、支払う金額をしっかり見て確認すること。
 次に、毎月行うことには月次決算があるので、その時一緒に月々の資金繰り表も作っておけば、資金不足が事前にわかり早めの対策を講じることができる。また仕入や外注などの取引先への支払いには、掛値や期日などの支払条件をしっかりつかんでおく必要がある。

 しかし出ていくお金の処理ばかりではない。入ってくるお金がなければ会社はやっていけないので、特に請求書の発行や入金の確認は重要だ。たとえ少ない金額でも会社の資金繰りに支障をきたさないようにしておきたい。

 3つめの年に一度行うことには、決算書を作成するという大事な仕事がある。代表的なものは賃貸借対照表と損益計算書だが、それで経理の仕事が終わるわけではない。取締役会で検討してもらい、株主総会で承認してもらわなければならない。さらに法人税などの税務申告書も作る必要がある。

 ところが、そうした一年の仕事が終わっても、その時会社は次の事業年度に入ってしまっている。だから、新しい事業年度以降の予算や利益計画を立ておこう。数年後の将来を予想でき会社経営にも役立つはずだ。

 この本は、「経理の仕事の流れとポイントが3日でつかめる」とうたっているように、2色刷りのフローチャートや、実際に使う伝票などでわかりやすく実務的に解説している。経済の新情報などのコラムも充実していて、「こんな経理の実務書がほしかった」という声には喜ばれる一冊だろう。

小さな会社の経理の仕事 税理士さんがやさしく書いた/冨永 英里

¥1,470
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本との気持ち36

「方言は気持ちを伝える」 真田信治 著
(岩波ジュニア新書・819円)

 方言は意外と気持ちを真っ直ぐ伝えてくれる、そんな方言のパワーを教えてくれる一冊。

 最近では若者達の間で円滑なコミュニケーションのカッコイイ手段として使われ始めている。地元の方言を織り交ぜ、方言の音の語感や響きを楽しみながらメールをしたり会話をしたりしているのだ。
 方言でメールや会話を楽しんでいると、そこから新しい言葉の新語が生まれたりもする。だから、若者は「新語をつくる達人」と言えるだろう。

 例えば、若者達がよく使う「うざい」とか「うぜぇ」。これは東京郊外の多摩地区周辺の年配の人達がよく使っていた「うざったい」からきたもので、若者達が自分達の会話の中に取り込んで変化させたもの。また「まったり」という表現も、もともと大阪方面で食べ物のまろやかでコクのある味わいを表したものという。
 「うざい」や「まったり」といった若者言葉も、実は方言から生まれたものだったとは、驚きだ。

 今や、若者達はその標準語に方言を加えてアレンジすることで様々な場面に合わせていろいろなニュアンスを込めたバラエティー豊かな表現ができると気がつき始めた。この「多様化の時代」、方言もまたその多様性の象徴の一つで、方言のもつ豊かな表現力は「癒しの時代」にもぴったりで、つまり方言は人の気持ちを伝える素晴らしい言語表現の手段になっているというわけである。

 方言をメールに使うのも親しい友達に直接話すような気持ちで書いているからである。著者はそうした表現方法を「ネオ言文一致体」と呼んでいる。
 また、方言を使うと良い点は、連想や飛躍のパワーがあって文字で書かれた文章にリズムが生まれることだ。方言にはそんな気持ちを伝えるフィルターがあるというのだ。

 著者は「あとがき」の最後に「方言は永遠に不滅なのです」と結んでいる。方言の不思議な魅力を現代の若者を通じてとらえ、さらに標準語に負けない方言の未来の可能性をも探っている。研究者魂の誇りと勇気に満ちた一冊と言えるだろう。
 
 では最後に、私の今住んでいるご当地・山形弁で締めのご挨拶を。
「ズーズー弁だば、おめぇの気もづば、まっすぐ伝えてけれっからよ、まんず読んでみてけらっしゃえ」

方言は気持ちを伝える (岩波ジュニア新書)/真田 真治

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