http://www.bk1.jp/product/02422015
ミツゴ評価 ☆☆☆
【書評】逆に聞きたいが白い国ってあるのか?
まぁベラルーシは白ロシアというがw
本書は しばしば"理想の国"といわれるスイスの生臭い一面を書いている本で 特に永世中立を国是とするからには国防ネタが多く 軍事クラスタもしばしば取り上げる本である。
生臭い、とは
1)かつてナチに迫害されたロマやユダヤ人難民受入拒否
2)スペイン内戦に義勇軍として参加した若者を罪人扱い
3)冷戦期の核武装計画
4)プライバシーのない閉鎖社会、移民への人種差別
5)マネーロンダリング
等等
だけどソレら全てが否定されるべき事なのだろうか?
例えば1)
当時(第二次大戦中)のスイスは周辺を全てナチに囲まれた国であり、国を守るためにはナチスとの衝突回避が不可欠だったのも事実だ。
また 山国の小国スイスに数十万単位でユダヤ難民が押しかけて来たら 食料や雇用が破綻する懸念があったのも事実だ(例えばパレスチナ問題もコレが原因だ)
また 3)
実は 70年代日本も核武装を検討していた
また台湾やスウェーデン 西ドイツも一時期検討していた
地図を見るとスイスはちょうど鉄のカーテンの付近にある
そして永世中立という事は仮に 片方の陣営と全面戦争になっても 他方の陣営の支援を得られない という意味でもある。
果たしてそんな国が核武装を考える事が一方的に"黒い"といってしまうのは如何なものかと思う。
寧ろ私には、大国群に挟まれた小国はなりふり構えない生存戦略を描いているように思えるんだが。。。。。
逆に聞きたいが 世界の何処に"理想の国"があるのだろうか?
意外と知られていないが 欧州の社会保障水準は日本よりかなり低い。
例えばフランスの生活保護水準は独身者で月5万円程だ。
最近は少し制度が変わったようだがhttp://www.newsdigest.fr/newsfr/content/view/3307/26/こんな感じ。
また 確かデンマークあたりだと職業訓練を受けないと生活保護を受けられなかったりする。
まぁコレはいい。
スイスが理想とは遠い国なのは事実だが 理想を基準にしてみるのもどうかとは思う。
何故なら理想の国はこの世界に存在しないからだ。
今 中国の地方財政が割と話題になっていたりする
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-22393920110727
実はこのblogで去年春時点で取り上げていたりする、私に先見性があるわけではなく「金融ビジネス」の受け売りなんだがね
まぁ見てみる
リーマンショック後、中国の輸出激減
→経済危機
→中央政府、大規模な公共投資を実施、地方政府にも命令
→だけど地方政府には独自の財源(地方債発行権)がない、公共投資が出来ない
それに対する答えがコレ
・地方政府がSPC(特別目的会社)を立ち上げる
・地方政府がSPCへの保証を"仄めかす"
・銀行が「地方政府の保証があるから」とSPCへ融資をする
・地方政府、SPCへ不動産を売却
・地方政府へゼニが入る、そのカネでSPCに仕事を発注
・SPCが収入から銀行へ返済
という訳
ポイントは"不動産を売却"のくだり
共産国家 中国で一番土地を持っているのは 当たり前だけど政府だったりする
そして不動産バブルがおきて一番得をするのは不動産保有者だったりする
事実 1時期 中国政府の収入の2割が不動産売却に関する収入だったりする
が、コレは"うまくいっていれば"の話
肝心のSPCが利益が上がらなければ当然 銀行への返済が滞る
この錬金術のポイントが"不動産バブルで政府に資金がある事"、"銀行が多額の融資をしてくれる事"なんだけど、近年のインフレによる金融引き締めで揺らぎつつあるのも事実。
http://www.bk1.jp/product/02952789
ミツゴ評価 ☆☆☆☆
【書評】微妙
物事には常に 多様な解釈があるように 本にも多様な捉え方がある
例えば 本の魅力は「知識の質や量」と「読み物としての面白さ」がある
前者を重視し、後者を蔑ろにすれば出来上がるのが 何処かの学者の論文みたいな文だ。
さて本書、読み物としては面白いしわかりやすい。
なかなか斬新な視点を提供してくれる。
だが 知識の質、となるとやや不安がある
http://mltr.ganriki.net/faq12e02j.html#14248にあるように 著者はたまに ぶっ飛んだ事を発言したりする、「ソースあるの?」と聞きたくなる事もある。
結論、読み物としては楽しいし 新しい視点を垣間見れるかもしれない
だが ソレを「ソースは兵頭!」と言うと 軍事クラスタには笑われる可能性が極めて高い。
私としては要クロスチェックをオススメする。
本書の性格は「軍事面からみた戦争史」といった感じ、だから「コレが正しい」というより「こういう見方がある」として見た方が宜しい、と思う。
なんか書くか。
第一次世界大戦は軍事史に多大な変化をもたらした。
その1つが航空機の発展
航空機の発展は爆撃機の発展につながった。
より遠くから より多くの爆弾を 敵の都市に落とせる様になった訳だ(コレはやがて日本は身を持って知るようになる)
結果として、大国間にあった"緩衝地帯"というモノの価値に揺らぎがでた
さて満州
明治以来、日本の最大の敵国は ロシア/ソ連 であった
日本の安全の為には朝鮮半島にロシア軍が展開する事はマズい、故に日本は大陸に進出した訳だ
仮に満州にロシアが進出したとしても朝鮮が楯になってくれる、その間に迎撃体制を整えよう、という考え方だ。
だが1930年代頃問題が発生した。
ソ連軍がTB3という大型爆撃機を極東に配備
コレは(日本の勢力圏である)南満州~朝鮮をすっぽかして直接日本本土を叩ける性能があった。
ならどーする?
仮に日ソが開戦したら、満州から早期に軍隊を動員して、準備が出来ていないソ連軍を一気に叩こう
そのためには満州に近代国家を立ち上げて、人口を増やすべきだ、日本からの移民はもちろん中国人の入植を奨めるべきだ
と考えた人間がいた
ソレが石原莞爾であり、満州事変だったりする。
だが 石原は考え違いをしていた。
満州国がソ連に対する有力な"楯"として機能するには数千万の人口と豊かな産業が必要になる
彼は 日本の経済力と軍事力で 未開拓な土地を安全に開発できれば日本人が移住し、中国人もなびくと考えていた。
が、そうはならなかった。
まず、日本人があまり満州には来なかった。
満州移民の主力は国内の食い詰めた小作人を考えていたんだが、まず 満州じゃコメが作れない、というのがある。
次いで 満州はまだまだ未開拓だったから 当然都市も(大連等を除けば)あまり発達していない
農作物を作っても 買い手がいない、となってしまう。
結果として 小作人達が元の住人から土地を略奪し、"地主"として君臨する姿が度々見られた(コレが日本敗戦後の報復に繋がる)
そして中国人、ぶっちゃければ 満州国には大勢流入したけど誰も満州国には忠誠を誓ってはいなかった。
もし 誰もが満州国に忠誠や愛着があれば 満州国滅亡後も復興運動の1つもあるハズなんだが。。。。
ぶっちゃければ石原の構想は失敗した訳やね。
もうちょい書くか
実は1941年時点でアメリカは日本が奇襲攻撃を仕掛ける可能性には気付いていた。
が、何故真珠湾が無防備だったのかと言えば、日本軍はおそらく(当時米国領であった)フィリピンを攻撃すると睨んでいたからだ
何故フィリピンかといえば、地図があればいいが 日本が「植民地解放」を旗印にして東南アジアの資源確保を考えればフィリピンの米軍が邪魔になるからだ。
つまり
・フィリピン攻撃は「東南アジア解放の為の必要な措置」と言い逃れが出来るけど ハワイを攻撃しようものなら「合衆国を侵略しました」と言い逃れが出来なくなる
→アメリカ国民は当然怒る
→戦争が収拾つかなくなる
→国力に劣る日本としては下策
→だからやらない
との計算があったらしい
下策をカマしたのが日本政府なんだけどね
最後に
この著者は確か新風の関係者なんだが 必ずしもコテコテの右翼かといえばさに非ず。
よく言われる「パール裁判」でも、別に日本を擁護していない とある
彼が憎んだのは近代の国際法だった
つまり、"イギリスに侵略されたインドを侵略した日本を裁くのは善か"という問題
日本を裁くなら同様にイギリスも裁くべきではないのか、日本という文明国家がイギリスという文明国家(の植民地)を侵略したのは問題であるが イギリスがインドが文明国家でないから侵略するのは是とするのはおかしくないか?という話
http://www.bk1.jp/product/03422884
ミツゴ評価 ☆☆☆☆☆
【書評】ぶっ飛び経営者列伝
高速バスなう
一気に読み終えたなう
うん、面白い、企業は人 と言うが調った財務諸表を作るのは調っているとは限らない経営者だったりする。
本書の趣旨は"デフレ時代の経営者と企業の通信簿"と言った所、なにも「柳井や安部修二(吉野家社長)のせいでデフレになった」「御手洗のせいで労働者がしんどくなった」なんて内容ではない
何と言うか ザイテンなんかと同じ匂いがするな、私のような紳士(という名の変態)は東洋経済や日経ビジネス派なんだが、面白い
何が面白いか?人間ドラマが面白い、是非オススメ
なんか書くか
1)サントリーのお話
サントリーといえば 以前 キリンとの合併話が話題になった
私は「アジア進出の体力作りの為、カラーの違い(と佐治会長の株式問題)で断念した」と簡単にしか知らなかったが、実は結構ウラがあったりした。
もし、キリンとサントリーの株式交換比率が2:1となれば、サントリー株式の9割を牛耳る佐治信忠氏(寿不動産)が合弁企業の3分の1を牛耳る形になる
会社法上、会社の重要事項(増資や定款変更)には株主の3分の2以上の同意が必要な訳だから、佐治氏が株の3分の1保有すれば 事実上サントリーがキリンをコントロールできる形になる
これに待ったをかけたのが 金曜会の長老達である
実はキリンは金曜会の1員、アノ三菱一味の馴れ合い団体(!)だ
1言でいえば、エリート意識の高い金曜会の長老とキリン現場組が カラーの違いすぎるサントリーによる(事実上の)乗っ取りに"ノー"を突き付けた形になる
2)日産の話
カルロスゴーンの立場は複雑だ
日産はルノーの支配下にあり ルノーの筆頭株主はエリゼ宮だ
そして 規模と収益は ルノー<日産 であり、ルノーははっきりいって青息吐息だ(いわゆる資本のねじれ)
エリゼ宮としてはルノーが赤字になるのはマズい、故に有能な日産はルノーへ多額の配当を支払わなければならない
結果、日産は研究開発費に不自由する形になる。
ルノーから派遣された日産のトップ、カルロスゴーンは 現状をどう思うのだろうか?
リーマンショック後の日産の経営を助けたのは中国だったりする。
日産の販売網が(相対的に貧しいが、その分金融危機の被害が軽微な)内陸部に重点をおいていた事と 中国合弁企業の出資比率が51%であった事が大きい
だが コレは僥倖、所謂"棚ぼた"であるのも事実
だから 日産としても何時までも僥倖には頼れないから 新たなビジョンを考えなければならない
それが電気自動車だったりする
その為のデファクトスタンダード争奪戦に既に動いている。
3)ソフトバンク
まぁ どうせ孫正義の経歴については沢山本があるんでそちらを見てくれたらいい
孫氏のポイントは常にバクチ人生であった点だ。
ADSL事業を始めた時、派手にモデムをばらまいたのは有名だが 実はADSL事業は慢性的な赤字だったりする
派手な宣伝広告費が原因なんだが、彼としてみれば とにかくネット普及の初動段階でのシェアのドミナント(覇権)を握ってしまえば、後から十分回収できるという計算があった。
事実 後々黒字化したんだが、タイミング悪くNTTが光ファイバー事業に乗り出した訳だ
光ファイバーが普及すれば銅線によるADSL事業は陳腐化する事は目に見えている(事実そうなった)
新たなコアコンピタンスを作らなければならない、ソレが携帯電話事業だったりする
要するに泥縄だ
この辺のいきさつは省くが、ボーダフォンがちょうど売りに出ていたので買収した その額2兆円
当初は1兆円を見越していたが、要は吹っ掛けられた訳だ
この莫大な額を ソフトバンクは社債で集める訳だが 一時はまずかった、なにしろ社債のCDSが900bp、武富士やJAL並だ
まぁソレでもうまくいった(行っている)訳だが、今回の震災で"繋がりにくい"との問題が出た
コレは急拡大した事業にインフラが追い付いていない事の表れだったりする。
そして出て来るのは"電力事業への参入"だ、ぶっちゃけ自然エネルギー云々は口実に過ぎない
孫氏の狙いは、電力会社に賠償金捻出の為 送電インフラを手放させる事
ソレをソフトバンクが取得し 一気に諸々のインフラを構築する事
メガソーラー構想も地方首長の支持を買うためとか
まとめ とにかく面白い、オススメ



