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http://www.bk1.jp/review/104131

ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>世界史のターニングポイント

人類の歴史にはいくつかの転換点があるだろう
1つは1492年のコロンブスのアメリカ大陸到達であったり、1914年の第一次世界大戦であったりする
あるいは、13世紀のモンゴル帝国の台頭なんかも言えるかもしれない

本書に描かれる ドイツ 30年戦争もまた世界史におけるターニングポイントであると言える
まずは、「普遍主義の否定」がある
ドイツはドイツ人の国であり フランスはフランス人の国だろう
だが30年戦争前はさに非ず
オーストリアの公家であり ボヘミア(チェコ)王、ハンガリー王、イタリア王でもある 神聖ローマ帝国皇帝を代々していたハプスブルク家は同時にスペイン王であった
これらの地域の共通点はカトリック圏と言える
神聖ローマ帝国というシステム自体がローマカトリックを防衛する世俗権力であり、故にカトリック圏に責任を持ちうると言える
だからフランスもイタリア(神聖ローマが支配していたのは北イタリアの一部のみ)もベルギーもポーランドも、そしてドイツ全域もカトリックとその守護者たるハプスブルクの旗の下に集まるべきと考える訳だ
プロテスタント?そいつらはカトリックの敵だからぶちのめせ、領土も分取れ、イスラムなんか論外!
つまりハプスブルク家の野望は宗教の下での(欧州)世界の統一であった
スウェーデン、この国もまた ゴート起原説、をもつ
ゲルマン民族の大移動の際 ゴート族はスペイン 北アフリカからウクライナまでを駆け巡った
ならばゴート族の末裔たるスウェーデン国王(ヴァーサ家)は欧州世界に権利を持つんじゃないか と考える
さらに言えば北ドイツにはスウェーデンと同じプロテスタントが大勢いた
カトリックのハプスブルク家は北ドイツにバルト海艦隊を作り通商で喰っているスウェーデン経済を脅かし始めた
北ドイツのプロテスタントを救え!ハプスブルクの横暴を許すな、我々がプロテスタントの守護者であり、ドイツの保護者だ、となる

他にもフランス ブルボン家も神聖ローマの帝冠を狙っていた(つまりカトリックの守護者→欧州の守護者の地位を狙っていた)

講話条約であるウェストファリア条約は全てを覆した
早い話 「国家と宗教は別」となった、宗教戦争でみんな酷い目にあったから 宗教での国策(戦争)を辞めようと
つまり カトリックの守護者・プロテスタントの守護者=欧州の支配者 という構図が崩壊した訳だ
結果として王家→宗教→(欧州)世界 という構造が崩れ 王家→国家 という流れとなっていった

最後に1つ
地図つけてくれんかね? 日本人にはいきなり「ブランデンブルク」とか「ポルメルン」とかいわれてもわかんないよ
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http://www.bk1.jp/product/03034830

ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>本当に大切な事

本当に大切な事は 紙2ページで伝わる、グダグダいうのは 言っているヤツが論点を掴みきれていないか、はぐらかそうとしているか、ムダが多いか のどれかである
本書を読むと本当にそれに気付かされてくれる

本書は経営分析 特に財務に必要な概念の解説と実例をあげてくれる、私も大学時代の経営分析ではお世話になった

圧倒的な読みやすさ、コンパクトかつ明瞭な論点のまとめ方、実際の企業の比較を通した明確さ すばらしい エクセレント スパシーバ 手放しで褒めてあげたい

なるべく最新版をオススメする

とりあえず手にとりたまえ

少し足りんか
電力会社は 発電所なり電線なりとインフラという莫大な資産を抱えている
当たり前だが タダではない、社債や借入で資金調達している
当然利子を支払う
東京電力の売上高純金利負担率は5.73%、2936億円だ
これはデカい 営業利益の半分だ(古いデータつかいますた)
もっといえば 金利上昇によるダメージを受けやすいともいえる
なら どうする?
金利が安くすむ長期債を発行しよう となる
幸い電力会社の信用度は極めて高い
これだけで 例えば金利が上がりそうな環境下で電力会社は長期債や新株発行するんでねーの?との推論が生まれる
経営分析の面白さはそこにあると思う
買え、買うんだ!
手放しの大評価、圧倒的思考戦、カイジ発狂する(←誰だよ)

オススメである

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http://www.bk1.jp/product/03186992/reviewlist/

ミツゴ評価 ☆☆☆☆

<書評>売れる罠
冲方丁(うぶかたとう)と1発で読める人は何人いるだろうか?
私にとっての冲方丁の出会いは 腐った御婦人方御用達アニメ(ヲイ!)「蒼穹のファフナー」だったりする
その小説版が 1巻ポッキリ(私は、中途半端なメディアミックス商法を、角川商法と読んでいる)なんだが 意外とこざっぱりしていて まとまりがよかった事を記憶している

だから 本書を手にとった、これが1年前

内容は はい調っているね
多分 映画の構成を意識した、というより映画化も視野に入れた作りになっていると思う 所謂 起承転結だ

面白いよ 売れる訳だ
だけど 正直いえば少し弱い、1回読めば満足、な部分がある
何と言うか ぐいぐい引き込む力が少々弱く感じられる

良作ではある、と思う 実際面白い
が 私にはちょい 肌が合わなかった と思うな
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「最後の相場師」是川銀蔵、伊藤忠の黄金時代を築いた越後正一、野村財閥の礎を築いた野村徳七ー明治から昭和にかけて活躍した相場師70人を収録。彼らの成功に、あるいは破滅に導いた勝負の瞬間を描く

http://www.bk1.jp/product/02723388

ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>恋と戦争と相場と・・・・
恋と戦争には共通点がある
それは「事前の準備が勝敗を左右する」という事
相手の好みや情報は沢山あった方が有利だから 情報収集に勤しみ、軍資金は多い方が有利だから 金策に奔走し、自軍に有利なフィールド敵を誘因する

相場も同じ、市場を戦域にした戦争である
兵隊は多い方が有利だ、相場では資金、現ナマだ
情報は言わずもがな、だからインサイダーでもなんでもするし 相手の弱みを探り合う
同盟や友軍もする、仕手戦では数がモノを言う、いかに廻りを巻き込むか である

つまり相場という戦争はいかに カネ 情報 人脈を駆使するか という戦争であり 終結は破産(滅亡)か瓦落(軍の崩壊)か解合(講話)である

そう 戦前の日本人は 戦争的な情熱を持って 毒々しいまでの相場狂いであった
誰だよ「日本人は農耕民族だから金融なんて虚業に手を出さない」なんていうのは
コメ 綿花 大豆こそ先物相場の主戦線であり、国運をかけた日露戦争ですら 彼等は戦時国債先物として相場に淫した

勝てば 富と名声が 負ければ 自殺、という まさしく戦場だ 日本人は相場に恋をし 相場で戦った訳だ まさしく エラン・ヴィタール(仏:生の躍動)

こういう話をすると 「一部の人だけでしょ」と思うかもしれない
いやいや、当時の日本人の半分は農民だ つまりコメ相場が生活を左右する人間だ
また都市のプロレタリアートも米価を非常に気にする

白銅将軍 浜野茂は米価を吊り上げ 日露戦争後のデフレに苦しむ農民を救ったりもしている
城山三郎「百戦百勝」のヤマタネなんかは「貧乏人の為に売り将軍」なんてあるが 百姓からみれば蛇蝎の如く嫌われる存在でもある罠

私が気になるのは そのヤマタネのライバル 石井定七を取り上げて欲しかった
この人 高知か何処かの銀行乗っ取って 預金をみな先物市場に投機、足りない?なら預金証書を「捏造」し それを担保に借りまくった人間だ
エキセントリック?そうだよ だからこそ時代の語り部に相応しい
私は本書にある 不満は やはり相場師70人もあげると 1人1人がどうしても薄くなる事だ
願わくは 数を絞り丹念に書いてほしい
ただこの不満は 心地よい不満だ、食前酒が胃腸を活性化させ食欲を沸き立たせるように 新たな知識欲を喚起させる
願わく 続きがよみたい
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南米生まれのジャガイモは インカ帝国滅亡の後 スペインに渡った。その後、フランスやドイツの啓蒙君主たちも普及につとめ わすが5百年の間に全世界に広がった。赤道直下から北極圏まで、これほど各地で栽培されている食物もない。痩せた土地でも育ち 栄養価の高いジャガイモは「貧者のパン」として歴史の転機で大きな役割を演じた。アイルランドの大飢饉 北海道開拓 ソ連崩壊まで、ジャガイモと人々をめぐるドラマ

http://www.bk1.jp/product/02960944

ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆

<書評>神に愛されし食物

ジャガイモである
ジャガイモはすばらしい
収穫が大きく(エンゲルスによれば小麦の3倍) 保存が効き 栄養価も高く 日照りや天災にも強いし、寒冷地や水のアクセスの悪い土地でも栽培可能、おまけに調理は皮をむいて茹でるだけ・・・・

最後については、1言
中世ヨーロッパでは パンを焼くときは領民は領主が経営するパン窯をお金を払って使わせてもらっていた(公共料金、一種の税金だ)
つまり ジャガイモはそんなお金を払わなくていいという民草にとっては経済的な作物であった

ただ 問題もある
1つは 非常に病気に弱いという事
特に大量生産を狙えば特定の品種に栽培が偏る為 1つ病気が流行るとあっという間に全滅してしまう
これが問題になったのが 1845年からのアイルランド大飢饉である
人口は激減(800万人→650万人)し、文化の担い手がいなくなった為 アイルランドのイギリス化が急速に進んだ
また イギリス政府が有効な対策を打てない事が後のアイルランド独立運動に繋がる

さらにはジャガイモは「安い」という事もある
小作人は領主へ地代を払わなければならない それは時に収入の半分に上った
小作人は 支払いの為 単価の高い作物、日本なら米 アイルランドなら小麦を栽培せざるを得ず、結果 それらの作物が不作の時にジャガイモに頼れなかった歴史がある

東北の昭和飢饉の時、ある小作農は軍隊にいる息子にこう言った
「死ね、生きて帰ることは許さない、お前が死ねば国から支給される一時金がどうしても必要なんだ」と
東北地方は悲惨だった 街には失業者があふれ、6万人という女性が身売りされた といわれた
小作農達は 豊かさを求め 海外 特に満州へ向かった、ジャガイモを携えて・・・・・
やがて 太平洋戦争が始まり ソ連が満州へ進攻、日本人は満州から逃げだす事になった
当然着の身着のまま 食べ物なんか持ち合わせてはいない
だから中国人の畑に忍び込んで ジャガイモを失敬したりもした

日本に帰れても、帰る場所なんてない(故郷では「満州でいい思いしたんだろ」的なやっかみがあった)
だから 那須高原等に集団入植もした
栽培するのはやっぱしジャガイモ

海外に目を向けると 焼け野原になった ドイツ ベルリン
市民は食べるものがなく ティアガルデンでジャガイモを栽培したりした

ソ連崩壊後のモスクワ
インフレと流通システムが崩壊し 市民はダーチャ(別荘)でジャガイモ栽培し 自給自足の生活をおくった

ジャガイモは偉大だな と思う1冊