音譜桜2009年11月。


引っ越しの都合で週末だけ宿なしになってしまった友達につきあい、通勤圏内の安ホテルを探していたときパソコン


大都市東京ビルですから、ビジネスホテルなら掃いて捨てるほどありますが…

「どうせなら温泉入りたくなーいはてなマーク

ということで、都心の温泉を探す温泉

予算は最小限にしたいから、スパ付高級ホテルホテルとかはナシNG


それで見つけたのが「旅館 観月 (りょかん かんげつ)」。

天然温泉ではないみたいだけど、大浴場露天風呂が男女それぞれにあって、大満足~恋の矢



五反田と蒲田を結ぶほのぼの路線電車東急池上線の「千鳥町」という駅から徒歩2分ぶーぶー(ちかっ音譜

千鳥町の駅まわりは、ごくふつーの商店街&住宅街で、まさかこんなところに旅館があるとは思いもしなかったよ目

都心というわけではないけどアクセスは十分よいし、気軽に温泉宿気分を味わえるのは魅力的ラブラブ

味気ないビジネスホテルに泊まるより格段に楽しい週末になりましたラブラブ!



結構歴史ある宿のようで、建て増して建て増して今がある、という感じ。

泊まったのはアネックスと名前のついた新館。

モダン和室とでも言うんでしょうか、きれいな畳の部屋に明るい木材の作りつけハンガーラックワンピースと、テレビや冷蔵庫がコンパクトに収納された鏡付ローテーブル合格

柱には桜材桜が使われていておしゃれ~ラブラブ

座イスもあるし、使い勝手よしグッド!


朝7時から夜中0時まで開いてる露天&大浴場を満喫した私たちは使わなかったけど、部屋に清潔なユニットバスもついているから、いざってときは便利ですね音譜



宿泊客はさまざまだったけど、印象的だったのは外人の旅行客が多いこと飛行機

施設案内も丁寧に日英両方で作られていて、お風呂にも“正しい共同浴場の楽しみ方”が張り紙されてるニコニコ

ニッポンの温泉文化は世界でも興味深いものらしく、最近のTOKYOガイドブックではもっぱらHAKONEが取り上げられてるけど、「わざわざ箱根まで行くのはちょっとしんどいガーン」って人にはちょうどいいのかもね得意げ

まぁ箱根好きのわたしとしては、せっかくニッポンを感じたいと思ってくれる外人さんには、ぜひあの湯煙を楽しんでほしいけどドキドキ



周辺のご飯どころは、宿の案内にも載っていたラーメン屋さん「みしま」がオススメビックリマーク

さっぱりした鶏スープの正統派中華そばって感じラーメンおいしかったよ合格


2006年4月3日

7:30am、ケータイのアラームで起床携帯今日も天気よし。

スーツケースをパンパンにし、手荷物はできる限り軽くした。9時過ぎには宿を出て、9:20には旅客で混み合う駅のイスに座っていた。列車は10:05なのに。

気ばかりが逸る走る人

見知った街を懐かしみながら歩くのでもなく、気の置けない友人とぶらぶらするのでもない、知らない街を一人で巡る旅の始まり。すこし緊張しているのかもしれなかった。

今日の目的地はイタリア北部の都市、ジェノバ。そこから海岸線に沿って少しずつ南下し、ローマを目指す。


9:40にホームへ上がると、すでに列車が待機していた。

早速乗り込むと、6人がけのコンパートメント式列車。私はこの狭くて半端な個室がキライだ・・・

これから約3時間、他人と正面から顔を合わせたまま後ろ向きに運ばれるのかと思うと気が重い・・・ガーン

窓際にイギリス人らしき夫婦、おばちゃんがずっと肺の底から響くようなイヤな咳をしている・・・。

右側にはメキシコ人の母子。私の隣に座った妹らしき女の子がずーっとしゃべっている。

左に英語、右にスペイン語(スペインのスペイン語とは微妙に違うのだけれど。)・・・頭がおかしくなりそうシラー


10分ほど遅れて発車した列車は、15分ほどでモナコに到着。イギリス人夫婦がうきうきと降りて行った。

ひとりあたりの酸素量が少し増えて気を取り直し、窓際の席にずれて窓外をみやる。ひたすら山肌が続く。

その後、バジルの鉢植えを持った若いカップルが乗り込んできた。狭いコンパートメントの内部に、青いハーブの香りが立ち込める。奇妙だ・・・かお


スペインのpunctualityはどこへやら・・・ジェノバ・プリンチペ駅に着くと、予定よりも25分も遅れていた。

フランスといいイタリアといい、どうもやはりスペインとは別の文化があるらしい、といきなり興味津々。

おもしろい旅になりそうだにひひ


4月2日、午前中はニース近郊の港町Antibes(アンティーブ)へ。

のどかな港にはヨットや立派なプライベート船舶船がズラリ。お金持ちな感じ得意げ

アンティーブの見所は港の先にそびえる城砦Fort Carrer。”四角い城”という意味だそうで、ひし形が4個くっついたような幾何学的な形状の砦だ。城までの道は海岸に沿ってちょっとした散歩・ランニングコースになっている。これまた避暑地ムード満点黄色い花


城の内部はガイド付でのみ入場可。わたしたち以外にはイギリスからの観光客が一組だけ。

城やアンティーブの歴史などの説明を受けながら、ゆっくりと場内を巡る。

サボイとフランスに挟まれたアンティーブは両国にとって攻防の要となる重要拠点だったらしい。取ったり取られたり、今のおだやかな空気からは想像できない血なまぐさい時代があったんだいて座


ちょっぴり歴史ロマンな気分を味わって、13時過ぎにはニースへ戻ってきた地下鉄

駅から南下し、旧市街でランチナイフとフォーク青空の下、街は昨日とは見違える明るさだ晴れ人も多く思えるし、オシャレだ。

オープンテラスの賑やかなレストランを選らんで席に着く。

サスケはローストビーフがメインの日替りランチ、私は『ニースへ行ったら絶対食べよう』と思っていたニース風サラダ。

たっぷりのレタス類とアンチョビ、ツナ、オリーブ、ゆで卵、トマト、ラタトゥイユの乗った山盛りサラダだラブラブ!大満足音譜

飲み物に頼んだ私のグラス白ワインが1.9ユーロべーっだ!、サスケの500mlボトルVittelが4ユーロ(えっ)なのにはフランスらしさを感じた。


ニース風サラダ


午後の観光は美術館。北東シミエ地区を目指してバスに乗るバス

丘をのぼるバスを見つけてマティス美術館へ。今日は第一日曜日だったので、なんと入館料無料ビックリマークラッキーにひひ

マティスの門構えはとても立派。作品群はまぁまぁといったところで、「ダンス」の習作などは興味深く見た。

近くにシャガール美術館もあるので足を伸ばす。

こちらはとてもよかったラブラブ

完成度の高い大型の作品ばかり、とてもきれいに展示されていて、見ごたえ十分。

近く遠く、何度でも見たくなってしまう幻想的な作品がたくさんあった。来てよかったニコニコ



歩いて丘を下り、19時に宿に戻った。

サスケは今日21時出発の列車でバルセロナへ帰る。またあの薄暗いセルベレで、ひとりで3時間も乗り継ぎ待ちをするのかと思うとなんだかかわいそうになる。気をつけて帰るんだよぅ目


そして明日からいよいよ、私の一人旅が始まる。


4月1日、8:37am Nice-Ville着。

飾り気のない駅を出て、まずは2泊する予定の宿へ向かう。

”Chambres Chez l'Habitant Chez Brigitte”というその宿は、2年前のスペイン留学時代に知り合った友人が紹介してくれた。

ブリジットさんという女の人がひとりでやっていて、駅からすぐだし価格も良心的だと聞いて、

サスケのうちからオンラインで予約を入れてあった。


新しい街に着いてまず困るのは方角がわからないこと。

ウェブで見た地図では、駅の東側にある比較的太い通りを少し北上しなければならないはずなのだが、

何だか大規模な工事をしていて迂回を余儀なくされる。方向的には正しいはずだと思うのだけど、

方向音痴の私はたとえ地図があったって立派に迷ってしまうから得意げ、重い荷物のせいもあって「本当にこっちかなぁ」とノロくなる。明け方雨でも降ったのか、デコボコの道は濡れて砂利がグレーににごっているし、古めかしい灰色の建物が並ぶ道はあまり人気もない。『・・・そもそも東西を間違ってるかも…?』ものすごく不安ガーン


「ひとまず行ってみるか」とくぐったガード下でロバート・デニーロ風のおじさんがなにやら話しかけてくる。

革ジャンを着込んだ背中がいかにもフランス人、という感じで、どうやら道がわからない私たちを助けてくれようとしているらしい。

地図を見せると、「おぅ、コッチだよ!そこを右だ!(多分そんな感じ)」ととてもいい笑顔と身振り手振りで教えてくれて、去っていった。

…意外と気さくな感じ…?グッド!ちょびっとあがるニース株。


そしておじさんの言うとおり行こうとすると、道の先に毛糸のガウンを羽織った金髪の女性。

とても心配そうな顔でこっちを見ていたが、目が合うとちょっと微笑んで「Are you Aky??」と近寄ってきた。

ビックリマークおぉ ウェブで見たブリジットさん目

「工事のせいで道がわかりにくくなっていて、迷う人が多いから…」とわざわざ迎えにきてくれのです。ちょっとカンゲキですアップ


普通のピソ(フランスではアパルトマンか??)なので、1階のドアの鍵やナンバーロック、宿の玄関の鍵、そして部屋の鍵など、いっちょまえの鍵束を渡されカギ、丁寧に全部あけ方を見せてくれて、前金を支払ってチェックイン。とても元気なヨークシャーテリア”ミシュマ”しっぽフリフリがベッドでゴロゴロ…ブリジットさんは怒っていたけど、かわいい。


部屋は広く、青でまとめられていてかわいい。トイレも洗面所も共用ひとつしかないが、清潔だし、他に宿泊客は3人だけだから、そうバッティングすることもない。朝食も準備してくれると言っているし、たしかに一人旅にはもってこいかもしれない↓

http://www.hostelz.com/hotel/60331-Chambres-Chez-l'Habitant-Chez-Brigitte

ここから予約できます(2007年4月29日現在)


9:00頃、朝食を食べに外へ出る。メインストリートは全面的に工事中でとても見た目が悪く、歩道はガタガタ、うんちうんちもいっぱい落ちている…。バルセロナがとてもキレイになっていてあまり足元に注意を払わずに済んでいたので、割と苦痛だガーンオシャレな街だと聞いていたからまたしても『・・・えっ』。あんまり勝手に期待しすぎると、よくない。


気を取り直してカフェ探し。腹が減っては、ね。

すぐのところによいカフェがあったので、紅茶とクロワッサン・オ・ショコラで朝食。ちょーおいしいコーヒー

いいぞいいぞー、ニースグッド!

ニースを勧める友人たちはそろって「ステキなカフェがいっぱいあるしラブラブ」と言っていたから、カフェクオリティは高いにちがいない音譜これは楽しみだニコニコ


23:54、ようやくニース行き夜行列車はセルベレを出た。

30分ほど前から、冷え込み始めたホームには乗客が集まり始め、定刻をとっくに過ぎた列車のドアが開くのを待っていた。

やっとドアが開いても、車内は電気がついておらず真っ暗で、人がすれ違うのがやっとの細い通路を大きな荷物を抱えた人たちが右往左往する様はなんだか異様だった。

狭い2等コンパートメントは6人用で、両側3段ずつの寝台は寝返りを打つのも窮屈そうだ。

乗車券に印字されたコンパートメントを探し当てて行ってみると、中にはすでに韓国人の女の子4人が荷物を持ち込んでいて、ドアを開けるとムッち立ち込めるニンニクのニオイ…ショック!しかも4人ともたいそうなスーツケースで、それをおそらく私たちが使うはずだったのであろう中段のベッドにドカドカと詰め込んでいるガーン

チラ見しただけで中に入る気力を失った私。

さっきのホームの感じからして「すいてるはずだから、コンパートメント変えてもらえそうだよね」と来た通路を戻り、車掌発見。

車掌の制服を着ているから車掌だと認識するけれど、明らかに酔っ払っているハロウィンとても陽気なフランス人車掌…。

でもおかげで機嫌がよかったし、頼んだら快く空室のコンパートメントの鍵を開けてくれたニコニコ

中段のベッドはたたみ、下段に普通に座れるようにする(そうしないと身をかがめないといけない)。

明日ニースで眠くならないように、わりとすぐに寝ることにする。

意外にも清潔な毛布にシーツ、枕をセットして上段に寝転がる。

どんどん冷え込みが強まる南フランスの春の夜、持っている上着も全部着て、ガタガタと揺られながら眠った。

ときどき列車は停まる。こんな夜中に人が乗り降りしているとは思えないから、貨物の積み下ろしでもしているんだろう。

窓の外が白みはじめ、一層寒さが身にしみる。

カンヌの駅の素敵なタイルのモザイク壁画を通り過ぎ、8:37ニース着。

簡素なホーム、古びた階段の無骨な手すり―噂に聞く”優雅な南仏”ニースも、鉄道はこんなものか?かお

3月31日、19時24分 バルセロナ・サンツ発。

南仏ニースまでは、バルセロナ留学時代からの友人サスケ(女の子)といっしょだ。

気心知れた仲だし、よき相談相手でもある。『妹がいたらこんな感じかなぁ』と思う。


スペイン国鉄Renfeの普通列車Regionalで、まずはスペイン/フランス国境を越えてすぐの街Cerbereまで。

そう混んでもいないけれど、隣のボックスシートにはちょびっと陽気な青年が母親といっしょに座っていて、

絶えずフシギなお歌を歌ったり周りの人に話し掛けては母親になだめられたりしている。

窓の外は徐々に暗くなってゆき、国境が近づくにつれ民家もまばら、荒れた草と土が続く。

2時間半はなが~く感じられた。


22時、セルベレの駅は想像とまったく違う暗くて何もない、さびれにさびれたところだったえっ

寒くて薄暗い駅舎内には、私たち同様数時間後にセルベレから出る夜行列車を待つ人々が所在無げにうろついている。

移動の速さや快適さよりも安さを選ぶ旅人たち特有の雰囲気は、夜になると特に、あまり居心地のよいものではない。

トイレはくら~いホームの端の端。4つ中3つが閉鎖され、トイレットペーパーなんてもちろんない。

そんなところに大きな荷物を持って入りたくないし、明らかにキマってるレズビアンカップルもウロウロしていて気持ちが悪いナゾの人


2週間ちょっといたスペインの治安がものすごくよくなっていて気持ちがユルユルヒツジだったので、

久々の荒んだ空気に面倒くささを感じて、『ひとりじゃなくてよかったなー得意げ』と心底思った。

サスケと二人、作動していないベルトコンベアの上に座っておやつを食べたりしながら時間を潰すこと3時間。


30分以上遅れて、ようやくニース行き夜行列車に乗車開始。

すごく狭い2等の寝台列車、電気がついてないから何も見えないよー。

公共交通機関はとても時間に正確なスペインから、一本国境をまたいだら早速時刻表なんてあってない世界。

やっぱり外国だ~ニコニコ と、ちょっと旅らしい気分が高まる。


2006年3月31日。

2週間たっぷり羽を休めたバルセロナの街を、ようやく発つ日がきた。

夜行列車で、ニースへ出る。地中海に沿って北上し、フランスを抜けてイタリアへ向かうのだ電車


バルセロナ最後のランチは、地元客で賑わうカタルーニャ料理の店でブーケ2

留学時代からの友人とふたり、窓から降りそそぐまぶしいくらいの午後の日差しを浴びながら、ゆっくりと食べる。

ぷりぷりとしたメルルーサの白身も、濃厚な緑色をした野菜のパテも、すごくおいしい。


バルセロナで知り合ってから3年がたつ。

その間に、帰国して就職し、その仕事をやめて、旅に出てここにいるわたし。

その間に、何のコネもとっかかりもなかったところから、じりじりと前進し、夢に近づき始めた友人。

やりたいことすら見つからず毎日を退屈しながら生きる人シラー、夢の実現の仕方がわからず悶々と生きる人むっ

世の中には、毎日を生きるために、生きたい毎日を諦める人がいっぱいいる。

でもときどき、こうやってしずかに、でもガムシャラに、理想と現実をぎりりとひとまとめに、すこしでも近づけようともがく人がいる。

そういう人の眼の奥は、プラチナ色の光を湛えて、とてもかっこいい、と私は思う。


「何でもできるよ」と静かに励ましてくれる彼の言葉は、いつも心に響く。

グラスに注がれた水が西日を反射してキラキラして、木の窓枠とカーテンと、その向こうの石畳の道が目に焼きついた。


人の多さと太陽のまぶしさに辟易しつつ、普段は歩かないランブラス通りを、海まで下る。

コロンブスが海のかなたを指差して、堂々と空に立っている。なんだか縁起がいい気がするよい天気だった。

風に吹かれて。

ランチ@CACAO SAMPAKA サンパカのデザート

バルセロナでちょっとオシャレにランチにひひ

「CACAO SAMPAKA」は名前の通りチョコレート屋さん。こだわりのカカオで作ったおいしいチョコたちがいっぱい。

外観も店内のインテリアもすっきり洗練美っていう感じ。


スペイン人のランチは遅いので、ランチメニューが3時半まで食べられる。

食事(サンドイッチとかサラダ)とデザート(さすがにチョコを使ったものがオススメチョコレート)を自由にチョイス+ドリンクコーヒーで8.40ユーロ。ユーロが高いので東京並にちょっとしたランチだけど、たまにはいいでしょべーっだ!


サンパカサラダとブラウニーのアイスクリーム添え、カフェ・コン・レチェ(カフェラテのこと)をモグモグいただく。

おいし~ラブラブ!

スペインのチーズチーズはおいしい。

スペインのオリーブオイル黄色い花はおいしいビックリマーク

スペインのカカオチョコレートもおいしい!!


というわけで大満足恋の矢留学時代にサンパカに出会わなくてよかったよ…破産しちゃう得意げ

おみやげにチョコも買う(日本に持って帰るには帰国予定が先すぎるから、旅路のお供になるとわかっていながら…モグラ


気分が満たされたらガツガツ観光するのもいやになって、癒しの地グエル公園クローバーに散歩に出かけた。

日のあたるベンチに座って、ひとり文章を書くメモ

こういうのって、日本ではなんだかキザっぽくて、なかなかできないことのように思う。こちらの人は日向ぼっこ晴れが習慣みたいなものだから、何時間でも座ってる人とかいるし、とにかくベンチの数が多いからうれしい。いい日だな~ベル

3月30日。

ついに3月も30日。旅立って2週間が過ぎた。バルセロナの日々は、正直なところ時間をもてあますことの多い毎日ガーン

また多忙な生活に戻ったときには、『なんてゼイタクな…』とため息混じりに思い出すに違いないにひひと思う。


午前中、またちょっと雲の多すぎる中、サン・パウ病院病院へ向かった。

いまだ現役、サン・パウ病院


モデルニスモ美術史において、ガウディに勝るとも劣らない重要な芸術家モンタネールが手がけたこの病院には、十を超えるレンガ色の建築群が並ぶ。

窓は華やかなステンドグラス、柱や屋根には優美な彫刻が施されていて、中央広場にはゆったりとベンチが配されている。

パジャマ姿の患者や白衣をたなびかせて歩く病院関係者がいなければ、さながらパビリオンだ。

とはいえ、現在も立派に稼動中の現役病院、結構な頻度で救急車のサイレンも聞こえる。

それでも観光客に開放され、敷地内は自由に歩くことが出来る。寛容だなぁクローバー


時間に余裕ができて、考え事をする時間が増えた今日この頃。

30分くらいベンチに座って、建物と空を眺めてみる。

右から、空が青く晴れ渡ってゆく。

見えない風に吹かれて消えてゆく厚い雲の間から、神々しく光が差す。

雲があるから、光が見えるんだなぁ…かお

ふと気がつくと、向かいのベンチに座ったおばあさんも、じっと雲を見ていた。


モデルニスモの傑作


3月29日。

13:20、定刻通りに駅を出た列車は各駅停車で北へ。

バルセロナから約100キロ、カタルーニャの古都ジローナ(Girona)へと向かう。

スペインの交通機関はとても優秀だ。バスも電車も、遅れることはほとんどない。

「おおらかで大雑把、いい加減」一般的スペイン人の風評。大抵のことに関しては真実そうだけど、バス・電車の運行に限っては文句なし!バカにしちゃあいけませんべーっだ!

14:52、ジローナ着。旧市街を目指し、駅から15分ほど歩く。

石畳の街には川が流れ、ふりそそぐ午後の日差しを受けてきらきらと輝いている。風情ある街だ。

古都ジローナ

遠くからでもひときわ目立つ尖塔は、城かと見まごうカテドラル。

さまざまな建築様式の入り混じった姿は、多様な人種と思想が行き交った街の歴史を感じさせる。

静かに、威厳ををもって迫る。

9世紀、エルサレムから移り住んだユダヤ人は、1492年のスペイン統一までの間、長くジローナに留まった。

狭い道幅、急な階段、黒い長衣、壁を彩る幾何学模様―まるで別の時代へ迷い込んでしまったようだ。

旧ユダヤ人街を歩く

夕焼けに川の色が変わり始め、駅へと戻った。30分ほどの待ち時間、ホームには気の長い人たちがぽつぽつと集まり始める。

休日の夜は、セントロで仲間と飲み明かすのかもしれない。

電車を待って
夕方の駅