「最後の相場師」是川銀蔵、伊藤忠の黄金時代を築いた越後正一、野村財閥の礎を築いた野村徳七ー明治から昭和にかけて活躍した相場師70人を収録。彼らの成功に、あるいは破滅に導いた勝負の瞬間を描く
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ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆
<書評>恋と戦争と相場と・・・・
恋と戦争には共通点がある
それは「事前の準備が勝敗を左右する」という事
相手の好みや情報は沢山あった方が有利だから 情報収集に勤しみ、軍資金は多い方が有利だから 金策に奔走し、自軍に有利なフィールド敵を誘因する
相場も同じ、市場を戦域にした戦争である
兵隊は多い方が有利だ、相場では資金、現ナマだ
情報は言わずもがな、だからインサイダーでもなんでもするし 相手の弱みを探り合う
同盟や友軍もする、仕手戦では数がモノを言う、いかに廻りを巻き込むか である
つまり相場という戦争はいかに カネ 情報 人脈を駆使するか という戦争であり 終結は破産(滅亡)か瓦落(軍の崩壊)か解合(講話)である
そう 戦前の日本人は 戦争的な情熱を持って 毒々しいまでの相場狂いであった
誰だよ「日本人は農耕民族だから金融なんて虚業に手を出さない」なんていうのは
コメ 綿花 大豆こそ先物相場の主戦線であり、国運をかけた日露戦争ですら 彼等は戦時国債先物として相場に淫した
勝てば 富と名声が 負ければ 自殺、という まさしく戦場だ 日本人は相場に恋をし 相場で戦った訳だ まさしく エラン・ヴィタール(仏:生の躍動)
こういう話をすると 「一部の人だけでしょ」と思うかもしれない
いやいや、当時の日本人の半分は農民だ つまりコメ相場が生活を左右する人間だ
また都市のプロレタリアートも米価を非常に気にする
白銅将軍 浜野茂は米価を吊り上げ 日露戦争後のデフレに苦しむ農民を救ったりもしている
城山三郎「百戦百勝」のヤマタネなんかは「貧乏人の為に売り将軍」なんてあるが 百姓からみれば蛇蝎の如く嫌われる存在でもある罠
私が気になるのは そのヤマタネのライバル 石井定七を取り上げて欲しかった
この人 高知か何処かの銀行乗っ取って 預金をみな先物市場に投機、足りない?なら預金証書を「捏造」し それを担保に借りまくった人間だ
エキセントリック?そうだよ だからこそ時代の語り部に相応しい
私は本書にある 不満は やはり相場師70人もあげると 1人1人がどうしても薄くなる事だ
願わくは 数を絞り丹念に書いてほしい
ただこの不満は 心地よい不満だ、食前酒が胃腸を活性化させ食欲を沸き立たせるように 新たな知識欲を喚起させる
願わく 続きがよみたい
